税金,海外赴任,サラリーマン,不動産所得,所得税,住民税
(写真=PIXTA)

家計が外貨建てで運用している金融資産の残高は、この10年あまりで4倍弱に増加しているといわれており、38兆円まで上がっています。増加分の大部分は、外貨建て運用投資信託を通じての増加といわれ、外貨預金や対外証券投資はほとんど伸びていません。また、家計金融資産総額のうち、外貨建て運用部分の比率は3%にも届いていません。

しかし、実際に行動はなかなか踏み出しづらいものの、国内だけでの運用に不安を感じ、外貨での運用については学んでおきたいという気持ちを持っている方は多いのではないでしょうか。個人の運用においては「貯蓄から投資へ」と同じように「円建てから外貨建て」もスタートを切ったばかりなのです。

そのような状況の中、今回は、 日経ビジネス 2012年2月13日号の特集、「こんなに身近になった個人の海外投資」を参考に、身近な所から取組みやすい海外投資の手法をまとめてみたいと思います。

参考: 閉じ込められる個人金融資産1500兆円

◉取組みやすい海外投資の手法


◯中国人民元の購入

2011年、中国銀行(バンク・オブ・チャイナ)の東京支店では、口座数が前の年の2.7倍に増えました。増加分の約半分は、日本人の個人客が開設した中国人民元の預金口座だそうです。

将来的な人民元高・円安による為替差益の期待から、人民元は人気の通貨の一つとなっています。人民元の預金金利は低いため、金利目的で投資をする魅力は今のところはあまりなく、長期的な人民元高による為替差益に期待して保有する方が多いようです。

◯ブラジルレアルを買う

ブラジルレアルは金利水準が高いため、人気通貨の一つとなっています。しかし、資金流入制限が厳しいという事もあり、レアル建て定期預金を扱う銀行は少ないようです。
(日本ではイタウ・ウニバンコ銀行や、ネット銀行のソニー銀行などが扱っています。)

また、ブラジルレアルの注意点は、為替変動が激しいことです。
預入期間が比較的短いため、期間中に大幅な為替下落局面に遭遇すると、元本割れリスクが高くなります。そのため、レアル安の間は「今がチャンス」と預け入れる人が増えるようです。

◯マイナー通貨の購入

FXを使うことで、シンガポールドルや南アフリカランドをはじめ多くの通貨が扱われており、マイナー通貨にも投資が可能です。
マイナー通貨の中には、ブラジルレアルと同様に金利が比較的高いものがあることが魅力です。しかしその反面、流通量が少ないため値動きが荒くなる傾向があります。

長期での分散投資が前提であるなら、一時的な円高がきても慌てないように、幅広い通貨を少しずつ買う事がお勧めといわれています。
またマイナー通貨は、発行国の経済状況や政策などに関する情報が得にくいという難点もあります。しかし、最近ではFX会社が情報を集めて、個人向けに提供するケースも増えているため、マイナー通貨への投資を考えている人は参考になるかもしれません。
※カカクコム・フィナンシャルやIGマーケッツ証券など

◯節税もできるゼロクーポン債

債券を通じて外貨建て資産を買う方法もあります。債券の中でも注目されているのが、利子(クーポン)がゼロの代わりに、あらかじめ額面より 安い価格で購入できる、ゼロクーポン債です。

野村証券や大和証券といった大手証券では、米国債などの外国籍ゼロクーポン債を多く取り扱っています。
80ドルで買った残存期間10年の債券が、満期時には100ドルになって返ってくるため、この差額の20ドルが利益となります。利払い金が無いので、運用期間中に利息に対する税金がかからない点が魅力であり、残存期間が長いほど高い利回りが期待できます。

◯税金面で有利な外貨MMF

税金面で有利な投資商品としては、外貨MMF(マネー・マーケット・ファンド)も挙げられます。これは投資信託の一種ですが、外貨普通預金のような側面も併せ持ちます。

例えばドル建てやユーロ建て、あるいは豪ドル建てなどの短期公社債で運用され、外貨普通預金のようにいつでも解約して円に替えられるのが特徴です。外貨ベースでの元本割れリスクもほとんどなく、外貨投資の入門者にも取っ付きやすいといえます。
最大のメリットは、購入後に外貨が値上がりして売却寺に為替差益が発生した場合でも、税金がかからないことです。また、毎月の自動積み立てにも対応しているため、使い勝手がいいようです。

参考: 海外逃避したい日本人VS規制を強化する日本政府