要旨
KPMGと豪ベンチャー・キャピタルのH2 Venturesが発表した2015年の「Fintech100」において、中国の衆安保険(Zhong An)が首位となった。
今般のFintech100の上位50社には、中国企業が7社ランクインした。前回の2014年は1社のみであったが、今般はフィンテック先進国とされる英国と互角の戦いとなるなど、中国企業の大きな躍進に注目が集まっている。
衆安保険については、2015年に事業拡大として、米モルガン・スタンレー等、国内外の大手投資機関、ファンドから前述の9億3100万ドルの投資を受け、巨額な資金調達に成功した。これによって、衆安保険の企業価値は80億ドルに跳ね上がり、Fintech100での選出は、今後の事業の発展性が大きく期待されていることを裏付けた形となった。
世界における中国フィンテック企業の台頭
KPMGと豪ベンチャー・キャピタルのH2 Venturesが発表した2015年の「Fintech100」において、中国の衆安保険(Zhong An)が首位となった(図表1)。
Fintech100は、世界の金融サービス業界において最も有利にテクノロジーを活用し、既成概念を変革した実績のある企業上位50社と新興企業50社で構成されている(1)。
Fintech100の評価は、(1)対象となる会社の資本が総額でどれくらい増加したか、(2)増加率はどれくらいか、(3)事業展開の地域やセクター(領域)の多様性、(4)消費者及びマーケットをリードしているか、(5)商品・サービス・ビジネスモデルの革新など、5つの指標に関するデータを分析して選出しているようだ。
今般のFintech100の上位50社には、中国企業が7社ランクインした(図表2)。前回の2014年は1社のみであったが、今般はフィンテック先進国とされる英国と互角の戦いとなるなど、中国企業の大きな躍進に注目が集まっている(2)。
また、フィンテック企業への投資も急増しており、KPMGによると、2015年の投資総額は前年のおよそ66%増の200億ドルにのぼるとされている。そのうち投資額が多い上位20社として、図表2の中国企業では、衆安保険が9億3100万ドルで2位、陸金所(Lufax)が4億8500万ドルで5位、趣分期(Qufenqi)が2億ドルで11位となった。
衆安保険については、2015年に事業拡大として、米モルガン・スタンレー等、国内外の大手投資機関、ファンドから前述の9億3100万ドルの投資を受け、巨額な資金調達に成功した。これによって、衆安保険の企業価値は80億ドルに跳ね上がり、Fintech100での選出は、今後の事業の発展性が大きく期待されていることを裏付けた形となった。
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(1)KPMG Insight(vol.17)March2016によると、2015年12月に、KPMGとH2 Venturesが世界19カ国において、最も成功しているフィンテックイノベーター100社を発表。。なお、「Fintech(フィンテック)」は、財務省産業資金課(平成28年4月)の資料によると、「ITを活用した革新的な金融サービス事業」としている。
(2)Fintech 100 - Announcing the world's leading fintech innovators for 2015、FINTECH 100‐ Leading Global Fintech Innovators Report 2015より、上位50社のうち、英国は5社、米国は25社がランクインしている。
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