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(写真=PIXTA)

中国では、日本ならとても考えられない通達がしばしば出回る。今回、最高検察庁の発表した「全面履行検察職能為推進健康中国建設提供有力司法保障的意見」もその一つだ。

近年検察機関は、人民群の健康と生命の安全、とりわけ食品・医薬品、生態環境、医療衛生の領域に関する違法犯罪の摘発に力を入れているとした上で驚くべきことを表明した。
それは「医者を始めとする医療関係者への暴力取締まりに力を入れる」である。

医療関係者への暴力犯罪

最高検察庁偵査監督庁の責任者は、正常な医療秩序と医療に当たる人員の安全を保障する必要がある。そのため各級検察機関は、捜査方法を刷新して臨み、良好な効果を追及しなければならない、とした。

実際、どのようなことが起こっているのであろうか。2015年〜2016年5月の約1年半、メディアで報道された医療関係者への障害事件は60件である。原因は、予約した高名な先生に診察してもらえない(11件)、患者の精神状態が不安定だった(10件)、診察・治療内容が気にくわない(10件)、患者が死亡してしまった(9件)、運営の方法や態度が悪い(9件)、治療効果が不満(8件)、などである。

攻撃対象となったのは、医者41人、看護師16人、被害者複数人が3件だった。また50%以上の31件は、最もランクが上の大総合病院で起こっている。筆者もテレビニュースで病院内暴力事件を見ている。

街を代表する総合病院で、患者が突然暴れ出し、書類や備品が派手に飛び散った。しかし負傷者は出なかったはずで、この統計には入っていないだろう。負傷者のカウントされる事例は、氷山の一角と見て間違いない。中国の病院は戦場そのものである。

恐怖の重点取締り項目

また最高検法律政策研究室のR主任は“平安な医院”をつくるため、司法は犯罪者への懲罰、医務人員の権益、を保障しなければならないとして、以下の6点を重点取締り項目に挙げている。

1 ニセ医者の医療行為、不法採血や献血、伝染病治療への妨害など、正常な医療行為への妨害
2 故意殺人、故意傷害、侮辱、誹謗、不法拘禁など医療関係者の合法権益を侵す行為
3 職業的犯罪団の取締り。“血頭””黒診療所”などの組織が、ニセ医者による診療や、売血、不法な人体組織(臓器)売買など。
4 不特定の患者、医療関係者を狙った、悪意に満ち、残忍な手段の脅迫行為
5 医療事故とそれに当たらないケースとの正確な判定
6 医療機構の正常秩序に対する攪乱行為

いずれも目を覆うような内容ばかりだが、実際に起こっているのだ。民間伝承にもとづく伝統の私製薬品や、無認可の国外薬品についても触れられ、これらの薬品を処方することは傷害行為となると警告している。たしかにこの種の輩は非常に多い。

抜け落ちている医療関係者側の問題

これら最高検察庁の意見は、医療機構自体の問題点や、改革の方向性にはふれておらず、片手落ち感は否めない。

先のデータ上では、予約しても診てもらえない(11件)運営方法や態度が悪い(9件)、合計20件、全体の3分の1は、病院側に起因している可能性の高いものだ。病院としては、上の1〜6のような悪意に常にさらされているわけで、上品な対応ばかりしていられない、と言い返すかもしれない。

しかし病院には、初診料を払わないと診察しない、傲慢な態度と決めつけ診断、高額な治療(手術など)への誘導、組織論理優先の運営、など目に見える問題だけでも山積みだ。まるで病院自体が中国社会の病理そのものである。

日本人が急病で中国の病院へ搬送されたとしよう。筆者は、帰国できる体力がある限り、即刻帰国して治療すべきとアドバイスする。(高野悠介、中国貿易コンサルタント)

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