仕事に必要な能力はすべて本から教わった

アウトプットを意識した読書を継続していくと、ビジネスにおけるスキルも鍛えられてきます。それは主に「要約力」と「俯瞰力」です。

私が経営コンサルタントになったときに痛感したのは、話の要点を瞬時に3~5つのポイントにまとめたり、問題点や強みを抽出する要約力がなければ、ビジネスの世界では通用しないということです。

アウトプットを意識しながら本を読むと「この著者は何を言いたいのか」「この本の価値はどこにあるのか」と考えながら読むようになります。それを積み重ねることで、その本の魅力を簡潔に説明する力がついてきます。これはビジネスにおけるプレゼンテーション力にも通じる能力です。

また、本は1つの分野や事柄について体系的にまとめられています。たとえば、「商品を売る」ことについて書かれた本ならば、商品開発から、業界分析、マーケティング戦略、消費者動向、エリア分析、世界経済などあらゆる角度から説かれています。自分が営業マンだったとしたら、仕事ではその一部にしか関与する機会がありませんが、本を読むことでモノを売るための全行程が見渡せるのです。

つまり、本は自分がいる場所からは見えないことも教えてくれます。すると、視野が等身大から、会社、国、アジア、地球レベルにまで広がり、物事を俯瞰して捉えられるようになるのです。

本は使ってナンボ拾い読みでも十分

人生と仕事に活かせるアウトプット読書習慣を身につけるには、読書の固定概念を解いておく必要があるかもしれません。

まず、本はすべて読む必要はありません。とくに、ノウハウが書かれたビジネス書などは、必要なページだけを読む“拾い読み"が基本です。ページをめくりながら取捨選択して、必要と感じた項目にだけ目を通します。そのためには、自分が必要としている情報やスキルが明確でなければなりません。

さらには、本は“使い込む"ものです。私は本を買うと、表紙の裏側やページにどんどん書き込みをします。自宅で読むときは、お風呂に持ち込んでいます。本は使ってナンボです。きれいに読む必要などありません。

そして、本はいつでも読めると思ったら大間違いです。本には“旬"があります。今読みたいと思った本は、深層心理でなんらかのニーズを感じているということです。文庫化を待ったり、図書館で順番待ちをしているうちに、鮮度が落ち、旬を逃してしまいます。そうなると、大きな機会損失です。

「面白そう」「読んでみたい」と思った本は、とにかく手に入れてみるべきです。ビジネスマンが自己研鑽しようとしたとき、セミナーや講習会ではお金も時間も多大にかかります。しかし、本は比較的安価で、いつでもどこでも読める学びのツールです。本を読むことは、誰でもできる最高の自己投資法なのです。

いい本と出合う3つのチェックポイント

多くの本と出合い、読んでいくと、自分に合う本が見分けられる嗅覚が身についてきます。それを「本に呼ばれた」などと言ったりしますが、手に取ったとき、なんとなく惹かれる本との出合いは、みなさん経験があるのではないでしょうか。それでも確信が得られないときの判断基準として「いい本を選ぶコツ」をお教えしましょう。

まず、書店に行ったら、ざっと棚を見て回ります。気になるタイトルや表紙の本を見つけたら、手に取りパラパラと本をめくってみます。チェックポイントは3つあります。

まず「目次」です。目次を読めば、その本の全体像がわかります。章ごとのテーマが明確で、1章は問題提起、2章は問題解決のノウハウなどと、わかりやすい流れができている本は読みやすい本です。中にはタイトルと目次が異なるケースがあります。これは内容が薄かったり、論理が破綻していることが多いので、タイトルが秀逸でも、得られるものはいま一つです。

次に見るのが「著者のプロフィール」です。たとえば、経営コンサルタントが書いた、サラリーマンのための仕事術の本。しかし、プロフィールを見ると、会社勤めの経験がない。こんな場合、本の内容が理想論や空論になりがちです。経歴が高学歴やエリートだったら信用できるというのではなく、要は著者の経歴や代表作が、本の内容に直結しているかどうかが重要なのです。

そして最後の決め手となるのが、「まえがき」です。まえがきは著者が最も力を入れている部分で、本のエッセンスが凝縮されています。まえがきは、最初の3行が命。そこでピンとこなければ、そのあと読み続けても、その後もピンとこないものです。

最近は、紙の本か、電子書籍かという質問もよく聞かれます。私は、ビジネス書は紙の本で読みます。なぜなら、紙の本は感触や重さ、ページをめくる感覚が五感を刺激して記憶に残りやすくなるからです。

電子書籍は、ネットニュースやメールと同じく、書かれている情報をただひたすらインプットする感覚に近い媒体。さらに、メモを書き込んだり、付箋を貼ったりするのも、紙の本のほうがスムーズで自由です。

ただし、電子書籍は紙の本にはないメリットが数多くあります。まず一番に、場所を取らず、持ち運びがしやすいこと。出張や旅行先で読書をするなら、断然、電子書籍が便利です。

ちなみに私は、読み終えた紙の本はスキャンしてデジタル化しています。本に書いたメモをそのままデータとして残せるので、私にとっては電子書籍よりも有用性があります。

紙の本か、電子書籍か──今のところ、自分のニーズやスタイルに合わせて上手に使い分けるのがベストだと思います。