高額紙幣流通廃止となったインドで、クレジットカードやデビットカードなどオルタナ決済の需要が飛躍的に伸びるとの期待が高まっている。

クレディスイスを始めとする金融機関のアナリストは、中でもVisa、マスターカードの二大大手国際カード会社が受ける恩恵が大きいと予測しており、中国に次ぐ巨大市場で壮絶な「現金VSオルタナ決済戦」が繰り広げられそうだ。

Visa「キャッシュレス化で8兆円節減」

11月8日、突然の高額紙幣流通廃止を発表したナレンドラ・モディ首相。500ルピーと1000ルピー(約822円と1644円)紙幣を発表4時間後には無効にするという荒業は、当然ながら国内に大混乱をもたらした。

モディ首相は、非合法資金の違法取引やテロリストへの偽札供給の防止対策を理由にかかげているが、廃止から2週間が経過した現在も新札の普及が遅れるなど、紙幣不足が悪化しているという。特に銀行支店、ATMなどへのアクセスが確立していない過疎地域で、国民の生活を深刻におびやかしている。

国民にとっては大きな負担となった改革だが、これまでインド市場で循環していた紙幣の86%が消滅した今、オルタナ決済企業にとっては、巨大市場での勢力増加となる絶好のチャンスだといえる。

Visa、マスターともに市場混乱の解決に向け、全力で支援する意向を明らかにしている。Visaは高額紙幣廃止直前の10月、「インドにおけるデジタル決済の発展が、今後10年間で700億ドル(約7兆8960億円)の節減につながる」とのレポートを発表。主流通貨のデジタル化によって、「地下経済に圧力を加えるだけではなく、雇用拡大にも貢献する」と見ている。

一方マスターカードは今年9月からインド政府およびインド銀行協会と提携を結び、デジタル改革の手法を探索してきた。東南アジア地域代表取締役、ポルシュ・シング氏は、「インドがデジタル経済大国に成長するうえで、必須となる大胆な決断」と、モディ首相の改革を全面的に支持。

モディ首相と対談経験のあるアジア太平洋地域アジェイ・バンガCEOは、「キャッシュレス化に貢献することがマスターカード最大の使命のひとつ」であることを、PwCのインタビューで明確にしている。(ZUU online 編集部)

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