好調な業績3つの理由「円高」「原油安」「積極的な出店攻勢」

好調な業績は、1年前は1ドル=120円台だった為替相場が100円台前半の円高まで水準を切り上げたことから中国などからの輸入する商品の仕入れ価格が抑えられたほか、原油価格が引き続き低水準で安定したことで、プラスティック商品の調達費用も減少したことも支えとなった。

こうした為替や商品市況の外的要因により、商品の原価上昇圧力が一服し、利益率が高まり、前年同期は売上高487億900万円に対し、売上原価が307億1300万円だったが、今期は売上高512億7300円に対し売上原価321億800万円と粗利率も改善している。

円高や原油安のメリットを生かしコスト削減につめるとともに、新機能素材の衣料や人気ブロガーとタイアップしたネイルシールなど化粧品のコラボ商品、食料品と比較して利益率の高いインテリア用品などでヒット商品を生み出し、売上を伸ばした。

ヒット商品の供給が滞らないように、店舗での商品補充、在庫管理などのオペレーションも見直し、運営効率をアップさせるとともに、データ分析を基に、商品部門と販売部門が連携して、販売実績と収益性の高い商品をはじき出し、店舗ごとに売れ行き商品の品揃えの精度の向上に努めた。

また、出店攻勢も積極的にしかけ、国内外のフランチャイズなどを含め74店舗を新たにオープンさせ、9月末時点で店舗数を計976店舗まで拡大。一方、不採算店舗は適格に撤退をするなどメリハリをつけた店舗計画を推進している。

好調な業績、株価も続伸も競合セリアよりは勢い弱い?

好調な業績を受けて同社の株価も続伸。売上高が落ち込んでいた8月は、1600円台を挟む展開だったが、10月以降急ピッチで値を上げ、足元では1800円を超える水準での取引が続く。

100円均一ショップの業界3位のキャンドゥにとっては、最大手のダイソー(非上場)、2位のセリア <2782> のライバル達との過酷な競争にもさらされている。そのセリアは、2017年3月期決算で、売上高が前年同期比11.2%増の350億6600万円、営業利益が同30.6%増の34億9700万円、純利益が37.1%増の23億6200万円と、こちらも好調を維持している。

さらに直近の売上動向をみると、キャンドゥが悪天候で苦しんだ8月も、セリアは既存店の売上高が前年同月比で1.1%増のプラスを確保。さらに9月は同2.6%増となり、その勢いはとどまることを知らない。また、株価も8月に上昇トレンドから下落に転じたが足元では再び上昇トレンドに戻り、8500円台での取引となっている。

消費者節約志向 100均頼みが続くか

総務省による8月の家計調査では、2人以上の世帯支出は前年同月比4.6%減の27万6338円で、6カ月連続の前年割れとなり、節約志向が高まっている。

消費者はまず、100円均一ショップを物色し、必要なアイテムが手に入るかチェックを欠かさず、キャンドゥなど店舗側も、企業努力により100円で販売する商品の価値を高め、消費者からの支持を集める。日銀は2017年度中を目標としてきた2%の物価上昇の達成時期が後ずれする可能性を示唆し、追加金融緩和にも慎重な姿勢を示すなか、日本経済には明るい材料を事欠く。

こうした状況下では、消費者の100円均一ショップ頼みが当面続きそうで、キャンドゥの業績にとっては追い風となるだろう。(ZUU online 編集部)

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