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(写真=PIXTA)

NICB(National Insurance Crime Bureau、全米保険犯罪局)が発表した2015年に米国で盗まれた車のトップ10。日本の自動車メーカーが上位を占めており、トップ10の盗難台数に占める割合は61%にも上る。

良いことではないが、米国で盗難車の人気上位を占めるのは、日本の自動車メーカーのクルマということだ。今回は米国の盗難車事情にフォーカスしてみたい。

どんなクルマが盗まれているのか

10位 シボレー インパラ
9位 ダッジ キャラバン
8位 日産 アルティマ
7位 トヨタ カローラ
6位 ダッジ ピックアップ(フルサイズ)
5位 トヨタ カムリ
4位 シボレー ピックアップ(フルサイズ)
3位 フォード ピックアップ(フルサイズ)
2位 ホンダ シビック
1位 ホンダ アコード

日本国内で盗まれやすい車の記事を書いたことがあるが、そちらでは1位はトヨタ プリウスで2位はトヨタ ハイエースだった。両車とも人気車種がゆえの部品の転売や、車両の海外への輸出といった目的で盗まれてしまうということだった。

米国の場合でも、似たような傾向が見受けられる。それは日本車が米国で非常に人気があるということ。需要が多くなければ盗まれることはないのである。

個別に見ると、トヨタのカムリや日産のアルティマは新車が盗まれるが、それ以外は1990年代後半から2000年代初頭に作られた中古車が盗まれるケースがほとんどだ。

州別に見るとカリフォルニア州の盗難車トップ10は8万6768台と、最も台数が多い州だったが、ホンダアコードは 1996年モデル、2位のホンダシビックは1998年モデル、3位および4位のフルサイズピックアップトラックは2004年モデルのものが盗まれる結果となっており、10年超えの中古車が中心となっている。

FBIの統計によればここ3年間で、盗難車の数自体は減っているが、盗まれた車のわずか57.2%しか戻ってこないということだ。

盗まれた車は海外に運ばれ、ブラックマーケットで売られる。チョップショップと呼ばれる車の部品を売る犯罪者組織によって解体されて部品を売られたり、他の車に部品を取り付けられたりする。また、 怪しむことのない消費者に転売されるといった道のりを歩むことになる 。

盗む側のメリットから考えていくならば、どうして日本の中古車が狙われやすいのかがわかるだろう。まずは人気のある車であることが必須条件となり、燃費をはじめとした品質が良く、壊れない日本車はそこに当てはまる。日本の中古車がほしいと思っている人も、またその部品がほしいと思っている人もたくさんいるだろう。

さらに90年代後半やから2000年代初頭のクルマであれば、セキュリティのシステムもさほど進んでおらず、アナログ中心だ。年月が経って価値が低くなった日本の中古車は、所有者の窃盗に対する意識も薄い傾向があるので、盗みやすいという理由も挙げられる。

盗難車対策と新たな犯罪手口

米国では1年間に盗難される車の台数は100万台近くと見ており、33秒に一台の車が盗難されている計算になり、そのコストは64億ドル(6500億円)ほどかかっているということだ。
これはマイカーを盗まれたことがない人にも深刻な問題なのである。なぜなら、盗難車によるコストの上昇が 自動車保険の金額を釣り上げることにつながるからだ。

だからこそNICBでは、現在たいていのクルマにデフォルトでついているセキュリティーシステムに加えて、更なるセキュリティを各自で追加してつけるように呼びかけている。ハンドルロックから追跡システムまで、値段も1000円~10万円程度までいろいろあり、長い目で見れば盗難に対するセキュリティへの投資は決して無駄ではないと、強く説得しているのだ。

具体的には4段階の対策を推奨している。 第1段階はドライバーが注意することである。鍵をかける、イグニッションからキーを外す、窓を完全に閉める、明るい場所に車を止めることなど、お金のかからないセキュリティアップの方法だ。

第2段階は、アラームやハンドルブレーキペダルのロック、テープを車に取り付け、聴覚や視覚によってクルマを盗まれにくくすることである。

第3段階は、イモビライザーを使い、専用のキーでないとクルマを動かすことができないようにすることである。

そして第4段階は データの追跡システムを導入することである 。万が一車が盗難にあっても、警察や警備会社とつながっているので見つかりやすく、盗まれるのが難しくなるというわけだ。

また中古車を購入する際にはVIN番号という車両の個別番号をネットで照合し、盗難車に手を出さないようにすることも重要だ。

しかし最近、さらに手口が巧妙となった盗難車詐欺が多く見られるようになってきたという。自分のクルマが盗難にあったと嘘をついたり、初めから存在しないクルマに保険をかけたりして、保険金を騙し取るものだ。このような詐欺はガラスを割ったり、アラームのシステムを破壊したりすることなくお金を取るので、犯罪の特定がしにくい。

このようなイタチごっこの結果、盗難車にまつわる犯罪が次第に複雑化していくことで、保険金の上昇は避けられない事態になっている。善良なユーザーとしては、盗難車に対し、一人ひとりが気をつけて対策を講じていくほかないだろう。(高橋大介、モータージャーナリスト)

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