人工知能の技術を使ったビッグデータ分析サービス「EIセンチメント」を活用し、日経平均株価の変動に影響を与えた市場心理を探る「EIセンチメント + ZUU online サーベイ」。今週のキーワードトップ10を紹介する。
EIセンチメントは、エコノミックインデックスが独自のビッグデータ分析サービスとして提供するもので、日経平均のように日々変動する数値指標に対して、あらかじめ指定したキーワードが同一期間にTwitter上で出現した回数との相関を解析し、数値指標の変動要因を明らかにする。
それではトップ10キーワードと影響力を見てみよう。同社が算出したデータをもとに、ZUU online編集部で「なぜそのキーワードの影響力が高かったのか」を検証してみた。
「ブレグジット」と「大統領選」に続く変化はいつ・どこで起きるのか?
順位 | キーワード | 影響力 | 出現回数 |
---|---|---|---|
1 | 大統領選 | 22.17 | 94,393 |
2 | 円高 | 20.79 | 7,439 |
3 | 離脱 | 17.13 | 16,481 |
4 | TPP | 15.49 | 24,211 |
5 | 投資 | 15.34 | 13,039 |
6 | 日経平均 | 12.38 | 6,332 |
7 | 円安 | 12.21 | 3,262 |
8 | 為替 | 11.86 | 5,693 |
9 | 景気 | 11.69 | 2,752 |
10 | 確定申告 | 10.47 | 1,255 |
(データ提供= エコノミックインデックス )
米国の大統領選挙が日本社会でこれほど話題になったことが、かつてあっただろうか?
日本時間の11月9日(水)、インターネットでリアルタイムに伝わってきた開票速報は、先週までの既定路線的な動きから豹変し、円高・株安の激震となって東京市場を揺るがした、
翌10日(木)には報道の枠を超えてテレビのワイドショーや情報番組のトップニュースとなる中で、今週のトップ10キーワードのうち9件が日別の高スコアを獲得するという、本レポート開始以来の集中日となった。
「大統領選」は前日の狼狽(ろうばい)ぶりから一転し、一連の動きを揶揄する内容が大きく拡散しているものの、裏を返せば選挙結果を認知している人々がそれだけ多くいたということを表している。
「離脱」はもともと6月にあった“英国のEU離脱:ブレグジット”を受けて加えたキーワードで、国際情勢の大きな変化を象徴する一連の出来事として出現したものの、大統領選の結果を受けた“米国のTPP離脱”といった文脈と拮抗する形となった。
「景気」は米国経済における格差問題という選挙結果の分析から派生した内容と共に、新大統領が掲げてきた政策テーマが日本の景気に及ぼす影響に関する議論が活発化した。
「円高」は前日のドル円相場に関する内容に加えて株式指数の“〇〇円高”が相乗効果となったが、「円安」と「為替」は通常の大統領選後に見られるご祝儀相場と同様に米国株の上昇を受けて株高・円安となったことでスコアを取った。
「日経平均」は前日の暴落に対し、一夜明けて今年最大の上げ幅となったニュースが拡散したが、官製相場における投機的な動きに対する政府・日銀との攻防を揶揄する内容も少なからずあった。
「投資」の多くは大統領選の結果を受けてシリコンバレーの投資家たちが落胆を示す様子を受けた話題だったが、同日、国交省が発表した“北陸新幹線の延伸における投資対効果でルート見直し”というニュースも拡散した。
「確定申告」は、大統領選挙一色の今週のトップ10で異色の存在となったが、日本の源泉税と米国の確定申告といった納税制度の違いから選挙結果を考察する内容が散見されるものの、年末調整の時期を控え、マイナンバーが始まった今年らしく、給与所得者以外は難解で煩雑な日本の納税制度に対する苦言が多く見られた。
日経平均が暴落した9日(水)に高スコアとなった「TPP」は、大統領選の結果が明らかになる前は国会審議と採決予定を受けた推進・反対両派の話題一色だったものの、トランプ氏優勢の流れの中で日本が先行して批准することの是非に関する議論が活発化した。
6月のブレグジットに続く今回の大統領選は、私たちが無邪気に仰ぎ見てきた欧米エスタブリッシュメントの予測なるものが足元の社会さえも見渡せていないことを露呈させてしまった“事件”とも言えそうだが、ならば次の“変化”はいつ・どこで起きるのか?先入観や願望をぬぐいさって見通せる視座を身につけたいものである。(ZUU online編集部)
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