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Written by 高田泰 105記事

東京23区の地中化は7%

古都の景観を守れ 京都・先斗町で「無電柱化」事業スタート

京都市中京区の先斗町で電線や通信回線を地中に埋設する工事が始まった。京都を代表する花街の景観を向上させ、急増する観光客に古都らしい風情を提供するのが狙いで、狭い路地に建てられた17本の電柱を撤去し、2019年度末の完成を目指す。

市内では国や京都府、市が電線地中化を順次進めてきたが、地中化率は2014年度末で2%と、東京23区の7%、大阪市の5%に後れを取っている。市は「家元通」と呼ばれる上京区の小川通を無電柱化したほか、左京区の銀閣寺周辺でも工事を進めており、観光都市としての景観向上に全力を挙げる方針だ。

地中化工事に電線を集約する新工法を採用

京都,景観保護
京都市が電柱地中化を進める花街の先斗町。飲食店や茶屋が狭い路地に並ぶ(写真=筆者)

先斗町で電線や通信回線が地中に埋設されるのは、北端から四条通までの約490メートル。店舗の営業を妨げないよう未明から早朝に一部を通行止めにして進める。道幅が平均1.8メートルほどと狭く、地中に上下水道管やガス管が既に埋設されているため、電線や通信回線を道の両側の路面直下に集約して埋設する新工法を採用する。

先斗町は飲食店や茶屋、舞妓らが踊りを披露する歌舞練場が軒を連ね、細い格子やひさしを備えた伝統的な木造建築物が並んでいる。京都ならではの風情が漂う通りとして連日、大勢の観光客でにぎわっているが、電柱や電線が情緒を台なしにしていた。

先斗町では住民が5年ほど前から景観に合わない大型看板、ネオンなど広告物を自主的に撤去してきた。しかし、看板がなくなると電線が余計に目立つようになり、住民が2013年、市へ電線の地中化を要望していた。

当初、これだけ狭い路地で地中化は困難と考えられていたが、電線を集約する新工法や地上に設置する機器を縮小する新技術が登場し、着工にこぎつけた。

市は左京区の銀閣寺周辺でも電柱の地中化工事を進めており、その他の地域でも地元住民と協議が整った場所から順次、工事に入りたい考え。京都商工会議所も「観光面で良い効果が出るはず」と期待している。

小川通は路面舗装にも工夫し、工事が完成

表千家不審菴や裏千家今日庵などがあり、茶道文化の中心となっている小川通は、上御霊前通から寺之内通までの約250メートルで、計11本の電柱が撤去され、電線や通信回線が地中に埋設された。

小川通は寺社が多く、古くからの木造建築物が並んでいる。道幅3~7メートルの路地だが、インターネット上では「家元通」と呼ばれ、海外からの観光客も増えている。

電線、通信回線の地中埋設に合わせ、路面の舗装も石畳風に改めた。裏千家家元の千宗室さんから「電線をなくしても従来の舗装では画竜点睛を欠く」と要望を受けたためで、市は打ち水などの水分を舗装内に蓄え、晴れた日に蒸発して路面温度の上昇を抑える構造の石畳風アスファルトを素材に採用した。

草履をはいた人が路面を歩くと「ひたひたひた」という音が聞こえてくる。視覚だけでなく、聴覚からも京都らしい風情を味わってもらおうという心憎い演出だ。

4月の完成式典で門川大作市長は「実際に歩いてみて景観に音が含まれると感じた。素晴らしい景色とともに、足音も感じてほしい」とあいさつした。京都市道路環境整備課によると、無電柱化を実現した街並みは観光客にも好評だという。

大きく遅れた京都の無電柱化、市は挽回へ意欲的

欧米では、電線の地中化が古くから進み、英国のロンドンやフランスのパリなど100%に達した例が珍しくない。アジア諸国でも中国の香港が100%に到達したほか、台湾の台北やシンガポールが90%以上、韓国のソウルやインドネシアのジャカルタが30~40%台の地中化率を示している。

日本では1980年代から本格的に電線の地中化工事が始まったが、地中化率が最も高い東京23区でも7%と世界の潮流から大きく遅れている。このため、超党派の国会議員が提出した無電柱化推進法が2016年末に施行され、国を挙げた推進の動きがようやく出てきた。

京都市では、南区の東寺(教王護国寺)前を通る国道1号線の京阪国道口から九条大宮間約300メートルや、下京区の東本願寺前を走る烏丸通(国道24号)の烏丸七条から烏丸上珠数屋町間約400メートルなどで、無電柱化工事が進んだ。

国土交通省京都国道事務所は「市内の直轄国道は順次、無電柱化を進め、京都らしい街づくりに貢献したい」としているが、府道や市道も含めると、工事は部分的にしか進んでいない。その結果、世界中から観光客を集めているにもかかわらず、名所や観光地の景観を台なしにする電線が目立ち、電柱のない街並みに慣れた外国人観光客らの不評を買ってきた。

京都市道路環境整備課は「京都の景観に電線は不釣り合い。市民や観光客に本来の素晴らしい景観を味わってもらえるよう予算の許す範囲で工事を進めていきたい」と意欲的に語った。

高田泰 政治ジャーナリスト この筆者の記事一覧
関西学院大卒。地方新聞社で文化部、社会部、政経部記者を歴任したあと、編集委員として年間企画記事、子供新聞などを担当。2015年に独立し、フリージャーナリストとしてウェブニュースサイトなどで執筆中。マンション管理士としても活動している。

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