住宅ローン借入れ後に「繰上げ返済」はするべき?

住宅ローン減税をフルに受けるためには、借入れ後10年間については、注意したい点がいくつかある。

1点目は、「繰上げ返済」のタイミングだ。住宅ローンは借入れしてから早いタイミングで繰上げ返済することで元金が減るため、元金に対して支払う予定だった利息も支払う必要がなくなる。総返済額が減るため、余裕資金がある場合には繰上げ返済が有効となる。

しかし、住宅ローンの減税には、「住宅ローンの返済期間が10年以上」の条件がある。つまり、繰上げ返済することで借入れの期間を短縮し、返済期間が10年以内になると住宅ローン減税が受けられなくなるので、借入れの期間を短縮する場合は返済期間を10年以上残すようにする。

また、「繰り上げ返済開始時期」についても注意したい。年末の住宅ローン残高が大きいほど、住宅ローン減税額が大きくなるため、住宅ローン開始から10年以内は、年末に繰上げ返済するのではなく、年始に繰上げ返済すると良い。

2点目は、「金利水準」についてである。住宅ローンを1%以下の低金利で借り入れしている場合は、繰上げ返済をせずに住宅ローン減税の恩恵をフルに受けるべきだ。

繰上げ返済して1%以下の利息の支払いより、年末の住宅ローン残高の1%を取り戻した方が得であるからだ。ただし、変動金利で借り入れしている場合は、金利が変動するため将来、金利が上昇した場合には、繰上げ返済できるよう貯蓄しておきたい。

住宅ローンの借入れ金利は「融資実行時点」に決まるため注意

住宅ローン減税の制度は平成31年6月30日入居分までについては決まっているが、住宅ローン減税の年末ローン残高上限や控除率も減るなどの税制改正がないともいえない。

また、今後いつ金利が上昇するのか誰もわからない。平成28年10月現在では住宅ローン金利が1%以下で借入れできる金融機関は多くある。住宅ローンの金利が短期間で急激に上昇することは考えづらいが、金利の上昇は変動金利より固定金利の方が先に上昇するので固定金利が低金利のうちに住宅ローンの借入れできると良い。

一般的に住宅ローンの借入れ金利は、申込時点ではなく融資実行のときに適用金利が決まる。特に新築マンションなど契約から引き渡しまで1年後というケースになると住宅ローンが実行されるときには借入れ金利1%以下のつもりが1%を超えている可能性はあり得る。

タイトルの答えとしては、住宅ローン減税があり、金利が低水準である今、気に入った不動産(住宅)があれば、買うタイミングとして悪くはないだろう。

今関 倫子 ファイナンシャル・プランナー (AFP)
外資系保険会社勤務中にファイナンシャル・プランナー(FP)を目指し、AFP(日本FP協会認定)資格取得後、独立系FP事務所に転職。女性を中心に年間のべ200件以上のマネー相談を受け、多くの経験を経て独立。個人マネー相談、執筆、マネーセミナーを中心に活動中。FP Cafe登録FP。

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