パナソニック <6752> は4月3日に発売予定だった宅配ボックス「COMBO(コンボ)」シリーズ新製品の発売を、6月まで延期すると発表した。「宅配ボックスの急激な需要増加に伴い、既発売品の受注量が通常月の5倍以上」となったため、新製品まで手が回らないという。

宅配再配達の有料化へ宅配ボックスで対処

宅配ボックスには通常、マンション設置型、個人設置型、公共設置型(オープン型)があり、マンション設置型はかなり普及している。一括管理ができるため、宅配業者と宅配ボックス管理会社とがうまく連携されている。

オープン型は、最寄り駅や公共スペースに宅配業者が共通して利用できる宅配ボックスを設置するもの。2017年度から普及促進のため、国土交通省から設置事業者に対して設置費用の2分の1が補助される 。

個人設置型の設置率はまだ1%にも満たない。その理由としては、なにより現状再配達は無料なのだからその必要性がほとんどないのだ。

宅配ボックスはヤマト運輸から出された再配達有料化案によってその重要性が一気にアップした。この問題で個人用宅配ボックスの存在を知った人も多く、既発売の宅配ボックス「COMBO」の受注が通常月の5倍にもなってしまったという。そのため、既製品の生産で新製品の製造が滞ってしまったのだ。

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(写真=PIXTA)

宅配は全体の20%近くが再配達

宅配ボックスの需要が急激に高まった背景に、宅配の再配達有料化問題がある。宅配荷物の増加に追いつかないドライバー・配達員の人数、それによる過剰労働、再配達の問題と、宅配業界の抱える問題は大きい。

ヤマト運輸は料金値上げ、再配達の有料化を含む宅配サービスの抜本的見直しを検討し、その第1弾として2017年3月17日にサービス内容の変更を発表した。

4月24日から実施されるその内容は、当日の再配達受付時間と配達指定時間の変更だ。ドライバー・配達員・内勤者の法的休憩時間の確保や、勤務終了から翌日始業までの間に一定時間のインターバルを設けることに主眼がおかれている。当日の再配達受付時間は1時間繰り上がった(再配達自動受付は1時間20分繰り上げ)。配達指定時間では12時から14時の間は休憩時間となって、時間指定ができなくなった。宅配料金の値上げや再配達の有料化は今後検討される。

再配達はヤマト運輸、佐川急便、日本郵便の3社で平均19.6%にもなる。国土交通省は2015年6月5日に「宅配の再配達の削減に向けた受取方法の多様化の促進等に関する検討会」を開催し、問題解決に向けて対策を検討した。合計3回開催された検討会の報告書の中で、再配達削減には宅配ボックスの普及促進が重要とうたわれている。

パナソニックは2016年11月から福井県あわら市、日本郵便、ヤマト運輸、あわら市在住の共働き106世帯と協力して「宅配ボックス実証実験」実施している。2017年2月24日には、2016年10月に比べ同年12月の実績で再配達率が49%から8%に減ったと中間報告さた。再配達の減少には宅配ボックスが非常に有効な手段だということがよく分かる結果だった。(ZUU online 編集部)

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