9月2日「米雇用統計」のポイントは?
ジャクソンホールでのイエレン議長の講演を受けて、市場では9月2日に公表される米雇用統計に大きな関心が集まっている。
雇用市場の回復は追加利上げの大きな根拠であり、イエレン議長が追加利上げに前向きな姿勢を示した直後ということもあって今年最も注目される雇用統計になるだろう。9月20日にはFOMCが開催される予定であり、この雇用統計の結果次第では9月中の利上げもあり得るからだ。
最も注目される非農業部門雇用者数の予想は、8月27日時点では18万人の増加となっており、目安となる20万人を下回っている。しかし、この予想を大きく上回ってくるような結果となれば、9月のFOMCで利上げが行われる可能性は否定できないだろう。
ただ、インフレ率は低水準で推移しており、決して追加利上げを全面的に支持できる環境ではまだない。そのため、雇用統計を受けた後のFOMCでどのような方向性が示されるのかに注目が集まると考える。
FOMCまでのドル円の見通し
年内利上げの可能性が高まったことで講演前と比較すると円安ドル高となった。今後予想されるシナリオは2つだが、どちらも9月2日発表の雇用統計に大きく左右されることに留意していただきたい。
シナリオの1つ目、かつ、最も可能性が高いと考えるのは100円から103円程度までのレンジで推移することだ。金曜日は年内利上げの可能性が高まったことで円安ドル高となったが、これはショートカバー(ショートポジションを手仕舞うこと)が入ったことが要因として大きいと考える。
今までドル円を売っていたトレーダー達が講演を受けて一旦買い戻してポジションを解消したために、円安ドル高となった可能性が大きい。つまり、本腰を入れて買いポジションを持っているトレーダーはまだ少数で、今後も円安ドル高の流れが続く可能性は低い。むしろ、上がったところを売りたたきたい勢力もかなり存在するため、一進一退の攻防となりレンジとなる可能性が考えられる。
このようなレンジ展開となったときは、ひとまず直近で抵抗帯となっている103円付近で売りが入ってくる可能性が高い。特に雇用統計の結果が予想とおおむね一致した場合は方向感が出にくい展開となりそうだ。予想を下回った場合は、100円を目指して下落する展開も十分考えられる。
ただし、雇用統計の結果が予想を大きく上回るようであれば、FOMCに向けて円安ドル高が進行し、キリ番で意識されやすい105円や直近高値である107円まで上昇する可能性が考えられる。これが2つ目のシナリオである。
このシナリオの大前提は雇用統計の結果が予想を大きく超えてくることであるため可能性としては低いが、雇用統計の結果が良ければ年内利上げの可能性が更に高まるため簡単にショートできない相場展開になると考えられる。FOMCまでは難しい相場が続きことになりそうだ。(アナリスト 樟葉空)
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