前週(6/26〜6/30)の東京為替市場で円は3週続落、23日の東京銀行間のインターバンク市場の17時のレートは112円07銭で終え、週間で88銭(0.%)の円安だった。ドル円の高値は112円58銭(6/29)、安値は111円31銭(6/26)だった。
週初はFOMC後のリスクオンの流れで円安が進み、27日にはドル円は5月24日以来の112円台をつけた。29日に欧州中央銀(ECB)のドラギ総裁が金融緩和の終焉(テーパリング)を思わせる発言をしたため、株安債券安のリスクオフとなり、30日には一時111円70銭程度までの円高に振れたが、週間では円安の流れを維持した。
前週(6/26〜6/30)の振り返り
26日の東京為替市場では円は続落、17時のドル円レートは前日比27銭円安の111円46銭だった。FOMC通過後の材料難でドル円は111円30銭を中心として小動きで日中のレンジはわずか29銭だった。
27日の東京為替市場では円は3日続落、17時のドル円レートは前日比18銭円安の111円64銭だった。26日のNY為替市場では、5月の米耐久財受注速報、5月シカゴ連銀全米活動指数、6月ダラス連銀製造業活動指数がすべてコンセンサスを下回り、追加利上げ観測が後退し111円36銭までの円高が一時進んだ。しかし、懸念していた原油価格が反発し、米長期債利回りが2.15%台に上昇したため、ドルの売りは仕掛けづらい状況。リスクオンから円安に戻る展開となった。
28日の東京為替市場では円は4日続落、17時のドル円レートは前日比52銭円安の112円16銭だった。ドラギ総裁は欧州経済が改善しており、金融緩和策の調整を行なうことが可能と発言。テーパリングを示唆する発言を受けてユーロ買いが優勢となり、クロス円で円安がすすんだ。ユーロドルが昨年8月以来の1.13ドル台、ユーロ円は昨年4月以来の127円台に乗せた。
29日の東京為替市場では円は5日続落、17時のドル円レートは前日比35銭円安の112円51銭だった。海外株が前日の下げから反転。原油先物が時間外取引で45ドル近辺に回復したことで、リスクオンの円安基調が続いた。日中は一時112円58銭と5月17日以来の円安をつけた。
30日の東京為替市場では円は6日ぶりに反落、17時のドル円レートは前日比34銭円安の112円07銭だった。海外市場では、欧州のテーパリング懸念に、米国ハイテク株の急落がありリスクオフで株安、債券安となった。米長期債利回りは2.2%乗せとなり、日米金利差拡大の思惑から円安トレンドは継続した。米1−3月GDP確定値が前期比1.4%増と、改定値の1.2%増から上方修正されたこともあって、海外市場では円の安値は112円93銭まであり、113円台をうかがう動きだった。
日本の株式市場が海外株安とハイテク株安の影響で朝方ギャップダウンして始まり、2万円を2週間ぶりに割り込むのをみながら、ドル円も一時111円73銭までリスクオフの円高が進んだ。もっとも、日本株が下げ渋り引けに2万円を回復するのを見ながら、ドル円も112円台に回復して週の商いを終えた。
先週の海外動向を振り返る
29日の欧州テーパリング懸念と米ハイテク株安によるリスクオフから注目された30日の海外動向だったが、株も反発し、ドル円も戻すという展開になった。NYダウの週間の騰落は6週ぶりの下落となったが、木曜日の下ひげの長い底値から金曜日戻して終わっているので投資家心理的には悪くない。米長期債利回りは2.3%台まで上げており、日米金利差拡大からドル円は112円40銭台まで戻した。
「7/3〜7/7」の為替展望
今週のドル円のメインシナリオは110円93銭から113円12銭レンジでの展開が想定される。米経済指標がコンセンサスより強ければ円安、弱ければ円高という今は流れで、米国の景況感とFRBの利上げペースを見極めている状態が続いている。そういう意味では、今週の日銀短観と米雇用統計は非常に重要な指標だ。
ただ、先週から経済指標が悪くてリスクオンになっても円高に一瞬振れるだけで円高トレンドが続かないようになってきている。これには、ヘッジファンド等による円キャリートレードの積み増しが始まっているとの指摘が出てきている。
ドラギECB総裁のテーパリングの含みをもった発言後、欧州金利が急騰、日本の金利は低位継続しているため、円で資金調達して、欧州通貨で運用する円キャリートレードが始まったようだ。円キャリー残高が増えると、円を売って外貨を買うことになるので円安要因になる。この動き次第では円安が進む可能性がある。
テクニカルでは、21日移動平均の110円93銭がドル円のサポートになるだろう。抜けた場合は5月18日安値の110円25銭が次のサポート。レジスタンスは、5月17日高値の113円12銭だろう。これを抜けるなら5月12日高値の113円95銭が次のレジスタンスになる。
今週は重要なイベントは、日本では2日の東京都議選。加計学園問題で安倍政権の支持率が急低下しているなかで、自民党が都議選でも議席を大きく失うようだと政治不信が広まる。海外では3日から4日に中国習国家主席がロシア訪問。4日は米独立記念日で米国市場休場。6日は日・EU首脳会談で日米EPA協定を話し合う、ECB理事会(6月8日分)の議事録も公開される、7日から8日にG20サミット(独ハンブルク)。ECBのテーパリングが話題だけに注目度は高い。
経済指標は、日本では3日の日銀短観が一番の注目。大企業製造業のDIのコンセンサスは15。7日には5月の景気CI指数が注目される。海外では3日に米6月ISM製造業景況指数、6月自動車販売、ユーロ圏6月製造業PMI、4日にユーロ圏5月PPI、5日に米5月耐久財受注、製造業受注、ユーロ圏5月小売売上、6日に米6月ADP雇用統計が発表される。ADPのコンセンサスは非農業部門雇用者数で18万3000人増。7日には注目の米6月の雇用統計がある。雇用統計は失業率のコンセンサスが4.3%。非農業部門雇用者数は18万人増。先月はADPと雇用統計で為替が大きく動いただけに目は離せない。ドラギ発言のあとだけに、欧州経済指標にも今週はいつも以上に注目が集まるだろう。(ZUU online 編集部)
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