第2巡回区(ニューヨーク)連邦控訴裁判所は9月26日、昨年2月に一旦敗訴となったアメリカン・エキスプレスの「アンチ・スティーリング・ルール(加盟店が顧客をほかのカード会社へ勧誘するのを禁ずる顧客独占権)」を認める判決をくだした。

アメックスが逆転勝利をおさめたことで、今後加盟店は手数料が安いなどの理由で顧客をほかのブランドに流せなくり、「独占禁止法」の基準点や公平性を問う論争を巻き起こしている。

米控訴裁判所「手数料は良質のサービスを提供するうえで必須」

アメックスが加盟店に課している取り扱い条件の一部が、米国の不当差別禁止法(NDP)に反するとして、下級裁判所が廃止命令をくだしてから1年半年。

アメックスが上訴にもちこんだため、その後も法的な規制を課せられないまま、適用が継続されていたアンチ・スティーリング・ルールだが、今回の判決によって法律によって保護されることになる。

下級裁判所は「消費者がブランドを選ぶ自由を制限する」と見なしたが、控訴裁判所はこの判決が「消費者の権利よりも、手数料の安さを重視する加盟店側に焦点がおかれている」とし、「手数料は消費者の満足度を満たすうえで、必要な経費である」と、アメックスの訴えを支持する結果となった。

2011年、VISAやマスターカードも同様の争いを法廷で繰り広げたが、結局は規則を改定することで合意に達した。

加盟店側はアメックスの顧客独占権が法的効力を与えられたことに対し、「ブランド間の競争力をにぶらせる」との不服を唱えているが、アメックス側には最強のライバルであるVISAやマスターカードと、対等に競うチャンスが生まれることになる。

しかし下級裁判所の主張したように、独占ルールがライバルブランドにはない市場占拠権を、アメックスに与えかねないとの懸念もある。

米政府の見積もりによると、アメックスの手数料収入は最低でも年間500億ドル(約5兆7074億円)。この莫大な手数料は加盟店を通して、何らかのかたちで消費者が負担している可能性も否定できない。

米国での発行数が昨年の553万枚から470万枚に落ちこんだアメックスが、今回の勝利を最大限に利用して巻き返しを図ることは間違いなさそうだ。(ZUU online 編集部)

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