リニア,新幹線,インフラ,JR東海
(写真=YMZK-Photo/Shutterstock.com)

時速500キロ、東京-名古屋間を最短40分で結ぶリニア中央新幹線の名古屋新駅の起工式が12月19日行われた。新駅のホームなどの長さは東西約1キロに及ぶ。JR東海 <9022> は全面着工を予定している2019年までに地権者約700人との用地取得交渉も進めるという。

研究開始から50年以上たったリニア、2027年の開業を目指しているというが、費用や工事などの面で課題は山積している。

研究開始は1962年 地震が多く「超電導方式」を採用

リニアの研究が日本で始まったのは1962年。10年後の72年に当時の国鉄(JR)が浮上走行に成功した。日本航空も74年4月には成功したが、こちらは2000年に撤退を発表している。

日本のリニア新幹線は「超電導磁石」を車両に搭載しているが、これは地震が多いので浮上ギャップを100ミリ大きめにしている(上海リニアの場合は8ミリ程度)。このため強力な磁石が必要になるが次電池が不要になるので車両を軽量でシンプルな構造にできるメリットもるそうだ。

容易ではない夢のプロジェクト

研究が始まってから50年以上、リニアの建設には様々な問題が山積している。その一つが工事の残土処理問題だ。全区間のうち約9割はトンネル工事が必要だからだ。

長野県大鹿村の場合、最大1日1736台のダンプカーが往来するという指摘もあり、騒音や環境汚染など地元からは不安の声が上がっているという。深さ約1400メートルにトンネルを通す山岳部の工事は、高圧の地下水が噴き出す事も想定される。工事による河川への影響から湧き出た水を川へ返す対策も必要だ。

さらにこの工事についてはNHKが「東海道新幹線の真下での工事となるため、わずかな地盤のずれも許されず、技術的にも難しい工事になる」と報じている。

また費用の面も問題は多い。沿線用地取得には地権者が7都県に約5000人いるという。建設費も巨額になる見込みで、東京-名古屋間は約5兆5000億円掛かるといわれる。大阪までの延長部分も含めると約9兆円と試算されている。

期待の大きいリニア新幹線だが、建設以外にも課題はある。まず電力を大量に消費するという指摘。「原発数基分の電力が必要」という主張もある。また乗車時間は短くなるものの、駅が地上深くになるため、在来線からの乗り換えのためにホームに移動するのにも時間がかかると考えられている。この点はJR東海も意識しており、柘植康英社長も「エレベーターやエスカレーターを駆使し、(リニアと東海道新幹線と)3~9分での乗り換えを実現したい」と述べている。

JR東海は11月、リニアの建設費用の一部について、独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構に、約3兆円の借り入れを申請すると発表している。リニア1キロあたりの工事・建設費は約200億円といわれている。ドイツ方式を採用した上海のリニアは30キロで1500億円のため、同50億円程度となる計算だ。

東京-大阪間が2時間半から約1時間に短縮されると聞けば、期待は高まる。これまでの想定では、運賃は新幹線を大きく上回ることはなさそうだ。しかし建設・工事や用地取得に費用がかかりすぎたとき、果たしてどうなるのだろうか。(ZUU online 編集部)

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