JPモルガン・チェースのジェームズ・ダイモンCEOが、ウェルズ・ファーゴの不祥事をめぐるヒラリー・クリントン米大統領候補のコメントに反撃。

ドイツ、イタリア、米国などで相次ぐ大手銀行の不祥事を非難したクリントン氏に対し、「すべての銀行をひとまとめにして偏見視するのは不公平だ」と、憤慨をあらわにしている。

大手銀行のドミノ・スキャンダルによるイメージ低下を懸念

10月3日、米オハイオ州で演説を行ったクリントン氏は、ウェルズ・ファーゴの不正口座開設スキャンダルについて、「過酷なノルマで従業員に精神的苦痛を与え、犯罪に追いこんだ」と激しい怒りの念を示した。

同時に大統領就任後は、大手銀行の規制を強化する構えであることも明らかにした。問題の引き金となったコメントは、これに続く「8年もの間ウェルズのような山師をのさばらしたあげく、大手銀行は今なお法の目をかいくぐる巨大な権力を維持している」というくだりだ。

演説ではウェルズに焦点が当てられていたものの、最大の危機に直面しているドイツ銀行やイタリアのモンテ・デイ・パスキ・ディ・シエナ銀行が世間を騒がせている今、大手銀行のイメージ低下は確実である。

強力な影響力を手中にするクリントン氏が、否定的なメッセージを社会に向けて発することで生じる反応は図り知れない。不祥事続きですでに打撃を受けている大手銀行にとっては、致命傷となりかねない。

演説会場に居合わせたダイモンCEOは即座に防御態勢をとり、すべての銀行が利益のために不正を行ったり、手にあまるほどの負債を抱えているわけではないと、クリントン氏の批判が偏見に基づくものであることを主張した。この反撃に対し、クリントン氏から正式な謝罪やコメントは発表されていない。

ダイモンCEOの防御もむなしく、追い打ちをかけるかのように10月にはいってモルガン・スタンレーの証券部門による抱き合わせ販売も発覚しており、大手銀行のドミノ・スキャンダルは当分社会の注目の的となりそうだ。(ZUU online 編集部)

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