RBS(ロイヤル・バンク・オブ・スコットランド)が傘下、英Natwest銀行に開設されているロシア政府系TV局RT(ロシア・トゥデー)の全口座凍結に踏みきる構えだ。

RBSおよびNatwestは沈黙を守っているが、RTは「不当な扱い」として凍結理由の説明を求めている。すでにロシア側では議会が動き始めており、このまま黙秘が続けば両国の議会介入に発展する可能性があるほか、言論の自由や人権の侵害と見なす批判も飛びだしている。

ロシア外務省「英国はEUだけではなく言論の自由からも離脱」

10月17日、RTのマルガリータ・シモニアン編集長がTwitter上で、突然の凍結通知がロンドン支社に送られてきたことを公表。「銀行協定書を見直した結果、取引を停止する結論に至った」という一方的な文面には、その結論に至った過程などの説明が一切見られなかったという。

RTは「再検討はあり得ない」とRBS側の決定が絶対的なものと主張しているが、インターネットで公開された凍結通知で見る限り、12月12日の口座解約を目途に協定内容の見直しが行われており、現時点ではまだ口座は利用可能なようだ。

口座解約が正式に決定した場合、ロンドン支社に努める上級社員もRBSおよびNatwestのサービスが利用できなくなる

英政治家ジョージ・へロウェイ氏は、ロシア市民の信望を得ることで成長を遂げたRTだが、その権力が巨大化することを多数の国が恐れていると指摘。しかし英大蔵省は「政治的な圧力があったのではないか」という憶測を否定。英政府が国内に口座を所有するロシアの銀行に介入したケースは2015年2月が最後であったとし、基本的に政府は銀行間の取引に口だしすることは稀だとコメントした。

シモニアン編集長は「理由が説明できないということは、確固たる理由がないからだ」と、憤慨をあらわにしている。口座を凍結されるような何らかの怪しい動きを行ったこともなく、まったく寝耳に水といった様子だ。

RTは過去にもファンド関連の違反行為などを摘発されており、本当に主張しているほどクリーンな経営がなされているのかという点では疑問が残る。英通信規制機関、Ofcomも、RTの番組には誤解をうながす要素が含まれていると警告している。

またRBSがここ数年間にわたり、定期的にロシア人の所有口座を予告もなく解約していることなども報道されているため、人権問題を唱える声もあがり始めている。

RBSが強硬な手段に走った理由を明らかにしないのであれば、事態は政治的思惑を巻きこんで泥沼化するかも知れない。ロシア外務省は「英国はEU離脱とともに、言論の自由からも離脱するようだ」と皮肉めいたコメントをFacebookに投稿した。(ZUU online 編集部)

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