経費を使うなら、「どのくらい節税になるのか」、その効果を把握した上で、戦略的に使うことが重要です。わかりづらいと思いますので、具体例で考えてみましょう。

(本記事は、渡邊浩滋氏の著書『 大家さん税理士による 大家さんのための節税の教科書 』ぱる出版(2017/6/16)の中から一部を抜粋・編集しています)

不動産投資,節税,大家
(画像=Webサイトより)

戦略的な経費の使い方

【問題】
課税所得金額(所得控除後の所得で税率をかける前の所得)が1000万円ある方がいます。経費を1年で300万円使う(1)と、1年あたり100万円を3年間使う(2)では、どちらが税金上有利になるでしょうか?

支出する金額の合計は300万円で同じです。1年間で支出するのと、3年に分けて支出するのと、支出するタイミングが違うだけです。正解を見てみましょう。1年目~3年目にかかる所得税・住民税を出し、3年間の合計を比較しています。3年間のトータルですと、(1)の合計が730万円、(2)の合計が708万円となります。(2)の方が3年間トータルで22万円税金が安くなるのです。

支出金額が一緒でも税金が異なる

支出した金額が同じなのに、なぜ税金が違うのでしょうか? これは所得税が超過累進税率といって、5%~45%の間で段階的に税率が適用されるからです。

900万円を超える所得には33%の税率、695万円を超えて900万円以下については23%の税率が適用されます。

つまり、(1)の1000万円の所得から300万円の経費を計上するということは、1000万円から900万円までの100万円分の所得については33%の税率分が控除され、900万円から700万円までの200万円分の所得については23%の税率分が控除されることになります。

(2)の100万円の経費計上を3年間した場合は、1 0 0 0 万円から900万円までの100万円分の所得に係る33%の税率分控除されるのが3年間できることになるので、節税効果が高くなるのです。

経費は高い税率から控除する

つまり、経費は高い税率から控除した方が、効果が高いのです。これをわかっていないと、一生懸命高い経費をかけて税金を減らそうと思っても、結果的に低い税率分を削っている(節税効果が低い)ことがよく起こります。

所得税のような超過累進税率の場合には、経費を分散させ、高い税率を削る方が、税金的にはトクになるのです。これを「経費の分散化」と私は言っています。

ただし、1年に多額の経費をかけることが悪いということではありません。その年の税金が減ることになるため、資金繰りの面では、その方がよいということもあります(P121の例では、1年目で66万円の差が出ます)。そこは経営判断になります。ただ何も考えずに経費を計上するのは経営判断ではありません。

渡邊浩滋(わたなべ・こうじ)
税理士・司法書士渡邊浩滋総合事務所 代表。税理士試験合格後、実家の大家業を引き継ぎ、空室対策や経営改善に取り組む。大家兼業税理士として悩める大家さんのよき相談役となるべく、不動産・相続税務専門の税理士法人に勤務。

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