ビジネスにおいてコミュニケーションはとても重要ですよね。特に英語の場合、微妙なニュアンスを伝えることはなかなか難しいです。仕事における英会話の基本は、定型文を多く知っておくことです。考える前に、覚えている英語で会話できればその分余裕ができますよね。今回は「おつかれさまです」、「よろしくおねがいします」などの基本からビジネス英会話を学んでいきます。

(本記事は、デイビッド・セイン氏の著書 「おつかれさま」を英語で言えますか? KADOKAWA(2017年5月13日)の中から一部を抜粋・編集しています)

(1)おつかれさまです。
See you tomorrow. Take it easy.

(画像=Webサイトより)
(画像=Webサイトより)

日本語の定義  退社するとき同僚にかけるひと言。「おつかれさまです」は誰かが退社するときに、また、まだ残っている人も、それぞれ相手へのあいさつとして使います。帰る場合は、ネイティブは単に「また明日」という意味の See you tomorrow.と言って帰るのが普通。ただ、それだと日本語に含まれる、疲れている相手をねぎらうニュアンスは含まれません。

「無理しないでね」「適度に切り上げて」という意味を込めて Take it easy.を付け加えれば、残業している相手への思いやりが少し伝わるかな。直訳のYou look tired. は、「疲れて見える」という意味で、「そんなひどい顔してるってこと?」なんてムッとされちゃうかも。

反対に、帰っていく人に対しては、Okay, see you!(うん、明日ね)や Good night!(おやすみなさい)などと返事します。仲のよい同僚であれば「じゃあね~」のニュアンスで Bye.のひと言で十分。

営業から帰って来た同僚に言う場合は、How was it?(どうだった?)で気遣う気持ちがばっちり。仲のいい同僚とすれ違うときの「おつかれ~」は、Hey, how’s it going? などでいいでしょう。

(2)よろしくお願いします。
Nice to meet you.I’m looking forward to working with you.

「よろしくお願いします」ほどいろいろな意味を持ち、万能な言葉は英語には見当たらないのでは?

初めて会う人には、Nice to meet you.とお決まりのあいさつをしたあとで、「…を楽しみにする」という be looking forward to…を使って、I’m looking forward to working with you.と言えば、「これからお仕事するのを楽しみにしております」というニュアンスを含んだあいさつに。電話などで頼む場合は Thanks for doing this for me.などと言って、切りましょう。

仲のいい同僚に「じゃ、あとはよろしくね」なんて仕事をお願いする場合には、Well, I’ll leave it to you! がぴったり。leave には「離れる」という意味のほかに、「ゆだねる」「任せる」という意味があるので、仕事をぜんぶ丸投げしてしまうようなときに便利です。

「ひとつよろしくお願いします」と念を押すときは、頭に Once again,をつけて、Once again, thanks for doing this for me.なんて言うと言われたほうはやらないわけにはいけない感じがします。

(3)ご笑納ください。
It’s just a little thanks.

頼まれたものではなく、自分のあげたいものを一方的に渡すときなどに使う表現です。Please accept this small gift. だとへりくだったニュアンスはあるのですが、実はネイティブにとってgift というと「お返しをしなくてはいけないもの」「大切にしてもらいたいもの」という印象があり、ややプレッシャーを感じます。ここは It’s just a little thanks.と言うと「ほんの感謝の気持ちです」というニュアンスで、もらったほうも気軽に受け取れます。

Here’s a little something I brought from Japan.(日本からのちょっとしたお土産です)や This is just a little thing I got for you. (あなたにこんなものを見つけたのですが)なんて言い方もいいかもしれません。

(4)つまらないものですが。
I got this for you.

日本人はなぜか物を渡すときとても謙遜しますね。勝手な想像ですが、家が狭いため、物を増やしてしまうのが申し訳ないという昔の人の気持ちから生まれたのでしょうか?

そのまま訳して It’s not an interesting thing.と言ってしまうと、「(映画などが)面白いものではない」ということですので、言われたほうはちんぷんかんぷん。日本に来たころ It’s not a very good present.と言われてプレゼントをもらったことがあります。「よくないものなのってなんだろう? どうしてそんなものをくれるんだろう?」と思いました。恐る恐る開けたら、とても素敵な贈り物だったので驚いた記憶があります。

ただ、いくらネイティブでもThis is a nice present! などと言いながら渡したりはしません。I got this for you.などと言いながら渡すのが自然です。

(5)お気持ちだけいただきます。
I appreciate the thought.

相手から何か誘いを受けたり、物を勧められたりしたときの、やんわりとした断り方ですね。No, thank you.とだけ言ってしまうと、何か親切なことをしてくれようとしている人にはちょっときっぱりしすぎる響きが。ここは、Oh, I can’t.(いえ、そんな)というクッション言葉をはさみつつ、But I appreciate the thought.(お気持ちはいただいておきます)と表現すれば、「本当はそうしたいのだけど、遠慮します」という気持ちが伝わりますよ。仲のいい人からYou want some?(いる?)などと聞かれたときは、No thanks, but thanks for asking.と言えば「気持ちだけもらっとくよ」というニュアンスに。

(6)宿題にさせてください。
That’ll be my homework.

「宿題」というと、学生のころ、親に嫌々やらされた記憶がよみがえります。しかし、ビジネスで使う場合は、未解決もしくは未決定のまま持ち越された問題のことを指します。実はこれは英語でもまったく同じ意味を持ちます。英語から出た言い方かもしれませんね。

その場で、自分自身だけで解決できない問題点や受けた質問などを、一度持ち帰って検討する場合は That’ll be my homework.(宿題にさせてください)という言い方をします。また即答できない疑問などを後で答えたいときには、 Let me give you an answer later.(後ほど回答いたします)や I’ll look into this and answer later. (後ほど確認してお返事いたします)のように言います。

(7)わざわざ…すみません。
Sorry for making you…

誰かが自分のためにひと手間かけてしてくれたことに対して、お礼の気持ちを込めて、「わざわざすみません」などと言います。これにあたる英語はSorry for making you…「…していただいてすみません」がぴったりです。Sorry for making you go to all this trouble.(わざわざこんなことをしていただき、すみません)などと使えば、相手にしてもらったことへの感謝の気持ちと申し訳ない気持ちの両方を伝えることができます。

また、ありがたいことばかりではなく、「しなくてもいいことをいちいちする」というときもあります。たとえば「どうしてそんなことをわざわざ聞くの?」と言いたいときは Why do you have to ask that question? がぴったりです。「聞く必要ある?」というニュアンスです。

(デイビッド・セイン著『「おつかれさま」を英語で言えますか?』KADOKAWA(2017年5月13日))
(デイビッド・セイン著『「おつかれさま」を英語で言えますか?』KADOKAWA(2017年5月13日))

(8)お足もとの悪い中…
…in this terrible weather

はじめてこの言葉を言われたとき、「あれ? 足は怪我してないんだけど…」と不思議に思いました。これは、天気が悪く、道が歩きづらくなっているのにもかかわらず来てくれてありがとう、という訪問者や会の出席者に対する感謝の気持ちを表す言葉です。後でわかったとき、日本語には相手を気遣う言葉がたくさんあるものだ、と感心せずにはいられませんでした。

来てくれたことへのお礼は Thank you for coming.で十分通じます。悪い天候の中来てくれたことに対して、きちんと感謝を述べたい、ということであれば、「悪天候」を表す terrible weatherを使えばばっちり! アメリカ的発想だと、The weather is cold outside, but I’m sure our new product will warm you up. (今日は寒いけれども、新商品がきっと暖めてくれるはず)なんて言い方をしそうです。

デイビッド・セイン
1959年、アメリカ・ユタ州生まれ。ユタ州立大学卒業後、カリフォルニア州アズサパシフィック大学で社会学修士号取得。これまで累計350万部以上の著作を刊行してきた英語本のベストセラー著者。英語学校A to Z校長。証券会社勤務の後、来日。日米会話学院などを経て、英会話学校経営、翻訳、英語書籍・教材制作などを行なうクリエーター集団「エートゥーゼット」の代表を務める。日本における26年以上の豊富な英語教授経験を生かし、日本人にあった日本人のための英語マスター術を多数開発

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