カラ売りとは何か、また取引する口座の開設方法を知った後は、もう少し詳しく理解していきましょう。そもそもカラ売りができるのは原則として「貸借銘柄」だけですが、その銘柄はどのように調べればいいのでしょうか?また、カラ売りすることは可能だとしても、それに適さない銘柄なども存在していたりします。カラ売りで利益を上げるための知識を付けましょう。

(本記事は、二階堂 重人氏の著書『株トレード カラ売りのルール』=すばる舎、2017年10月18日=の中から一部を抜粋・編集しています)

【関連記事 『株トレード カラ売りのルール』より】
(1) 実はよく知られていない?カラ売りの基礎知識
(3) 怖いと思うことはとても大事

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カラ売りとはどのような取引なのか?

次は、カラ売りした場合の「1回のトレードにおける最大損失額」について考えてみましょう。

買いの場合、1回のトレードにおける最大損失額はかぎられています。

たとえば、株価100円の銘柄を買ったとします。

1000株でも1万株でもいいのですが、株を買った後、この銘柄に悪材料が出たとします。

株価は100円から1円になってしまいました。

このトレードで損をしたとしても、それは最大で99円分です。

1000株買っていれば 9万9000円、1万株買っていれば99万円です。

どんなに損をしても、株価よりも大きな損失が出ることはありません。

101円分や 200円分といった損失が出ることはないわけです。

では、次にカラ売りした場合の「1回のトレードにおける最大損失額」について考えてみましょう。

たとえば、株価100円の銘柄をカラ売りしたとします。

1000株でも1万株でもかまいません。

株をカラ売りした後、この銘柄になんらかの好材料が出たとします。

株価はどんどん値上がりしていきます。

このトレードにおける最大損失額はいくらになるでしょうか。

答えは「無限」。最大損失額はかぎられていないわけです。

株価が200円まで値上がりした場合、カラ売りの株数が1万株なら100万円の損失。

株価が500円まで値上がりした場合、400万円の損失になってしまいます。

株価が500円で止まるとはかぎりません。

株価が1000円を突破する可能性もあるわけです。

勿論、どこかで上げ止まることでしょう。しかし、理論上では「無限」ということになります。

株価が大きく上昇すれば、保証金率が低下して追証が発生します。

保証金を追加してトレードを続ければ、損失額は「無限」ということになるわけです。

1回のトレードにおける最大損失額について、買いの場合とカラ売りの場合を比較し、整理しておきましょう。

買いの場合……1回のトレードにおける最大損失額はかぎられているカラ売りの場合……1回のトレードにおける最大損失額はかぎられてない

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カラ売りは怖い?

「1回のトレードにおける最大損失額がかぎられていないなんて、リスクが大き過ぎる」

「カラ売りは怖い」そう思った方もいることでしょう。

たしかに、最大損失額が無限と知って、怖いと思うのは当然のことです。

怖いと思うことは、とても大事なことです。これについては、後でもう一度、触れることにします。

しかし、必要以上に怖れることはありません。

なぜなら、ほとんどの場合、カラ売りのリスクはコントロールできるからです。

カラ売りでリスクをコントロールできなくなるのは、ストップ高や買い気配が値上がりしていくときだけです。それらは一時的。

あとは、リスクをコントロールできるので、大丈夫です。

リスクのコントロールについてはとても大切なことなので、後で詳しく説明します。

カラ売りはどの銘柄でもできるわけではありません。

カラ売りができるのは原則として、「貸借銘柄」だけです。

銘柄は大きく3種類に分かれています。

・現物銘柄……現物の取引だけ。信用取引はできません
・信用銘柄……現物取引も信用取引もできますが、信用取引は買いだけ。カラ売りはできません信用取引は、買いもカラ売りもできます
・貸借銘柄……現物取引も信用取引もできます。東証1部銘柄の多くは貸借銘柄です。

たとえば、ソフトバンクグループ(東証1部9984)やトヨタ自動車(東証1部7203)は貸借銘柄です。

一方、新興市場銘柄の多くは信用銘柄で、貸借銘柄はごく一部だけです。

たとえば、ミクシィ(東証マザーズ2121)や日本マクドナルドホールディングス(東証ジャスダック2702)が貸借銘柄です。

このように、銘柄の種類によってはカラ売りができないので、注文を出す前に貸借銘柄かどうかを確認しましょう。

カラ売りができるのは原則として貸借銘柄だけ

では、銘柄の種類はどのようにして調べればよいのでしょうか。

調べ方はいくつかあります。主な調べ方は以下の二つです。

・ネット証券の銘柄情報の欄
・会社四季報

口座を開設しているネット証券に、「銘柄情報」や「株価情報」などのサービスがあるはずです。

たとえば、松井証券であれば、「QUICK情報」があります。このサービスの個別銘柄ページに、銘柄の種類が記載されています。

もう一つの調べ方は会社四季報を使ったものです。

会社四季報の個別銘柄の欄に、貸借銘柄であれば「貸借」と記載されています。現物銘柄や信用銘柄ではなにも記載されていません。

ネット証券の銘柄情報の欄で調べるのが手っ取り早いし、コストもかからないので、おすすめです。

貸借銘柄であれば、どんな銘柄でもカラ売りのトレード対象になるというわけではありません。

カラ売りに適さない銘柄もあります。いくつか紹介していきます。

・出来高が少ない銘柄
出来高が少ない銘柄はカラ売りに適していません。 なぜなら、値動きが軽いからです。買いが集まると急騰しやすいからです。

・1日の出来高が50万株以上
できれば、1日の出来高が100万株以上の銘柄がよいのですが、値動きがよくて100万株以上の出来高になる銘柄はかぎられてしまうので、50万株以上でよいでしょう。

ただ、一つ問題があります。

それは、「1日の出来高は、1日の取引が終了しないとわからない」ということです。そのため、デイトレードでは、判断できないことがあります。

たとえば、寄り付き直後に値動きのよい銘柄があり、デイトレードでカラ売りをしようと思います。

その時点での出来高は4万株。この銘柄の1日の出来高が50万株以上になるかどうかはわかりません。

寄り付き直後で4万株なら1日で50万株以上になりそうですが、通常、寄り付き直後は1日のうちで最も出来高が多いので、なんともいえません。

このように、取引時間中では1日の出来高がどのくらいになるのかわからないのです。

もちろん、経験を積めば、50万株以上になるかどうかはわかるようになります。

板とは?

板には、「厚い」「薄い」というのがあります。

板に出ている注文が多い状態を「板が厚い」といい、板に出ている注文が少ない状態を「板が薄い」といいます。

厚いか薄いかは感覚的なものなので、人によって判断はわかれます。

経験を積んで、見極められるようにしましょう。

板が厚い場合、売り注文が多いので、多くの買い注文が出ないと株価が急騰しません。

板が薄い場合、売り注文が少ないので、それほど多くの買い注文が出なくても株価が急騰します。

板が薄いとわずかな買い注文が出ただけで急騰してしまうので注意が必要

カラ売りでは、「信用残(信用取引残)」にも注意しましょう。信用残とは、信用取引で建てられている株の残高です。

買い建て玉と売り建て玉、それぞれの株数を表します。

買い残……買い建てられている株の残高
売り残……売り建てられている株の残高

信用残を調べる方法はいくつかありますが、手っ取り早いのはネット証券の株価情報欄を使って調べる方法です。たとえば、松井証券なら、QUICK情報で個別銘柄の「信用」のところに信用残が掲載されています。

カラ売りの場合、信用残で見るべきポイントは「買い残に比べて売り残が極端に多いかどうか」です。

売り残はいずれ買い戻されることになります。売り残が多いということは、いずれ買い戻されて、株価が上がるということ。

買い残に比べて売り残が極端に多い場合は、大きく上昇する可能性があるわけです。

場合によっては、この後で説明する「逆日歩」が発生し、売り建てによるコストがかかることになります。そのため、売り残の動向に注意が必要になるわけです。

逆日歩が1円以上になったら要注意!

逆日歩とは、「品貸料」のこと。

通常、買い建てでは金利(日歩)を支払い、売り建てでは金利を受け取ります。

しかし、カラ売りが増え、売建玉の株数が買建玉の株数を大きく上回ると株不足が生じ、売り建てで金利を支払うことになります。これを、逆日歩といいます。

1株あたり1円未満であれば、それほど気にすることはありません。しかし、逆日歩が 1円以上になったら注意が必要です。

場合によっては、1株80円くらいになることもあります。この場合、1000株を持ち越したら1日で8万円の逆日歩、1万株を持ち越したら1日で80万円の逆日歩を支払うことになります。

株価が少し下がったとしても、逆日歩の負担が大きいので損失になってしまいます。

カラ売りをする際は注意してください。

逆日歩に注意する

では、逆日歩はどのようにして調べればよいのでしょうか。

調べ方はいくつかありますが、まずは以下の二つを覚えておきましょう。

・日本証券金融株式会社のウェブサイト
・ネット証券の株価情報欄

最も早いのは、日本証券金融株式会社のウェブサイトです。「銘柄名・コード」で調べることができます。

また、「品貸料率一覧表」のファイルで逆日歩が付いている銘柄すべてを調べることができます。

ネット証券の株価情報欄でも調べることができます。

たとえば、松井証券なら、QUICK情報で個別銘柄の「信用」のところをクリックすれば、その銘柄の信用取引に関する情報が表示されます。そこに逆日歩の欄もあります。

QUICK情報では、12時頃に最新の逆日歩が掲載されます。

逆日歩が高くなるとどうなるのか?

逆日歩は値動きしだいで急に高くなることがあります。

株価が急騰すると、「もうそろそろ下がるだろう」と思うトレーダーが多く、カラ売りが一気に増えます。

すると、株不足がさらに進み、逆日歩も急騰することになります。

そうなると、カラ売りしているトレーダーは慌てて株を買い戻そうとします。また、買い方も「ここぞ」とばかりに攻めてきます(株を買ってきます)。

買いが集まるわけですから、株価はさらに急騰することになります。俗に言う「踏み上げ相場」です。

こうなるとほとんどの場合、逆日歩が下がるまでか、信用取引の規制がかかるまで、株価は上昇します。

売り方は、逆日歩による損失と値上がりによる損失をダブルで負うことになるわけです。

このような踏み上げで損失を負わないようにするためには、逆日歩の動向に注意することが必要。

逆日歩がいくらになるかはなかなか予測できませんが、跳ね上がりそうな気配を感じたら、カラ売りしないこと。また、カラ売りをしていれば、すぐに買い戻すことです。

日経平均株価の動きでカラ売りのタイミングを見極める

ここでは株式相場全体の動きに合わせてカラ売りをする手法を紹介します。

相場全体が上昇すると多くの個別銘柄も上昇します。逆に、相場全体が下降すると多くの個別銘柄も下降します。

相場全体の動きに合わせて(つられて)動く個別銘柄があるわけです。

この「つられて下落する動き」を狙ってカラ売りをすると、利益を得られる確率が高くなります。もちろん、カラ売りをした後に反発することもあるのですが、相場全体が下落していれば、反発はかぎられます。リスクが小さいわけです。

相場全体の動きを見極める方法はいくつかあるのですが、指標を使った方法が簡単です。

相場全体の動きをあらわす代表的な指標といえば、「日経平均株価」です。

日経平均株価とは、日本経済新聞社が発表する株価指数のこと。

市場を代表する225銘柄を対象として算出されます。

この日経平均株価の動きで相場全体の動きを把握し、カラ売りをするタイミングを見極めます。

2本の移動平均線を見れば下落傾向の期間が見極められる

まずは、日経平均株価の動きで相場全体の動きを見極めます。

見極める方法はいくつかあるのですが、ここでも2本の移動平均線を使った方法にします。

使うのは、5日移動平均線と25日移動平均線。

・25日移動平均線が下向き
・5日移動平均線が25日移動平均線の下にある
・株価が25日移動平均線の下で推移

この条件を満たしたときは、絶対とはいい切れませんが、概ね「下落傾向である」といえます。

デイトレード

ここでは、カラ売りのデイトレードについて説明していきます。

まずは、デイトレードについて説明しましょう。

デイトレードとは、その日のうちに決済するトレードのこと。たとえば、カラ売りしたら、その日のうちに買い戻すわけです。

売り建てている時間は長くても数時間、早ければ数秒です。

売り建てた後、株価を確認してすぐに買い戻すといったこともよくあります。

そのような短い時間で利益を出せるのか、と思った方もいることでしょう。

たしかに、売り建てている時間が短いので取れる値幅は大きくありませんが、売買手数料が安いのでわずかな値幅でも利益が出ます。

株価や売買手数料にもよりますが、わずか 1円の値幅でも利益を得ることが可能です。

デイトレードの魅力は「資金効率の良さ」

デイトレードの魅力はいくつかありますが、最大の魅力はなんといっても「資金効率の良さ」です。

売り建ててから決済(買い戻し)までの時間が短い、または、買い建てから決済(売り)までの時間が短いので、資金の回転を速くすることができます。

たとえば、スイングトレードの場合、売り建ててから決済まで数日間かかります。 1カ月間での資金を回転されられる回数は2~10回程度でしょう。

しかし、デイトレードの場合、売り建ててから決済までの時間が極端に短いので、1カ月間での資金を回転されられる回数はかなり多くできます。

200回以上というのも十分に可能です。

利益を出すスキルがしっかりと身についていれば、資金効率が良いので、あっという間に手持ちの資金が増えていきます。

これが、デイトレードの最大の魅力なのです。デイトレードの資金効率についてもう少し説明しておきましょう。

そもそも、信用取引では保証金の3倍までの取引ができます。

かつては、信用枠を使い切ってしまった場合、その日はもう信用取引をできませんでした。

たとえば、信用枠が300万円だったとします。

デイトレードで300万円分の株をカラ売りしたら、もうその日は信用取引ができません。

300万円分の株を買い戻したとしても、すでに信用枠を使い果たしているので、信用取引ができないわけです。

しかし、2013年に法改正により、信用取引の制度が変わりました。

なんと、1日の中で信用枠を無限に使いまわすことができるようになったのです。

信用枠が300万円だったとし、デイトレードで300万円分の株をカラ売りしたとします。

その日のうちに 300万円分の株を買い戻したら、また、300万円分の信用取引ができます。

決済すれば信用枠が何度でも回復するわけです。

これにより、資金が少なくても1日の売買代金を大きくすることができます。

100万円の証拠金で理論上は1日で1億円分の信用取引が可能になるわけです。

信用枠の使いまわしをメリットにするには?

1日の中で信用枠を無限に使いまわすことができる、ということは、すごいことです。

しかし、これをメリットにするか(できるか)、デメリットにしてしまうかは、トレーダーしだいといえます。

二階堂 重人 (にかいどう・しげと)
1959 年、埼玉県生まれ。専業トレーダー。テクニカル分析を駆使したデイトレードやスイングトレードが中心。株、FX の双方で驚異の勝率を叩き出している。主な著書に、『小心者こそ儲かる 7 日間株トレード入門』『東京オリンピックまでに株で 1 億円儲ける!』(ビジネス社)、『「急騰低位株」で 1 億儲ける!』(あさ出版)、『サラリーマンが株で稼ぐ一番いい方法』(三笠書房・知的生きかた文庫)、『デイトレードで毎日を給料日にする!』『FX常勝のトレードテクニック』『FX 常勝の平均足トレード』『FX 常勝の平均足ブレイクトレード』『FX トレードレッスン【厳選 35 問】』(すばる舎)などがある。

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