ドイツ銀行に次ぐ大手コメルツ銀行が9000人というけた外れの人員削減を検討していることが、内部の事情に詳しい関係者の話から明らかになった。

大幅なコスト削減に向けた動きであることは明らかだが、今年は無配当となる可能性も報じられており、前回の経済危機以降おおいかくされていた不穏の種が、8年という月日を経て世界中で急激に浮上しようとしている印象を受ける。

再編コスト1274億円でドイツ銀行二の舞の回避を狙う

関係者の話によると、今回の大量リストラは2020年にかけて実施予定で、総従業員の2割弱が解雇されることになる。

犠牲をともなう改革に踏みきらざるを得ない要因として、マイナス金利の長期的副作用が挙げられている。2014年にEUで導入されたマイナス金利は、ユーロ圏のGDP(国内総生産)を成長させる一方で確実に銀行の利益を縮小させていた。

しかしそれよりも以前、2013年頃から、経済大国世界第4位のドイツ経済に走った亀裂に対し、世間の懸念が徐々につのり始めていた。

今年にはいって巨額の不良債権で首が回らなくなったモンテ・デイ・パスキ・ディ・シエナ銀行の救済問題で、注目は一旦イタリアにそれたものの、昨年にはデリバティブ取引の保有残高がGDPの25倍まで膨れあがっていたドイツ銀行が、「銀行破たんドミノ」の先頭にならんでいることは誰の目にも明らかだった。

そこに米司法省が140億ドル(約1兆4077億円)という和解金の圧力を加え、さらに自国の首脳から三下り半をくだされた今、ドイツ銀行は崩壊寸前の絶望的な状況にある。

コメルツ銀行がドイツ銀行の二の前となる事態を回避するために、強硬手段を用いても不思議ではないはずだ。大規模な組織再編コストは11億3000万ユーロ(約1273億8367万円)と推測されており、その費用は無配当というかたちで穴埋めされるようだ。

9月末に予定されている役員会で、マルティン・ブレッシングCEOから何らかの正式な発表があるのではないかと予想されているが、従業員や株主にとって歓迎すべき内容になる可能性は極めて薄い。

「緊迫した状況がリーマンショックを彷彿させる」という声が、あちらこちらから聞こえてくる。(ZUU online 編集部)

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