シンガポールの金融関連企業に勤務するCFOを対象としたサーベイから、優秀な人材確保のプレッシャーが強まっていることが判明した。

100人中79%が「海外から優秀な人材を確保する必要がある」と感じており、その傾向は中規模企業が最も強い。能力の高い人材不足に悩むシンガポールの現状がサーベイ結果に反映していると同時に、自国からの人材流出を抑え、育成に力を注ぐべきだとの意見も多い。

既存の人材を育てる長期的アプローチが必須

国際化を目指すシンガポールでは、企業の求める人材が過度に不足している。金融産業ではコンプライアンス、リスク管理分野の知識、経験が豊富な専門家の確保が激選区だ。

世界最大規模を誇る米人材派遣会社、ロバート・ハーフのサーベイでは、79%が「人材不足が原因で組織革命能力が低下している」、77%が「生産性と各部門の業務量が低下している」と回答。59%は「利益創出力に反映している」と、より深刻にとらえている。

解決策として、44%が「少なくとも組織の10%に値する人材を海外から確保する」ことを検討しているが、「足りない人材を外部から補充するだけでは根本的な解決にはつながらない」との味方も強い。

トップクラスで学業をおさめたシンガポール人の2割が、海外に流失しているといわれており、海外で学ぶ留学生も、そのまま滞在先で就職するパターンが多いそうだ。これでは政府が国際化を熱心に促進している反面、自国の人材成長市場の低迷が深刻化するばかりだ。

ロバート・ハーフのマネージング・ディレクター、マチウ・ブシャール氏は、「地元の企業が人材育成に投資し、既存の従業員のスキルを高めるべき」と、長期的な視点からのアプローチを呼びかけている。

またシンガポールの人材不足に目をつけた海外の一流経営大学が、続々と現地校やコースを開設し始めたことが、解決の糸口となる得る可能性も高い。今年5月には仏名門、エセック・ビジネススクール(ESSEC)のシンガポール校が開設されたほか、INSEAD、HEC、米イェール大学マネジメントスクールなどが、競うようにシンガポールに乗りだしている。
多くのシンガポール企業が優秀な人材育成の重要性を認識しだしたという事実が、なんらかの形で自国のビジネス環境に貢献することは間違いないだろう。(ZUU online 編集部)

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