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(写真= turgaygundogdu /Shutterstock.com)

ファスト・カンパニー(Fast Company)誌により2017年の「最も革新的な企業(The Most Innovative Companies)」が発表され、世界最大級の金融グループであるゴールドマン・サックス(Goldman Sachs)が1位に選ばれた。

た。今回で10回目となるこのランキングは、数千の企業を調査し、優れた革新性とビジネスを持つ企業を表す。金融セクターの上位10社を確認しよう。

新しい企業が8社ランクイン

10位 フォアランナー・ベンチャーズ(Forerunner Ventures)
9位 ビザ(VISA)
8位 ベンモー(Venmo)
7位 ロビンフッド(Robinhood)
6位 クワントピアン(Quantopian)
5位 アント・ファイナンシャル(Ant Financial)
4位 イーサリアム(Ethereum)
3位 IEX
2位 ディジット(Digit)
1位 ゴールドマン・サックス(Goldman Sachs)

ゴールドマン・サックス(GS)とビザ以外の8社は、新しい企業が占めている。
GSは、2016年に消費者向けオンライン融資の「マーカス」(Marcus)を開始。このサービスは借金を抱えている人を救済する目的で提供されている。過去にインサイダー取引や大きな金融危機などを乗り越えてきた。マーカスのリリースに続き、同社の株価は金融危機前の水準で2017年をスタートさせた。

10位のフォアランナー・ベンチャーズ(Forerunner Ventures)は、電子商取引(eコマース)や消費者ブランドに大きな投資をした女性経営のベンチャーキャピタルである。

9位のVISAはクレジットカード会社として有名だ。2016年、ホワイトレーベル・モバイルアプリ(Apple Payと同様にタップ&ペイ機能を持つ)やビザ・ダイレクト(VISA Direct)によるリアルタイムの支払いなど、様々な取り組みを行っている。2016年8月には、指輪をかざすだけで決済ができるNFCリングを一般に公開した。またビザは、国内外の銀行間転送について研究を進めている。

8位のベンモー(Venmo)は、個人間送金ができるスマートフォン用アプリを提供している。同社はペイパル(PayPal)に2013年に買収された。同社のアプリ名もベンモである。ユーザーはベンモを使って他のアプリでの購入ができるようになった。またこのアプリでは、送金をスピーディーに楽しく行うことができる。アプリにソーシャル機能を持たせたことで、友人とのコミュニケーションにも利用可能だ。送金取引の説明に絵文字を入れ、ソーシャルフィードに「いいね」やコメントも付けることができる。

7位のロビンフッド(Robinhood)は、手数料無料の株取引アプリを提供している会社だ。2014年にカルフォルニア州パロアルトで設立された。同社が提供しているアプリであるロビンフッドは、Appleデザインアワードを受賞した最初のファイナンスアプリとなった。更に、ロビンフッドは、中国の検索エンジン最大手企業バイドゥ(百度)と提携し、中国に進出した。これにより中国の市民が米国株式を売買できるようになった。

6位のクワントピアン(Quantopian)は、クラウドソーシングによって生まれた投資マネジメントファームである。10万人のユーザーが独自の投資アルゴリズムを作成することを可能にし、個々の投資戦略に合ったライセンス契約を提供している。2017年、クワントピアンは独自の投資ファンドを立ち上げる予定である。

5位のアント・ファイナンシャル(Ant Financial)は、中国アリババグループ(阿里巴巴集団)の金融子会社であり、アリペイ(AliPay)という中国最大規模の決済サービスを提供している。同社は、4億5,000万人のユーザーを持ち、中国のオンライン決済の58%を処理している。2016年、アント・ファイナンシャルは、顔面認証ソフトウェアのアイベリファイ(EyeVerify)を買収し、決済サービスの更なる革新が期待されている。また近年では、中国国外への展開を進めている。

4位のイーサリアム(Ethereum)は、ブロックチェーン・プラットフォームの一つである。ブロックチェーンとは、フィンテック(FinTech)を支える基盤として注目されているテクノロジーである。イーサリアムのプラットフォームは、近い将来、金融サービスの革新を担うものとして期待されている。

3位のIEXは、米国で13番目となる株式売買の取引所である。IEXは株の超高速取引を批判しており、受注から売買までの時間を遅らせることで、超高速取引に対抗している。同社は、よりフェアなトレードができることを狙っているのである。

2位のディジット(Digit)は、2015年に、チャットボット (Chatbot)をスタートさせた。チャットボットとは、「チャット」と「ボット」(ロボットの略)を組み合わせた言葉で、チャットの相手を人工知能がしてくれるものである。同社は、お金の節約を手伝い、利用者の銀行口座の入出金の情報から、自動的に貯金できるように支援するサービスを提供している。

ここまで紹介した金融セクターの企業は、ほとんどフィンテック(FinTech)に関連した事業を行なっている。まだ日本でなじみのない事業もあるが、フィンテックの革新が着実に進んでいることを実感する。これからも新たな革新が生まれ、より便利でお得な金融サービスが実現されることを期待したい。(松本雄一、ビジネス・金融アドバイザー)

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