身体に負担のない「がん検診」も開発されつつある
これまでのがん検査とは、わざわざ健康な身体に放射線をあて、不快な思いにも耐えなければならないようなものが多かった。しかし、そうした状況も、徐々に変化してきている。
例えば一例を挙げるなら、最近は尿検査でがんを発見できるという検査法が確立されつつある。他には、ある一般企業と大学が連携して、アミノ酸の服用と尿検査を組み合わせた、がん検診技術の研究なども進められている。こうした検査法が普及すれば、もっと積極的に検査を受けようとする人が増えるに違いない。
我々が仕事で頑張るためには、何はともあれ身体が健康であることが、第一条件である。けれど現実は、どこも痛みがない限り、つい自分を酷使してしまいがちである。実は、がんにも前症状がないわけではないが、その大部分が通常の「体調不良」と区別がつかないため、多くは見過ごされてしまうのだ。
がんに向き合う順番を変えるという発想
「2人に1人は、がんになる」今の日本では、がんは長生きするための最大リスクの一つとなっている。そのため、日本人のがんに対する関心度は高く、がん保険加入率は30%程度になると言われている。
しかし、残念ながら保険でがんを予防できるわけではない。たしかに、保険に入れば心理的な不安は減らせるかもしれないが、加入しても、病気に対するリスクはまったく減ることはないのである。
つまり、多くの日本人の発想は、1. がん保険に入る、2. 健康診断に行く、3. 精密検査する、4. (場合によっては)治療する、という順番となっている。
この順番の最大リスクは、4. が手遅れになってしまう場合である。
ステージ1では概ね90%以上ある生存確率が、ステージ4になると概ね10%近くになってしまうのだ。
これを、1. リスク検査する、2. (場合によっては)精密検査する、3. 場合によっては治療する、という順番が可能な時代になってきた。
この順番の利点は、心身にも財布にも負担の少ない検査を定期的に行うことで早期発見に努め、何かと負担の大きい精密検査は必要な時にだけ受ければ良くなることだ。
病は、誰にでも等しく訪れる。大切なのは、わからないことを「わからない」まま放置しないことである。特に、自らが一家の大黒柱である場合は、なおのこと。発病してから慌てないためにも、病気に対する最新情報は、ぜひチェックしておきたい。
最近、筆者の周りでも、同世代の知人から「がんになった」という話をちらほら聞くようになった。ある友人は、40歳で脳腫瘍になり、42歳で白血病にかかった。娘がやっと3歳になったばかりの時に、「5年後の生存率は10%」との宣告を受けたのである。
その影響を受け、筆者は現在、サラリーマン向けに、知っておくべき最新情報の一環としてがん予防の情報発信にも力を入れはじめている。ご興味がある方は、筆者のHPを検索していただければきっとお役に立てると思う。
俣野成敏
(またの なるとし)
1993年、シチズン時計株式会社入社。31歳でメーカー直販在庫処分店を社内起業。年商14億円企業に育てる。33歳でグループ約130社の現役最年少の役員に抜擢され、40歳で本社召還、史上最年少の上級顧問に就任。『プロフェッショナルサラリーマン』(プレジデント社)や『一流の人はなぜそこまで◯◯にこだわるのか?』(クロスメディア・パブリッシング)のシリーズが共に10万部超のベストセラーに。2012 年に独立。複数の事業経営や投資活動の傍ら、「お金・時間・場所」に自由なサラリーマンの育成にも力を注ぐ。
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