トランプ次期米国大統領は来年1月の就任初日にTPP(環太平洋経済連携協定)の離脱を表明している。米ニューヨークタイムズは11月21日、「TPPの行き詰まりは決定的、中国が最大の勝者に」と題した記事を載せている。こうした中、注目されつつあるのがRCEP(東アジア地域包括的経済連携)だ。

RCEPはASEAN+日中韓豪など16カ国のFTA

RCEPはASEAN10カ国(ブルネイ、カンボジア、インドネシア、ラオス、マレーシア、ミャンマー、フィリピン、シンガポール、タイ、ベトナム)に、日本、中国、韓国、オーストラリア、ニュージーランド、インドの16カ国によるFTA交渉だ。

これが実現すれば人口約34億人(世界全体の約半分)であり、GDPでは約20兆ドル(世界全体の約3割)となる。貿易総額は約10兆ドル(世界全体の約3割)を占める広域経済圏の出現となるのだ。それだけに日本はアジア太平洋地域の取り込みのチャンスでもあり、経済成長を維持・増進してくためには不可欠と考えられている。

しかしピーターソン国際経済研究所のシニアフェロー、ジェフリー・ショット氏はForbesの取材に対し、貿易の細部にまで入り込んだTPPのほうがRCEPよりも経済的見返りは大きいと答えている。

本当に米国はTPPから離脱するのか

TPPは米国の指導力を示す存在の意味もあったが、脱退の穴を埋めるのは日本ではなく中国の影響力の方が大きいと見る。ルールを中国に設定され米国はその時点で敗者となり影響力は衰えることになる。

では米国の参加はあるのか。ここが一番の肝になる部分だが、米国経済の中心は現在は5人のうち4人がサービス業に従事しており、サービス業では世界最大の輸出国だ。

トランプ氏は年4%の成長を公約に掲げているが、問題なのは、米国は2015年に7510億ドル(約85.1兆円)を輸出し、サービス分野で2620億ドル(約29.7兆円)の貿易黒字を出していることだ。

自由貿易と公平な貿易が同時行われるグローバル化の中でトランプ氏に説得を促すことは今後も必要になってくる。仮にトランプ政権でTPP参加が実現しなくても米国が参加する扉は開いておくべきだろう。

RCEPは制度的な面を中心とするFTAであると言われている。AFTA(ASEN自由貿易地域)や日中韓FTAを考慮しながら、物やサービス取引などの自由化を高め、経済統合を目指すといったものだ。

日本の方向性としては、米国抜きのグランドビジョンを再考するチャンスなのかもしれない。であればアジアのリーダーシップを発揮する場面が整った事といえる。(ZUU online 編集部)

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