東京地裁で行われたNNKの未払い受信料をめぐる訴訟で、国内外にビジネスホテルを展開する大手チェーン「東横イン」とグループ企業に対し、19億円の支払い命令が下された。NHKによる宿泊施設に対する訴訟は、これまでに全国で19件行われている。

19億円の支払い命令に、東横イン側は控訴の方針

全国230カ所ある東横インのホテルに設置された客室のテレビのうち、NHKが未払いの対象としたのは約3万4000台。書面による契約締結通知を行った2012年から14年1月の受信料だ。東横イン側は、「客室数に基づき契約料を一部免除することについて、NHKと合意があった」と主張。

しかし裁判では「書面の文言や放送法の観点から、免除の合意は認められない」(中吉徹郎裁判長)として、東横イン側の主張が退けられた。一部ホテルにおける約560万円分の請求は認められなかったが、未払い受信料をめぐる訴訟では過去最高額となる総額約19億2900万円の支払いが東横イン側に命じられた。

これに対し東横インの代理人は「承服しかねる判決」としており、控訴する方針。NHKは「主張がほぼ認められた判決と受け止めています」とコメントを発表している。

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(写真=Webサイトより)

法的根拠となった「放送法」。受信設備を設置すると契約の義務が発生

今回の裁判で法的根拠のひとつとなったのが「放送法」。NHKの未払い受信料訴訟では、よく耳にする言葉ではないだろうか。放送法とは健全な放送事業の発達を目的として制定された法律で、その中身は放送事業者などに関する規定である。

放送法64条1項には、「協会の放送を受信することのできる受信設備を設置した者は、協会とその放送の受信についての契約をしなければならない(…以降省略)」と定められている。また2項では「(前文省略)前項本文の規定により契約を締結した者から徴収する受信料を免除してはならない」としている。つまり、受信設備の設置とともに契約の義務が生じ(1項)、契約が締結すれば受信料の免除は認められない(2項)ということだ。

NHKが未払い受信料の支払いを求めた過去の訴訟を見ると、そこには必ずといって良いほど「放送法」が根拠として挙げられている。NHKの訴えが棄却されたケースにおいても「放送法」が絡んでいるが、その際の争点は「契約」に置かれている。これまでの傾向を見ると、契約が正しく締結されたかどうかが判決を左右し、締結されている場合には支払い命令が下されているようだ。

2010年から強制執行を開始。未払い問題の解決策にはさまざまな意見も

NHKによる未払い訴訟のきっかけは、10年以上前までさかのぼる。2004年、週刊誌の報道によってNHKの不祥事が明るみになり、その後運営体制におけるさまざまな問題が発覚。批判の高まりとともに、受信料の不払い事案が多発した。

放送法には違反した場合の罰則はなく、未回収料金の膨張について度々メディアに取りざたされるようになったのだ。そこでNHKは2010年頃から、未契約や未払いの個人に対する民事訴訟を開始した。

事業所を対象とした訴訟も増え続けており、2017年3月10日には本社が愛知県にある宿泊施設が提訴されている。東海・北陸エリアに本社を置く事業所に対する訴訟は今回が初めてだが、未払い事業所への提訴は今後も拡大が予想される。

NHKの受信料をめぐってはかねてからさまざまな議論が行われている。今回の判決を受けてすでにSNS上ではコメントが急増。東横イン側の不服申し立てによって裁判が長引く中、受信料の議論は再び熱を帯びそうだ。(ZUU online 編集部)

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