新華社系の金融証券サイト「中証網」が今後の美容産業の発展について報じた。日本では、訪日中国人観光客の化粧品爆買いや、韓国人同様の整形手術好きなどが伝えられる。その一方で、地方の中国人女性は化粧が薄いようでもある。中国の美容産業の実態とは、一体どのようなものだろうか。

2020年の業界見通し

中国経済,美容産業,市場規模
(写真=Roma Barelko/Shutterstock.com、※写真はイメージです)

国家発展改革委員会と国願美容企業管理センターは、合同で編制した「全国美容産業発展戦略規画綱要」を提出した。専門家グループを編成し1年にわたり、広東省、浙江省、上海など美容産業の先進地区を調査し、内外の先進国の経験をも参考にしてまとめた、業界の未来を描きだした青写真である。

綱要によれば、中国はすでに世界一の美容産品生産国であり、同時に世界第二の化粧品消費国でもある。全国の美容室などは200万軒を超え、就業人口は2000万人に達する。売上は6000億元以上、そのうち製造業は3000億元以上である。

さらに綱要は2020年の見通しについて、売上は1兆元、就業人口は3000万人、上場企業は100社以上、美容産業園区10カ所以上に増加する。そしてリーディングカンパニーの売上は500億元を超えるだろう、と述べている。(1元=17.28日本円)

医療美容市場は美容産業の1割

その中から整形手術を含む医療美容市場を取り上げてみよう。2016年の市場規模は600億元で、美容産業の1割を占めている。

医療美容は技術的進歩により新しい消費空間を生み、広く人々に普及させたという。女性はもちろん男性でも大きく伸び、2016年には850万人が利用した。

年齢別では25~30歳で39%、30~35歳で32%とこの年代で全体の70%である。35歳以上は17%、25歳以下は12%だった。なお米国では36歳以上が74%を占め、青春の延長や老化に抵抗という感覚だ。しかし中国では若者の比率が高く、眼前の希望をつかむため手段となっている。

2017年の市場予想は、前年比23%プラスの738億元である。さらに毎年20%以上伸び、2020年には1357億元になると見積もられている。4年で2.26倍である。

巨大な成長空間

現代における中国人の化粧品消費水準は、東南アジアの国々よりは高いが、欧米や日本・韓国等の先進国に比べればまだ低い。例えば、化粧品の一人当たり消費額は、米国の10分の1、日本の20分の1に過ぎない。美容産業の行く手には、巨大な成長空間が広がっている。

1960年代、70年代生まれの女性には、時間はあっても美容の情報などほとんどなかった。80年代以降の生まれの女性になるとほとんどが有職となり、今度は時間がなくなった。そして若年化は進む一方となる。

業界はこうした背景への配慮が不足し、技術の進歩ほどには、消費者の信頼を得ていない。そのためにはワンストップサービスを提供し、新しい業態を創業すべきである、と記事は結ばれている。

日本の代理購入者が明かす売れ筋商品とは

最後に中国人富裕層のために日本で代理購入を営んでいる中国人から、“売れ筋”を聞いてみた。

  • パナソニックのナノケアヘアードライヤー(1万5000円前後)
  • Refaブランドの美顔ローラー(2万円前後)
  • 資生堂「クレ・ド・ポー ボーテ」ブランドの化粧品
  • ポーラブランドの化粧品とサプリメント
  • FANCLのサプリメントと健康食品

これらはすでに一定の人気を獲得した商品群である。新規の商品が人気を得るには、どう取り組めばよいのだろうか。市場空間は少し広すぎるが、スマートな進出方法は必ずあるはずだ。直近は韓国系との争いになる。中韓は関係改善に向かい出した。韓国系化粧品は、中韓FTAにより輸入関税は低い。しかし日本はそうした多少の不利くらい、イメージ戦略で圧倒したい。中小企業にもチャンスは十分あるはずだ。(高野悠介、中国貿易コンサルタント)

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