中高年が今の職場で、または心機一転新しい職場で求められる人材となるには、どんな能力を身に付ければよいのか。厚生労働省はホワイトカラー中高年の転職を円滑に促進するべく「キャリア・チェンジ・プロジェクト」を推進しており、その中で「ポータビリティスキル」の習得を提唱している。

ポータビリティスキルとは?

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(写真=PIXTA)

ポータビリティスキルとは、「持ち運びできるスキル」つまり職場や職種の垣根を越えて通用するスキルであり、ポータブルスキルと呼ぶ場合もある。

転職市場で求人サイドのニーズとミドル層のマッチングにあたっては、従来重きを置かれていた「専門性」よりむしろ、新しい職場に順応できる適応能力と同時に、「ポータビリティスキル」が求められる。

ポータビリティスキルは、大きく分けて、「仕事の進め方(コンセプチュアルスキル)」と「対人関係(ヒューマンスキル)」で構成される。

仕事の進め方(コンセプチュアルスキル)とは?

複雑に絡み合った事実関係の全体像を体系的にとらえて本質を掴む能力で、業務マネジメントには欠かせないスキルである。

具体的には、現状把握(情報収集と整理)、事業・組織が抱える課題抽出、計画策定、進捗管理、論理的な思考力、組織間の影響力行使といった能力を指す。

コンセプチュアルを身に付けたビジネスマンは、組織が抱える本質的な課題の抽出、迅速な意思決定、顧客や市場が求めている本質的なニーズの把握といった場面でその能力を発揮する。

対人関係(ヒューマンスキル)とは?

単純なコミュニケーション能力ではなく、周囲との円滑なコミュニケーションを通じ、良好な関係性を構築したり、チームや組織のモチベーションを高めることができる能力を意味する。

具体的には、傾聴力・質問力といった「聴く力」、自分の考えや意見を相手と共有する「伝える力」、意義ある結論に向けて会話をリードする「ファシリテーション」スキル、WIN-WINの合意を目指す「ネゴシエーション」スキル、目標に向けて周囲のやる気を引き出すリーダーシップを指す。

ヒューマンスキルを身に付けたビジネスマンは、得意先や顧客との良好な信頼関係構築や、部下・後輩の動機付け・OJT・業務アサイン、上位者からの支持取り付けといった場面でその能力を発揮する。

異業種・未経験への転職が増えている

厚生労働省発表の7月の有効求人倍率は、バブル期の1.46倍を超えて1.51倍に達し、正社員の有効倍率も1.0倍を上回った。

求人の波は中高年にまで拡がり、35歳以上59歳以下の有効求人数は105万人と、5年前より4割以上増加している(厚生労働省発表7月度年齢別労働市場関係指標に基づく)。中高年の転職が活発になったといっても、いざ一歩踏み出す時、自分が果たして「つぶしが利く」のか、多くの人が不安に感じるであろう。そこで鍵を握るのが「ポータビリティスキル」である。

9月19放送のNHK「クローズアップ現代」では、未経験の職場で活躍する事例が数多く紹介されている。例えば、生命保険会社の営業課長から食品メーカーの品質管理課長に転進した男性の場合は、「パートやアルバイトの管理能力」が決め手となった。彼は、ただ漫然と営業のマネジメントをこなしてきたわけではない。不平不満も多いパート・アルバイトの職場で、上手にやる気を引き出してきた、その経験が買われたのである。

ポータビリティスキルをどのように身に付けるか

上司の指示に忠実に従い、粛々と業務をこなしているだけでポータビリティスキルは身につかない。具体的にどういったスキルをいつまでに身に付けるか、自分で目標を設定し、PDCAのサイクルを回していくことが欠かせない。できることなら、自分のキャリアプランを立て、ポータビリティスキルが身にきやすい職場を経験できる機会を自ら作り出したいところだ。(ZUU online編集部)

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