目次

  1. はじめに
  2. 主要調査対象6カ国中、労働市場の予想成長率が最も低い日本
  3. 経済成長の鈍化が原因で多くの職業が自動化される?
  4. 現在の仕事の5割は自動化可能? 2030年までには平均1.5割がロボットに
  5. 働き盛りの年齢層が最も影響を受ける?
  6. デンマーク以外のOCED加盟国で職業訓練公共支出が減少

はじめに

エグゼクティブと一般人では何が違うのだろうか。もちろん年収が違うのだが、なぜ年収が違うのか、年収が違う結果生活にはどのような違いがあるのか、といったことを紹介する。エグゼクティブの考え方を知って楽しむという目的もあるが、なるべくならその生活水準を目指したいものだ。

どうすればエグゼクティブの生活、思考回路に近づけるのか、考察していく。今回【第1回】で紹介するのは仕事の機械化について。機械化によって今後二極化がより一層進むので、エグゼクティブを目指す意気込みでいないと機械に仕事を奪われてしまうかもしれない。

主要調査対象6カ国中、労働市場の予想成長率が最も低い日本

MGIが発表したレポート『JOBS LOST, JOBS GAINED: WORKFORCE TRANSITIONS IN A TIME OF AUTOMATION』によると、「2030年までに8億人分の仕事がロボットに引き継がれる」と見込まれており、総体的に、IT技術者や建築技士、教育および医療関連の職業は今後需要が伸びると期待されているが、修理工や整備工、農夫、清掃夫といった物理的作業は「AI化による雇用縮小のリスクが最も高い」という。

調査はMGIが「2030年までに自動化されている職業」に焦点を当て、日本・中国・米国・インド・ドイツ・メキシコを含む46カ国・地域における労働市場の移行を調査・予想したもの。

今後人間の従業員の需要がさらに伸びる・落ち込むと予想されている職業を国ごと(日本・中国・米国・インド・ドイツ・メキシコ)に比較してみると、日本は特殊な位置づけにあるという印象を受ける。調査の対象となった11の産業すべてにおいて、日本の労働市場の需要は落ち込むあるいはほとんど成長しないと予想されているのだ。

例えば今後需要がさらに伸びると予想されている職業のひとつに、コンピューター技師や専門家が挙げられる。デジタル社会への移行を考慮すると当然の流れと思いきや、インドでの需要(129%増)が極めて高くなると予想されているのに対し、日本はその8分の1程度(15%)にとどまる。

教育関連職の需要も現在の2倍以上(208%)というインドや中国(119%増)など、ほかのすべての対象国で伸びると期待されているが、日本は6カ国中唯一落ち込む(8%減)。特に物理的作業(33%減)、事務作業(23%減)、建設(16%)といった産業で、日本の雇用が大幅に縮小していきそうだ。

経済成長の鈍化が原因で多くの職業が自動化される?

こうした需要の落ち込みは、けっして産業自体の縮小を意味するものではない。自動化が進み、人間の雇用口が減るということだ。

MGIは日本における経済成長の鈍化そのものを、予想結果の要因として挙げている。「日本は経済的に豊かな国だが、2030年にかけて経済成長は鈍化していく」とし、その結果、多くの職業が自動化に追いやられる―つまり人間の従業員の雇用が減ると予測している。高齢少子化による影響もあるだろう。

経済成長を維持する上で、雇用創出は欠かせない。経済成長があって初めて生産や需要が伸び、そこから新たな雇用が生まれる。そう考えると日本は頭打ちといった感が強く、他国・地域とは異なる自動化への対応策が必須となりそうだ。

現在の仕事の5割は自動化可能? 2030年までには平均1.5割がロボットに