ミシュラン・ガイド,グルメ
(画像=Webサイトより)

グルメ雑誌や口コミサイトなど、行きつけの新しいレストランを開拓するのに参考となる媒体が数多く存在する中で、グルメファンのみならず、飲食業界関係者も注目するのがミシュランガイドだ。

このほど販売された最新版「ミシュランガイド東京2017」では、12の飲食店が最高の三つ星を獲得。このガイドブックを手に各店を回るというグルメ通も多いだろうが、そもそもフランスのタイヤメーカーであるミシュランが、グルメ本を発行するのは何故か。ミシュランガイドの歴史を振り返りながら、その真髄に迫る。

初ガイドブックは1900年 無料で配布

ミシュランが初めてガイドブックをまとめたのは1900年、パリ万国博覧会が開催された年だ。当時の車は、タイヤのパンクをはじめとする故障が多かったほか、燃料補給できる場所が限られていたため、ドライブは常にトラブルとの隣り合わせだった。そこでミシュラン兄弟が考案したのがガイドブックで、タイヤの修理方法、各地のガソリンスタンド、車の整備場などの情報とともに、宿泊施設やレストランの紹介したのがはじまり。第1号の冊子は、現在と同じ赤色の表紙で飾られ、なんと無料で配布された。

いまでこそ、各都市の最新版が発売されるや、どのレストランが星を獲得したかで話題を集めるミシュランガイドだが、発行された当初は、無料ということもあり、それほど重宝されなかった。ミシュラン兄弟が立ち寄った修理工場で、ガイドブックが傾いた作業台の足代わりに積み重ねられていたのを目にし、無料配布から本としての販売に方針を切り替えたのだ。そこには、お金を出して購入したものでなければ大切にされないという思いが込められていた。

1920年にミシュランガイドの販売がスタートし、1931年に三つ星方式による評価制度を導入した。星の判定には、覆面調査員がミシュランの調査であるという事実を告げずに店舗に足を運び、飲食代金を支払って評価する。一般客を装うことで、ミシュランの調査員のための特別なサービスではなく、公平なサービスの評価を担保している。一方、身分を明かしたうえで、訪問調査を実施することもあるという。

車の性能が向上したことで車体の故障も減り、ガソリンスタンドの数も増えて給油に困ることも少なくなってきたため、ミシュランガイドの本来の目的からは遠ざかりつつようにみえる。しかし、ガイドブックに掲載された店舗を車で巡っていくうちにタイヤが消耗し、タイヤの買い替え需要を喚起できるというミシュランの思惑もあり、ガイドブックの発行は続いている。また、タイヤメーカーとしての認知は、日本国内では欧州ほどは高くないかもしれないが、「ミシュラン」というブランドは、ガイドブックによって確立され、企業価値を上げるのに一役買っているのも事実だ。

日本市場への並々ならぬ熱意を示す

100年以上も前に、ガイドブックの発行をスタートさせたミシュランだが、本国のフランス以外での影響力がすぐに広まったというわけではない。ヨーロッパ以外の地域では、ニューヨーク版が発行されたのが2005年、東京版は07年と、ガイドブックのグローバル展開の歴史はまだまだ浅い。

日本上陸後、10年目を迎えるミシュランだが、東京版を皮切りに、09年京都・大阪、10年は対象エリアに神戸、横浜、鎌倉、11年は奈良、湘南を追加した。さらに、毎年更新されない特別版として、北海道、広島、福岡・佐賀、横浜・川崎・湘南、兵庫、富山・石川版をそれぞれ発行。日本に先駆けて進出した米国では、ニューヨークに続いてサンフランシスコ、ロサンゼルス、ラスベガスの最大4つエリアの発行にとどまっており、日本市場への並々ならぬ熱意が伝わってくる。対象エリアの広い日本は、世界で最も多くの飲食店がミシュランの星を獲得した国となった。

赤字でも発行継続、有効なブランド宣伝?

世界最高峰の美食の国としてミシュランに持ち上げられた日本では、当然ガイドブックへの関心も高く、新しく出版されるたびに多くのメディアをにぎわす。一方、ガイドブックを事業としてとらえた場合、本業のタイヤと比較すると、その規模はわずかなもの。その上、デジタル化の波にも押され、赤字にあえぐセグメントだ。それでも、対象地域を拡大してまで発行を続けるのには、ガイドブックの読者がミシュランのタイヤにも関心を持ち、購入者数が増えるとも言われている所以だ。

日本国内では、ブリヂストン <5108> 、ヨコハマタイヤなど世界のタイヤ市場でシェアを争うライバルがひしめいている。ミシュランのガイドブックは、ブランドの宣伝にも一役買い、日本市場でタイヤメーカーとしての存在感を誇示する戦略が見え隠れする。ミシュランにとってガイドブックは、赤字を出し続けようが、宣伝としては有効なのだ。その狙い通り、日本の消費者の間で、ミシュランのタイヤがどこまで浸透するか、ガイドブックの裏側の闘いは続く。(ZUU online 編集部)

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