イングランド銀行,英経済,赤字,法人税
(写真=Thinkstock/Getty Images)

EU離脱交渉開始を目前にひかえた英国の経済に、より一層不穏な空気が漂い始めた。英独立系シンクタンク、財政問題研究会(IFS)が140億ポンド(約1兆7771億円)の財政赤字の可能性を指摘したほか、イングランド銀行(BoE)のマーク・カーニー総裁の退任話なども浮上している。

カーニー総裁の任期終了は2017年6月予定だが、緊迫する英経済への懸念は勿論、低金利政策に反対するメイ政権の圧力も加わり、地盤がゆらぎ始めている印象は否めない。任期を務めあげたとしても、その後は新総裁が誕生しそうだ。

法人税収減少、VAT低迷、借入費用増大など、不安材料が山積の英経済

今年8月に発表された英政府借入金は、予想をはるかに上回る105億ポンド(約1兆3329億円)。その際「Brexitが引き金になった」との批判が相次いだが、多くの専門家は国民投票以前から不吉な兆しが明白であったという見解を示している。

複数の要因がからみあっての結果であることはいうまでもないが、法人税収が大幅に減ったことで赤字がさらに押しあげられたとの見方が、現時点では最も濃厚のようだ。

国民投票後の急激な景気後退はかろうじてまぬがれたものの、ポンドの下落にまではブレーキをかけられず現在120円台に突入している。肝心の離脱交渉すら開始されておらず行き先が不透明な状況が続いていることから、ポンド安は当分継続するものと予想される。
「法人税収が2009年以降最低水準まで落ちこみ、英財政赤字を膨張させている」との懸念がIFSを含む複数の機関や専門家からあがり始めたのもけっして不思議ではない。ほかにもVAT(付加価値税)成長率の低迷や借入費用の増大など、不安材料は山積だ。

その結果、「秋期財政報告書」の発表を来月にひかえ、フィリップ・ハモンド財務大臣が低金利政策の代用景気刺激策を延期せざるを得ないのではないかという見方がでてきた。
そこえ加わったのがカーニー総裁の退任話だ。そもそもカーニー総裁はキャメロン政権の影の頭脳といわれたジョージ・オズボーン前財務大臣が、カナダから引きいれた「外国人の総裁」である。就任当初から非英国人を中央銀行の総裁に受けいれることへの反発はあがっていた。

EU離脱問題が引き金となり誕生したメイ政権は、キャメロン政権とは180度異なる方向性を打ちだす意図で、オズボーン前財務大臣の影を引きずるカーニー総裁の低金利政策導入を批判するなど、じわじわと圧力を加えている。またウィリアム・ヘーグ英外相は今月、英テレグラフ紙で「BoEは方向性を見失った」との手厳しいコメントを発表した。

「銀行は政治家の介入を受けない」と強気なカーニー総裁だが、キャメロン政権が赤字削減策として強引に実施した弱者切り捨てのツケを支払う羽目になりそうだ。(ZUU online 編集部)

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