トクホ,特定保健用食品,栄養機能食品
(画像=Webサイトより)

消費者庁は9月23日、日本サプリメントが販売する粉末清涼飲料「ペプチド茶」などの6商品について、特定保健用食品(トクホ)の許可を取り消した。高血圧などに効果があるとした成分の含有量が表示より少ないか、含まれていないことが判明したからで、トクホの許可取り消しは1991年の制度開始以来、初めてという。

トクホの認定を受けている商品を信頼していた消費者に衝撃が走ったニュースだが、トクホは本当に効果があるのだろうか。

効果効能をうたうには必要な「トクホ」認定

消費者庁によると、トクホは「からだの生理学的機能などに影響を与える保健機能成分を含む食品で、血圧、血中のコレステロールなどを正常に保つことを助けたり、おなかの調子を整えたりするのに役立つ、などの特定の保健の用途に資する旨を表示するもの」だ。

トクホ以外の一般の食品については、効果効能についてパッケージなどに表示することは認められていない。つまり通常、食品に効果効能を表示するためには、トクホ認定を受けなければならないのである。

認定を受けるには、所管官庁である消費者庁の審査を受けなければならない。その際に、様々な実験によって科学的に食品の効果や安全性を確認する必要がある。

同じトクホでも規格基準型、個別許可型によって内容も異なるが、個別許可型の場合は効果を科学的に確認するために、試験管実験や動物実験、ヒト試験などを経て、有用性を確認する。

ヒト試験の内容も、ヒトが摂取する際の最適な摂取量を求める容量設定試験、食品が目的とする症状に効果を持つかどうかを検討する有効性評価試験、実際に食品を用量の数倍摂取してもらい、過剰に摂取した際の安全性を確認する過剰摂取安全性試験、食品を長期間摂取してもらい、長期間摂取した際の安全性を確認する長期摂取安全性試験などがあり、様々な試験を経て安全性、有効性を確認しているのである。

トクホ商品の種類

現在トクホで健康表示を許可している内容は14種類である。たとば「お腹の調子を整える」「コレステロールが高めの方向け」「血圧が高めの方向け」「ミネラルの吸収を助ける」「骨の健康が気になる方向け」「むし歯の原因になりにくい食品と歯を丈夫で健康にする」「血糖値が気になり始めた方向け」「血中中性脂肪や体脂肪が気になる方向け」「体脂肪が気になる方、コレステロールが高めの方向け」「肌が乾燥しがちな方向け」などだ。

2016年9月23日現在、トクホの認定を受けている食品は現在1271品目存在する。一例を挙げると、花王のヘルシア緑茶、コカ・コーラのからだすこやか茶W、サントリーの伊右衛門特茶、大塚製薬の賢者の食卓などがあり、他にも多くのメーカーから様々な商品が発売されている。

本当にトクホは効果があるのか

トクホの認定を受ける為には消費者庁の厳しいチェックを受けなければならない。科学的に効果・効能があるとされた成分が含まれる食品にのみトクホに認定される。

つまり科学的にはトクホの認める食品を摂取すれば、含有されている成分により、表示されている効能が期待できるはずである。

しかし、一方でトクホの食品を摂取しても、効果がないという説もある。例えば、脂肪を燃焼しやすくする成分であるカテキンが含まれたトクホのお茶を摂取すると、消費カロリーが1日に50~100kcalほど増加するという。50~100kcalというのは、脂肪に換算すると10g程度であり、食べ物に換算すると、おにぎり二口分ほどしかないのだ。

いくらトクホの食品を摂取した所で、トクホを過信し、ジャンクフードばかり食べていると、痩せるどころか太ってしまう可能性もあるのだ。

トクホと栄養機能食品の違い

トクホに似たものに栄養機能食品というものがある。よく混同しがちだが、栄養機能食品は不足しがちな栄養成分の補給を目的に、その栄養成分の機能を表示した商品だ。

定められた規格基準にさえ適合していれば、国への許可申請や届け出なしに、消費者庁が指定している栄養成分の機能を商品に表示することが可能だ。

つまり規格基準にさえ適合していれば製造業者が栄養成分の機能を自由に表示することが可能なのである。

例えば、カルシウムが規格基準を満たした量含まれている商品の場合、「カルシウムは、骨や歯の形成に必要な栄養素です。」といった表示が届出無しで可能になる。

あくまで、栄養機能食品は不足しがちな栄養成分の補給を目的に、その栄養成分の機能を表示することができるという制度である。そのため、トクホのように脂肪を燃焼しやすくなる、血糖値が気になる方へといった商品の効果効能を表示する物ではなく、最低限摂取する必要がある栄養成分を分かりやすく表示できるものである。

トクホとの付き合い方

健康を保つためにトクホの商品を摂取するのはおすすめである。しかしトクホの力を過信し、暴飲暴食や不規則な生活を続けていては、より不健康になってしまう。トクホはあくまで健康でいるための補助的なものと認識し、普段から食生活に気を付け、規則正しい生活を送ることが健康を保つ重要な要素である。(ZUU online 編集部)

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