百貨店ビジネスからの進化

これまでの百貨店のビジネスモデルでは、各ブランドがテナントとして入居するほか、百貨店のオリジナル商品や国内外から買い集めた商品を陳列・販売するスペースも併設した店舗が中心だった。来年オープンするGINZA SIXについて、開発を手掛けるJ.フロントリテイリングの山本良一社長は、すべての店舗をテナントとし、銀座で百貨店のビジネスモデルから脱却を示唆した。

従来のビジネスモデルからの進化を目指すが、同時に百貨店で培ったノウハウも生かしながらサービスの向上を図る。GINZA SIXでは、上顧客をもてなす「ラウンジシックス」を設ける。このラウンジには、多言語対応のコンシェルジェが常駐するほか、施設内の飲食店とコラボした特別メニュー、パーソナルスタイリング、メークアップサービスなど、これまでの百貨店でのお得意様サロンを進化させ、よりクオリティの高いサービスを提供する。

集客のために国内外の人気高級ブランドを単に寄せ集めるのではなく、GINZA SIXのコンセプトである「Life At Its Best 最高に満たされた暮らし」を満たすべく、時代の最先端を行くスタイリッシュとラグジュアリー、ハイクオリティのサービスでおもてなしをすることで、人生を充実させる価値があるものを提供する空間を目指す。

ライバル店、爆買いの落ち込みが懸念材料

GINZA SIXのオープンまで6カ月ほどの時間が残されているが、銀座の中心地ではすでにライバル店ともなる施設が続々とオープンしている。2016年3月には数奇屋交差点近くに大型の免税店が入った地上11階、地下5階の商業施設「東急プラザ銀座」がオープンしたほか、9月には「サッポロ銀座ビル」が雑賀発で「GINZA PLACE」として生まれ変わり、高級レストランや電化製品、車のショールームなどが入る。国内外からの買い物客や観光客を迎える日本の一等地である銀座は、再開発が進み、新たな競合時代に突入している。

新しい商業施設の先行きを占う上で、大きな牽引役として期待される訪日外国人観光客による需要だが、足元では、中国人観光客を中心とした「爆買い」が失速している。観光庁の2016年7-9月期の訪日外国人消費動向調査によると、日本を訪れた訪日外国人による旅行消費額は前年同期比2.9%減となり、2011年10-12月期以来、約5年ぶりに減少。1人当たりの旅行支出も前年同期の18万7166円から15万5133円に落ち込んだ。

外国人観光客による消費の冷え込みを受け、家電量販店のラオックス <8202> が、2017年12月期の売上高目標を4割ほど下方修正したほか、百貨店各社、免税店も苦戦している。こうした環境のなか、GINZA SIXが爆買いに頼らず、富裕層をひきつけ高額消費で商機をつかめるか。新たな銀座での闘いが幕開けしようとしている。(ZUU online 編集部)

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