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今回は、国際金融市場を分類して、それぞれについて解説したいと思います。まず、市場機能による分類として伝統的市場とユーロ市場を取り上げ、取引対象による分類として原資産市場とデリバティブ市場を取り上げます。最後に、国際金融市場の意義について整理します。


市場機能による分類と取引対象による分類

国際金融市場とは、その名の通り「国際間で金融取引を行う市場」の事ですが、その内実には様々なものがあります。金融取引は資金調達や運用などがあるわけですが、上川(上川・藤田編, 2012: 第5章)では、その市場が持つ機能や取引される商品によって大まかに4つに分類されています。

市場機能による分類
1伝統的市場
2 ユーロ市場

取引対象による分類
3 原資産市場
4 デリバティブ市場

それでは、この4種類について順番に説明していきましょう。


伝統的市場

伝統的市場は、要するに伝統的国際金融市場の事ですが、金融取引が国際化する中で最初に現れた市場の形を言います。特定の国の金融市場に非居住者が取引に参加する事で形成され、そこでの国際金融取引は、現地の通貨建てで行われます。ニューヨーク・東京・ロンドンが代表的な伝統的市場になります。

細かく見れば、満期1年未満の資金が取引される短期金融市場と、満期1年超或いは償還起源の無い金融商品が取引される長期金融市場に分類可能です。短期金融市場は、CP市場やCD市場、コール市場、債券現先市場などがあります。長期金融市場は、株式市場と債券市場が主な市場です。


ユーロ市場

伝統的市場は国内で当該国通貨建取引を行う市場ですが、ユーロ市場は国外で当該国通貨建取引を行う市場を言います。ユーロ市場のユーロは共通通貨のユーロではなく、ヨーロッパで最初に発達した金融取引市場であるから名付けられた事によるものです。世界最大のユーロ市場はロンドンにあります。 伝統的市場と最も異なるのは、当該国の規制や市場慣行を免れる事が多い点で、預金や貸付、証券取引、デリバティブ取引などが多くの場合、米ドル建てで行われています。 ユーロ市場の一種にオフショア市場というものがありますが、これはユーロ取引を「非居住者同士に限って認める」市場です。


原資産市場

取引対象から見ると、原資産市場とデリバティブ市場に分けられます。前述の伝統的市場においてもユーロ市場においても、基本的には外国為替や預金、債券、株式といった金融商品が取引対象でした。こうした資産が取引される市場を原資産市場若しくは原債務市場と言います。

ここでは特に深く掘り下げる事はしませんが、上記の金融商品を取引する所謂「金融市場」と考えてもらって構いません。寧ろ、この原資産市場という言葉は、次の「デリバティブ市場」を考える上で重要なキーワードになります。


デリバティブ市場

一方で、原資産をベースとした先物取引やオプション取引を行う市場をデリバティブ市場と言います。原資産には、前述した外国為替や預金、債券、株式だけでなく、株価指数や作物、天気や気温、災害まで様々なものがあります。 デリバティブは、こうした原資産と関係を持ち、その「価格変動リスク」をヘッジする事が主たる目的の商品で、金融派生商品と呼ぶ事もあります。そのデリバティブを対象とした取引がデリバティブ取引です。 別の機会に解説しますが、デリバティブ市場で行われる取引には、先物予約(フォワード取引)・通貨先物(フューチャー取引)・通貨オプション取引・通貨スワップなどがあります。

近年急速に発展している国際金融市場であり、その背景には、

1変動相場制の定着や金利自由化に伴う金融商品の価格変動リスクや信用リスクが増大したこと
2 IT技術の発展による複雑な金融商品の開発や取引が容易になったこと
3 BIS自己資本規制を受け、資産を抑制しつつ収入を増やす為に銀行がデリバティブ市場を利用してきたこと

が挙げられています。(同上, p. 94)

リーマンショック以後はCDS(クレジット・デフォルト・スワップ)等は一時よりも減少していますが、デリバティブ市場自体は依然として大きいです。


国際金融市場の意義

金融市場は端的に言えば、資金余剰部門による供給と資金不足部門による需要が取引される場所です。国際金融市場は、その需要と供給をマッチングさせていく過程で発展してきました。

貸出は勿論、株式投資も出資を望む企業と出資する投資家のマッチングです。ユーロ市場が発達したのは金融規制から逃れる為の資金の移動先を求める過程で登場し、また、国際収支赤字によって過剰になっていたドル資金の運用先として積極的に使われるようになった市場ですし、デリバティブ市場もリスクの逃避先を求める需要とそれに対応する供給側の存在が発達を進めています。

そういう意味で、国際金融市場の意義には大きく分けて3つあり、

1資金の調達や運用といった資金需要と供給のマッチング
2 リスクヘッジや裁定取引を行う場所3
3 経常収支赤字国(貯蓄不足・投資超過国)と経常収支黒字国(貯蓄超過・投資不足国)のギャップ解消

があります。

今回紹介したのは国際金融市場の一部とほんの概要であり、その仕組は日夜複雑化・多様化しています。資金需要と供給がある限り国際金融市場は重要であり続け、その発達は今後も続くので、注意深く市場を見る必要があるでしょう。

参考文献:上川孝夫「国際金融市場」(上川・藤田編(2012)『現代国際金融論〔第4版〕』有斐閣)

BY たけやん:経済学修士号を取得後、株価推定の事業・研究を行っている