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NISAが始まって2カ月ちょっと(執筆時点2014年3月7日)経ちました。

2014年になってからの株価推移を見るに、NISAを機に株式投資を始めた投資家のうち、特に日本市場を中心に投資している人は、あまり利益が出ない事に思い悩んでいるかもしれません。最近は少し上昇傾向ですが、年明け以降は暫く停滞していた銘柄が多かったからです。

本稿から5回に渡り、『日経マネー』2014年2月号に掲載された「初心者厳禁! 中・上級者向けの刺激的な運用アイデア19選:裏NISA」で紹介されたユニークな運用法を紹介していきます。


紹介記事について

本稿で紹介する『日経マネー』の記事は、マネーライターの萬真知子氏によるもので、ファイナンシャルプランナーの深野康彦氏らの協力を元に整理されています。萬氏は、NISAにおいてインデックス型投資信託やバランス型投資信託ばかりではなく、投資のやり方はもっと自由なものであると主張しています。リスク許容度が高い投資家に限っては、記事で紹介される手法も選択肢に入り得るという事です。

但し、記事は「初心者厳禁」とありますが、記事の媒体や内容からすれば初心者ターゲットにしか見えません。

本シリーズでは、投資初心者が元記事の手法のメリット・デメリットが理解出来るように整理し、その改善案も含めて紹介していきます。なお、19種類のうち1種類は既に出来ないものなので、紹介するのは18種類です。


家族全員で優待銘柄を持って5年間で米200kg獲得!

低コストの投資額で家族を総動員し、米を大量に株主優待として取得するという方法が紹介されています。

マツヤ(7452)等では低い投資金額で5kgや10kgの米を株主優待として貰える事などから、この種の銘柄を家族全員で購入すれば、株主優待を大量に貰え、「心理的に」お得な気分を味わえるというものです。

金銭的リターンから考えればあまりオススメ出来るものではありませんが、「欲しい株主優待」を狙って投資するというのは、株式投資を始めるに当っては悪くないかもしれません。


1単元数万円の株を100万円まで30~50銘柄買ってみる

最低投資金額を安い銘柄をヤフー・ファイナンス等で調べ、それを限度額いっぱいまで購入するという手法が紹介されています。リスクを少し下げるなら、赤字決算続きの企業や無配銘柄のみを避けて多くの銘柄を購入するという方法も提案されています。

この手法の肝は、景気が上向くとすれば破綻リスクも小さい上、仮に一部の企業が破綻したとしても、一部の企業が大きく値上がりすれば全体的にペイする可能性は高いという事です。

プロのトレーダーも全体では市場平均を下回っている事が多いほど市場を予測する事は現実的には難しいので、企業の詳細を見ずに分散投資する手法はハイリターンは難しいかもしれませんが、市場平均に近いリターンを得られる可能性はあると思います。
但し、国内銘柄だけに多く投資する事は実はあまり分散投資にはなっていない上、最低投資金額を低くしている企業には何らかのバイアスがある可能性があるので、リスクの割には期待リターンが小さいかもしれません。


レバレッジの効いたブルベア型投信・ETFで1カ月で白黒付ける!

レバレッジのかかったブルベア型投資信託(3倍)やブルベア型ETF(2倍)といった値動きが大きい銘柄を短期的に投資して、一気に100万円の枠を使うという手法が紹介されています。日本株だけでなく、海外株も選択肢に入ると補足されています。

これは前節のようなミドルリスク・ローリターンではなくハイリスクハイリターンであり、リスクを許容出来る投資家はそのまま実行しても良いかもしれません。

時期として考えられるのは、消費税増税までの駆け込み需要でブル型、消費税増税後の落ち込みでベア型、中国のリスクが顕在化した時にベア型など様々なタイミングが考えられるでしょう。


ネット証券の優待利回りランキングの上位銘柄で20%優待を狙う

株式投資において株主優待を狙うというのは、投資への敷居を押し下げるものと言え、表題のような優待利回りが高い銘柄に集中的に投資し、保有し続けるというのは、ポピュラーな方法と言えるでしょう。
優待利回りが高い銘柄は人気があるので株価が値下がりしにくいというメリットも指摘されています。

但し、財務状況などに何らかの問題があるが故、配当・優待を高利回りにしている企業も存在するので、単に「高利回り銘柄」であるというだけで、単一銘柄に投資を集中させてしまうのはあまりにもリスクが高いと言えるでしょう。

本当は財務状況を自らの目で確認するのが良いですが、それが出来ない場合も多いでしょう。実際には投資金額が低くても期待利益率が高い株主優待は多いので、複数の高優待利回り銘柄に分散投資するなどで、そのリスクを軽減させる事が可能でしょう。


改善案

ここまでの内容を整理すると、以下の2つの方法に整理・修正する事が可能だと思います。
なお、この方法が必ずしも合理的かつ安全というわけではなく、敢えて上記の方法を改善するという条件付きである事に注意してください。本来は銘柄自体を知る事は重要だからです。

・リスク許容度が高い投資家は、市場トレンドが大きく変わり方向性が予想しやすい時期に「ブルベア型投資信託」に集中的に投資する。
・リスク許容度が低い投資家は、優待利回りが高く、かつ、最低投資金額が低い銘柄に多数投資する。

参考文献
萬真知子「初心者厳禁! 中・上級者向けの刺激的な運用アイデア19選:裏NISA」『日経マネー』2014年2月号

BY たけやん:経済学修士号取得後、株価推定事業・研究を行っている

photo credit: JSitthi via photopin cc

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