第58回米大統領選を11月にひかえ、米大手IT企業間でロビー活動が活発化している。新政権誕生前に、しっかりと基盤をかためておきたいといったところだろう。
昨年から今年8月にかけてIT企業としては最高額の2470万ドル(約24億7617万円)を投じたGoogleを筆頭に、Amazon、Facebook、Appleなどが、規制当局との対立を極力回避する目的で、積極的に巨額の活動費を投じている。
Amazon6億円、Facebook5億円、Apple2億円のロビー活動
米企業で定番化しているロビー活動とは、企業を含む組織が特定の利益を得ることを目的に、議員や政党などを対象に働きかける院外活動を指す。
米国では両者間の仲介の役割を果たす「ロビイスト」という職業も存在し、日本にも2008年以降同様の業務が生まれているが、認知度という点では米国の比にならない。
米企業はロビー活動を通して様々な私的政治行為を行っており、中でもGoogleのロビー活動資金の急拡大がメディアの注目を浴びている。
米政治献金データベース「OpenSecrets」によると、Googleの親会社、Alphabet は昨年1年間で1666万ドル(約16億7016万円)、今年8月までに804万ドル(約 8億601万円)を投じて、著作権から商標権侵害、労働問題、消費者製品安全、国土安全保障にいたるまで、あらゆる面で政府の便宜を受けようと試みている。
Amazonは今年にはいってコンピューター・テクノロジー、法人税、輸送、取引、消費者製品安全といった分野への活動に581万(約5億8245万円)、Facebookは国家安全保障、特許、著作権問題などに497ドル(約4億9824万円)、Appleもやはり法人税や著作権などに225万ドル(約2億2556万円)を費やしている。
これらの企業にとって頭痛の種である数々の規制問題は、けっして尽きることがない。
例えばGoogleは昨年の「Google Mapストリートビュー」の情報誤受信から、今年6月の反トラスト法(米独占禁止法)違反問題で規制当局の取り調べを受けているほか、記憶に新しいところでは8月、Appleがアイルランドにおける違法課税優遇措置問題をめぐり、最大130億ユーロの追徴金を欧州連合(EU)に課されている。
今回の大統領選ではクリントン大統領の誕生を望む企業が多いが、いずれにせよ今後の事業活動に多大なる影響をおよぼすのは確実であり、「念入りに根回ししておきたい」という企業の焦りが、巨額のロビー活動資金に投影されているようだ。(ZUU online 編集部)
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