米JPモルガン・チェースの「共有経済」に関する調査から、米国の成人の4.2%に値する1030万人が何らかの形で共有経済を利用していること、1%に値する250万人が毎月平均15%所得を増加させていることなどが明らかになった。

英専門サービス会社プライスウォーターハウス・クーパースの調べによると、共有経済はすでに世界中で年間15億ドル(約1562億1000万円)の価値を創出している。さらに今後10年間で3350億ドル(約34兆8869億円)にまで伸びると期待されている。

共有経済で所得を増やした米国人は47倍増

この調査は「実際に共有経済が生み出す利益」をテーマにJPモルガンが3年間(2012年10月2015年9月)にわたり、共有経済を生活の一部に取り入れている26万人の銀行口座を観察、分析したものだ。

「オンデマンド」とも呼ばれる共有経済は、本来ならば発掘されず埋もれているはずの技術や資産への需要を見つけだし、社会で共有することで「宝の持ち腐れ」を回避する究極のエコシステムだ。

JPモルガンの報告では、米配車サービスUberやといった共有経済企業の「プラットフォーム・ワーカー(プラットフォーム型ビジネスに労力などを提供して収入を得る人)」は、他企業に勤めている、あるいは個人経営の運転手よりも月平均533ドル(約5万5507円)所得が高く、米個人空き部屋仲介サービスAirbnbなどの「即席家主」は月平均314ドル(約3万2700円)の利益を得ている。

様々な形で共有経済から収入を増やした人々は、過去3年で47倍にも増えている。

こうした動きは世界中に広がりつつあり、英国では今後数十年間で5億ポンドから90億ポンド(約747億8293万円から1兆3461億円)に価値があがると期待されているほか、欧州全体では共有経済効果で国内総生産(GDP)が1250億ドル(約13兆175億円)伸びると見込まれている。

モルガンは共有経済を「未来の職業」とし、特に世界経済が下降気味の近年において「景気活性化の起爆剤になる」と称えている。それと同時にこれらのプラットフォーム型ビジネスには、社会保険や有給休暇といった保障制度が確立されていない点をリスクとして挙げている。

現時点で共有経済が最も発展している国は米国。世界中で865社の共有経済スタートアップが活動中といわれているが、その半分以上が米国、特にサンフランシスコとニューヨークを基盤にしている。次いでロンドンが頭角を現している(米JustPark調べ)。(ZUU online 編集部)

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