◉目立つ誤報と、それに乗る保険会社


今回の標準利率切り下げと、それに伴う保険料の値上げ騒動には、他にも誤報らしきものが多くある。

例えば以下がそうだ。

かんぽ生命保険と日本生命保険は4月以降も主力商品の保険料を据え置く方針だ。長期金利の低下に伴い、大半の生保が保険料を引き上げる中で、相対的な価格優位を打ち出す狙い。少子高齢化で国内の保険市場は今後大きな伸びが期待できない。最大手のかんぽ生命と日生が保険料を維持することで、これまで横並び傾向が強かった生保の価格競争が進む見通しだ。

(中略)

金融庁は金利低下を受け、4月から生保各社の保険料算出の基準となる標準利率を1.5%から1.0%に引き下げる。標準利率の引き下げに対応し、大半の生保は保険料算出の際に見込む資産運用利回り(予定利率)を引き下げ、その分元本となる保険料が上がる。

かんぽ生命と日生のように4月以降も標準利率の引き下げを保険料に織り込まなければ、将来の保険金支払いに備えて積む責任準備金の負担が増すことになる。両社は経費の削減で負担の増加を吸収する一方で、保険料の据え置きを契約者に訴え、契約の増加につなげたい考えだ。

日本経済新聞朝刊 2013年1月20日 「かんぽ・日生、保険料上げず―4月以降、大半の生保引き上げ。価格優位打ち出す」 より

まず渦中の最大手生保だが、2012年6月に大幅な商品およびシステムの変更をしており、既に予定利率の下げは対応済みだ。それを、今回あたかも「弊社は利率を下げません!」というように良く見せるための解釈をしているのはいただけない。現に「ズルい」と他社の生命保険営業が指摘をしているのも事実だ。
またカタカナ・外資系生保もここぞとばかりに販売しているが、後々、顧客が知ったときに信頼に値しない営業だったと思われるのではないだろうか。

ほとんどのケースで消費者は確認しようもないし、気づきはしないだろう。しかし、いつか糾弾される日が来る可能性は十分にある。
賢明なる読者諸氏には、真実なのか判然としないセールスの口車には乗らないよう気をつけて欲しい。

BY Nako

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