京都,景観保護
京都市が電柱地中化を進める花街の先斗町。飲食店や茶屋が狭い路地に並ぶ(写真=筆者)

目次

  1. 電柱を撤去し古都らしい風情に
  2. 地中化工事に電線を集約する新工法を採用
  3. 小川通は路面舗装にも工夫し、工事が完成
  4. 大きく遅れた無電柱化、市は挽回へ意欲的

※2017年5月配信記事を再編集したものです。

電柱を撤去し古都らしい風情に

京都市中京区の先斗町で電線や通信回線を地中に埋設する工事が始まった。京都を代表する花街の景観を向上させ、急増する観光客に古都らしい風情を提供するのが狙いで、狭い路地に建てられた17本の電柱を撤去し、2019年度末の完成を目指す。

市内では国や京都府、市が電線地中化を順次進めてきたが、地中化率は2014年度末で2%と、東京23区の7%、大阪市の5%に後れを取っている。市は「家元通」と呼ばれる上京区の小川通を無電柱化したほか、左京区の銀閣寺周辺でも工事を進めており、観光都市としての景観向上に全力を挙げる方針だ。

地中化工事に電線を集約する新工法を採用

先斗町で電線や通信回線が地中に埋設されるのは、北端から四条通までの約490メートル。店舗の営業を妨げないよう未明から早朝に一部を通行止めにして進めている。道幅が平均1.8メートルほどと狭く、地中に上下水道管やガス管が既に埋設されているため、電線や通信回線を道の両側の路面直下に集約して埋設する新工法を採用する。

先斗町は飲食店や茶屋のほか、舞妓らが踊りを披露する歌舞練場が軒を連ね、細い格子やひさしを備えた伝統的な木造建築物が並んでいる。京都ならではの風情が漂う通りとして連日、大勢の観光客でにぎわっているが、電柱や電線が情緒を台なしにしていた。

先斗町では住民が5年ほど前から景観に合わない大型看板、ネオンなど広告物を自主的に撤去してきた。しかし、看板がなくなると電線が余計に目立つようになり、住民が2013年、市へ電線の地中化を要望していた。

当初、これだけ狭い路地で地中化は困難と考えられていたが、電線を集約する新工法や地上に設置する機器を縮小する新技術が登場し、着工にこぎつけた。

市は左京区の銀閣寺周辺でも電柱の地中化工事を進めており、その他の地域でも地元住民と協議が整った場所から順次、工事に入りたい考え。京都商工会議所も「観光面で良い効果が出るはず」と期待している。

小川通は路面舗装にも工夫し、工事が完成