モンクレール,ユニクロ,個人消費支出
(画像=Shutterstock/ Maria Svetlychnaja)

目次

  1. 消費動向の二極化が意味するもの
  2. モンクレールのブランドストーリー
  3. 両極化の波は他の商品にも
  4. 庶民の消費は震災があった月以下?

消費動向の二極化が意味するもの

本連載最終回である今回【第7回】では、二極化する消費動向について解説する。消費動向が二極化は、所得の二極化も表している。富裕層のなかには投資目的の消費以外は無駄にお金を掛けない人も存在するが、平均的に見れば富裕層の方が消費金額も大きい。

中間層が減っていく現代社会において、平均的なサラリーマンの普通の生活、普通の暮らしというものはなくなってきているのかもしれない。つまり、特別ではない安心安全な暮らしを目指すにも富裕層になるのが近道なのかもしれない。

昨年の冬は1着6,000円前後のユニクロのウルトラライトダウンと、1着20万円を超えるモデルも少なくないモンクレールのダウンジャケットが飛ぶように売れた。しかし、ダウンだけではない。化粧品や腕時計など、消費市場はあらゆる分野で両極化している。

モンクレールのブランドストーリー

モンクレールは、機能性・品質・そしてファッション性において高い名声を獲得しているが、これは半世紀以上に及ぶ「FROM THE MOUNTAINS TO THE CITY」の歴史に裏打ちされたものだ。モンクレールの創業は1952年、フランスの小さな山村に設立された。社名は村の名前「Monestier de Clermont」に由来する。

当初よりアルピニスト向けにテント・シュラフ・防寒着を提供し続けてきたモンクレールは、カラコルム・アラスカ・マカルなどの登山・遠征舞台に装備面で支援を続けてきた。その機能性は専門家に高く評価され、1968年のグルノーブルオリンピックではフランスナショナルチームの公式ウェアに選ばれた。

モンクレールの品質も一級品だ。モンクレールにとってダウンのクオリティーは、社内の共通キーワードであり、その中でも、モンクレールは「フィルパワー」、すなわち空気の包含力だ。モンクレールは、フィルパワーが格段に優れる欧州産グースダウンの産毛を使用している。だからこそ少量のダウンで高い保温性が確保できるのだ。

同時に少量のダウンは、スッキリしたデザインを可能にし、モンクレールのブランドポリシーである「高機能性とファッション性の両立」を実現させている。現在モンクレールは、イタリアをはじめとするヨーロッパ・アジア・アメリカに約150の専門店を展開し、ハイクオリティーのスポーツウェアとして、そしてハイセンスのタウンウェアとして愛されている。

両極化の波は他の商品にも