宝くじ,地震,被災地支援,落語
(画像=Webサイトより)

東京・馬喰町の、はやらない宿屋で起きた富くじ騒動。富の札を売る境内では、一獲千金を夢見る輩がああだこうだと勝手な熱を吹いている。

ある男は「当たったら一反の財布を作って、五百両を細かくして入れ、吉原へ行きます」と威勢はいいが、「それでおまえさん、当たらなかったらどうすんの」と問われると、
「うどん食って寝ちまう」--。

宝くじは江戸時代から

落語「宿屋の富」に出てくるエピソードだ。「くじ」そのものの歴史は、約2000年前のローマ時代までさかのぼると言われる。いわゆる富くじとなると、15世紀半ばのオランダで、町の建設や要塞構築などの資金調達のため、富くじを発行した記録が残されている。

日本では、江戸初期の寛永元年(1624年)頃、当せん者にお守りを授けるだけの形で、寺社の修繕費用を賄うため始まった。しかし、次第に金銭と結ぶつき富くじとして人気を集めた。幕府は寺社にだけは富くじの発売を許したので、天下御免の富くじと呼ばれた。「江戸の三富」として谷中の感応寺、目黒の瀧泉寺、湯島天神の富くじが有名。しかしあまりの過熱ぶりに天保13年(1842年)の天保の改革によって幕府は富くじを禁止した。

当時の人気ぶりを物語るものとして、落語には江戸時代の小咄をもとにした「宿屋の富」「御慶」「富久」など富くじ当せん者の噺(はなし)がある。当たったのに信じられず捨ててしまったり、燃えてしまったと落ち込んだり、毎日おちおち過ごせなかったりと、今も昔も庶民のドタバタぶりは変わらない。当たりくじは高額なもので千両まであったという。ちなみに当時の1両は、諸説あるが10~20万円ほど。ちょうど今のジャンボが当たった感覚だろうか。

現在、2015度の宝くじ売上額は9154億円となり、前年度より1.6%増えた(総務省のまとめ)。1等と前後賞を合わせた賞金額が過去最高の10億円となった「年末ジャンボ」が14.0%増の1971億円と好調だったことも背景にあるようだが、景気が不安定な中、今も昔もくじに夢をつなぐ庶民の姿が浮き彫りになっているようだ。

3つのタイプの宝くじ

宝くじの種類はどんなものがあるのだろうか。

大まかに「開封くじ」、「被封くじ」、「数字選択式宝くじ」の3タイプ。

「開封くじ」とは、いわゆる「宝くじ」で、ジャンボでいえば「グリーンジャンボ」、「ドリームジャンボ」、「サマージャンボ」、「オータムジャンボ」、「年末ジャンボ」の5種類。

大型くじにジャンボという言葉が愛称として定着するのは、1979年の「サマージャンボ宝くじ」からと言われる。1等・前後賞合わせて1億円の大台に乗ったのは、1989年からだ。

このほか「宝くじの日記念」に代表される「全国通常宝くじ」。「東京都」など各地方4ブロック内で発売される「ブロックくじ」。通称「レインボーくじ」と呼ばれる「地域復興自治宝くじ」などがある。

番号がシールで被われているタイプのくじが、「被封くじ」で「スクラッチ」と呼ばれている。1枚100~200円で気軽に楽しめるくじだ。種類も豊富で、ストリームマッチ、トリプルマッチ、ラッキー3(さん)など様々楽しめる。

「数字選択式宝くじ」は、欧米で親しまれてきたもので「ナンバーズ」、「ロト」がこれにあたる。「ロト」は当選者がいない場合、キャリーオーバーが発生するため、当選金額が高額になっていく特徴がある。

宝くじを発売できるのは、「当せん金付証票法」に定められた全国都道府県及び20指定都市、つまり地方自治体だ。その地域で売れた宝くじの収益金の一部がそこの自治体に還元される。

基本的には地方自治体の宝くじ売り場とみずほ銀行のみでしか購入できないことになるが、近年宝くじの多様化により、「ロト」および「ナンバーズ」といった数字選択式の宝くじは、みずほ銀行以外の銀行でも購入可能となった。「ATM宝くじサービス」と呼ばれるもので、三菱東京UFJ銀行や横浜銀行・スルガ銀行などの一部の地方銀行で取り扱われている。

また「ナンバーズ」については、楽天銀行やジャパンネット銀行などのネット銀行からも購入することが可能となっている。

収益金の使途は? 購入が被災地支援に

気になる宝くじの収益金の使い道だが、宝くじ公式サイトによると、販売実績9007億円(2014年度)のうち、46.7% (4,204億円)が当せん金として支払われ、次いで39.8%(3,581億円)が発売元である全国都道府県及び20指定都市へ収められ、公共事業などに使われる。

ほかに12.3%(1,113億円)が印刷経費や売りさばき手数料などに、 1.2%(109億円)が社会貢献広報費として振り分けられている。

形を変えて言えば、くじの購入者は、買った時点で、地方自治体に税金を納めていることになるわけだ。

6月3日(金)まで発売中のドリームジャンボは1等・前後賞あわせて7億円、収益の一部は熊本地震の被災地支援に使われる。同時発売のドリームジャンボミニは1等が7000万円だが80本も出るもので、こちらも熊本地震被災地支援を目的としている。

ただし、宝くじの当せん金はどんなに高額であっても非課税で、確定申告の必要もない。

宝くじ公式サイトには、1,000万以上の当せん者にアンケート調査した結果が掲載されている。年代別に見ると当せん者は男女ともに60歳以上がトップで、職業については会社員(37%)、無職(22%)、主婦(13%)の順だったそうだ。何となくうなずける結果だ。

良く言われるように、買わなければ当たらない宝くじ。落語の登場人物にならって当たるも当たらないにしてもあなたはどんな夢を見る?(ZUU online 編集部)

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