「起業家」として成功するためには、どのような「考え方」や「行動」が必要なのだろうか。10代で1億円を超える資産をつくった著者の「連続的起業論」について数々の事例を交えて学んでいこう。

(本記事は、正田圭氏の著書『サクッと起業してサクッと売却する就職でもなく自営業でもない新しい働き方』CCCメディアハウス、2018年1月31日刊の中から一部を抜粋・編集しています)

【関連記事 『サクッと起業してサクッと売却する』より】
・(1)15歳で起業、10代で資産1億円をつくった著者が教える「連続起業論」
・(2)学生起業家の最大の障害は「親」 お金も時間も自由に使う「人生の踊り場」をつくれ
・(3)起業のアイデアはコピペでいい 優れた起業家が恐れないものとは

サクッと起業してサクッと売却する
(画像=Webサイトより ※クリックするとAmazonに飛びます)

29歳までに1億円のキャッシュを手に入れろ

起業して間もないころ、僕は六本木のあるビルで、とある著名かつ高齢な投資家の方と雑談をしていた。その投資家は、ふと僕にこう言った。

「若くして起業したのなら、20代のうちに1億円は作らないと、起業に向いていないということだからなぁ」

その投資家は何気なく言ったのだが、その一言は当時18歳だった僕の心を大きくざわつかせた。

「そうか、20代のうちに1億作れなかったら、自分は起業に向いていないのか」と。それ以来、僕は自分の貯金を毎月月末に数えるようになった。

あなたは、自分の貯金を正確に数えたことがあるだろうか?1円単位で正確にだ。実は、お金を正確に数えるのは意外と難しい。

クレジットカードの、来月引き落とされる分は換算するのか。小銭入れにはいくらの小銭が入っているのか。保険はどう考えればよいのか。

20代のうちに1億円作れなかったらどうしようという不安は取り越し苦労となった。20代どころか19歳の時に会社を売却することになり、10代のうちに貯金が1億円を超えることとなったのだ。

僕は、あなたに提案したい。29歳までに1億円作ることを目標にしてみてはどうか?と。

一般的に、一生のうちで貯金が一番多くなる瞬間は、定年退職を迎えるときだ。

「老後資金の教科書」によると、夫婦世帯では老後に1億円の生活費が必要と書いてある。

だが定年退職のタイミングで1億円を持っている人はほんのわずかだ。今の時代、定年退職の際の退職金の平均額は、約2000万円だ。

それでもほとんどの人が、人生で最も貯金が多くなるのは、定年退職の際に退職金を受け取ったタイミングだろう。

その半分の年齢、29歳までの間に資産1億円を作ってしまおうという提案だ。

29歳で1億円を持つ。これはどういうことかというと、人よりもお金と時間を多く持っているということだ。

僕は、「29歳までに1億円のキャッシュを作ろう」とあなたに真剣に提案したい。お金と時間を人生の早いタイミングで手に入れることは、あなたが考えている以上にあなたを豊かにする。

みんな、お金と時間の大切さをまだまだ軽視している。

会社を売ったら「海賊王」

『ONEPIECE』という海賊の漫画がある。日本で知らない人はほとんどいないだろう。モンキー・D・ルフィという青年が海賊王を目指す物語だ。

全員が海賊王というものを目指していて、仲間になったり戦ったりしながらしのぎを削り合う、というのがざっくりとしたストーリーなのだが、実は、その物語の中で、厳密には海賊王とは何なのかが定義されていない。

人によって定義は違うらしいのだが、主人公のルフィは、「この海で一番自由な奴が海賊王」だと言っていた(現時点で僕は物語を追いかけていないので、もしかしたらすでに別の定義があるかもしれない)。

現代社会で「自由」とはどういうことかといえば、お金と時間がふんだんにあることだ。つまり、お金と時間を両方手に入れている者が「海賊王」というわけだ。

早いうちに資産を作る。

そのためには、起業して会社を売却するのが最もシンプルで確実な方法だ。僕は、なるべく若いうちに会社売却をすることを勧めている。

当たり前だが、会社売却をすると、時間もお金も両方いっぺんに手に入る。お金も時間もあるなんて状態は、普通の人生を過ごしていたら、定年退職する瞬間くらいしかない。

僕自身、会社を何度も売却したことで、大きな恩恵を受けている。このメリットを、あなたにもぜひ受け取ってもらいたいのだ。

どうやって起業し、どうやって会社を売却すればよいのかとよく聞かれる。もちろん本書ではその話もする。

しかし、慌てずに聞いてほしい。「どうやって」起業し、会社を売却するかの前に、まず「なぜ」あなたは起業して会社を売却する道を選ぶのかということを真剣に考えてみてほしい。

起業して成功する方法については、すでに飽和状態なくらいにいろんな情報が出回っている。そして、どのやり方も、これが絶対に正解だというものはない。

こと起業においては(何の道でもそうかもしれないが)、絶対にこれをやればよいみたいなものは存在しないのだ(これをやってはいけない、というのはあるかもしれないが)。

それよりも、「なぜ」そうするのかのほうが大事だ。HOWではなくWHYなのだ。そこがブレてしまっていては、「どうやった」ってできるわけがない。

最強の就活は、就職先に会社を売却すること!

僕がもし、母校で15分間だけ学生たちに何かスピーチをしてくれと頼まれたら、「学生はバイトをするな」というテーマで話をする。

バイトではなくインターンがおすすめだとか、そういう話ではない。インターンもするな。

バイトやインターンをする時間なんて無駄だ。企業の手足となりながら、自分の貴重な青春時代を、1時間800円とかで安売りしている。

いい社会経験だなんて言いながら、学生たちは皆バイトやインターンをしているが、嫌でも数年後には社会に出るのだ。

登山やダイビングでもあるまいし、社会に出るための社会経験など、本来必要がないものだ。

バイトやインターンをして何が一番もったいないかというと、「雇われ癖」がつくことだ。

学生時代にバイトをすると、一番最初の「働く」という体験が、人に雇われることになってしまう。

僕は元々、若いうちに起業するのは良くないと考えていた。起業の相談をされる度に、「一定の社会人経験を積んで、自己資金を貯めてから起業したほうがいい」と答えていた。

しかし、この半年くらいでだんだん意見が変わってきた。一度、雇われてしまうことで「雇われ癖」がつくのだ。「自分の知恵と度胸で金を稼ぐ」という本能的なモノが、一度バイトをすることで大きく削がれるのである。

タバコと同じで、「雇われ癖」はすぐに「雇われ中毒」になる。そうなると、自分の時間を切り売りしてお金に換算することが当たり前になる。

「あと1時間で今日の仕事は終わりかな」なんて一度でも考えたことのある人は「雇われ中毒」だ。

こうなると、時間もお金も両方手に入れようという欲張りな発想ができなくなってしまうのである。

「時給800円や1000円のバイトをするくらいなら、親から金を借りて起業しろ」と言いたい。

最初にバイトやインターンをやると、自分の時間をお金に換えるという間違った概念が刷り込まれてしまい、その考え方が頭に一度こびりついてしまうと、なかなか脱却することができなくなる。

そして、僕が提案する「サクッと起業してサクッと売却する」連続起業家脳から大きく遠ざかってしまう。

順序がそもそも逆なのだ。社会に出たら、右も左もわからないまま、とにかく狩りにでも出たつもりで自由に走り回ってみればよい。

そこで、必要だと思ったことを順番に、自分のやり方で学んでいけばよい。

就職経験がいけないという話ではない。人生で一番最初の「働く」という経験が「雇われる」経験だと、「雇われ癖」がついてもったいないという話だ。

学生こそ、起業して会社を売却すればよい。その後、就職をするにしても、会社を売却した株式譲渡契約書が最強のエントリーシートになる。

二十歳そこそこで起業し、学生のうちに1億円(例えばだが)でその会社を売るのだ。

同年代の子たちはリクルートスーツを着て就職活動に勤しんでいるかもしれないが、会社を売って1億円を手に入れたあなたは、視野が広がっているだろう。

自分でビジネスをしていたのだから、会社のことが全くわかっていない就活生とは違う。すぐに次のビジネスを立ち上げてもいいし、就職してもいい。

卒業後、物価の高いニューヨークに留学してMBAを取得したっていい。学費と生活費で2000万~3000万円はかかると思われるが、1億円あったら余裕で自費で留学できる。

売却した先の会社に幹部として就職するなんて最高だ。会社を売却したという実績はエントリーシートに書く格好の材料だ。

むしろ僕は言いたい。最強の就活は起業して会社を売却することだと。

崇高な理念は後からついてくる

起業について僕がもっと言いたいのが、崇高な理念は後からついてくるということだ。

初めて起業して「この業界の非合理性を解消したい」とか「世の中を変革したい」といった青くさい起業家の発言をネット記事などでよく見かけるが、僕はそういう発言を一切信用していない。

「初めて起業したのにその業界の何がわかるんだ?」「世の中を変革したいって、そもそもあなたは世の中をわかっているのか?」……なんてひねくれたことを思ってしまう。

例えば、子どもがおもちゃを欲しがるとする。欲しい欲しいと駄々をこねる。そして、そのおもちゃを買ってもらうものの、数日たつとそのおもちゃに飽きてしまい、次のおもちゃを欲しがっている。

もちろん、その子どもは本当にそのおもちゃが欲しかったのだろう。その場では心の底からそう思っているから駄々をこね、泣き叫んで自己主張したのだ。

おもちゃを欲しいという気持ちには嘘偽りはないのだが、一生そのおもちゃを大事にするかというと、そんなことはない。

初めて起業する起業家の理念も、そんなもんだと思う。そもそも社会に出たことがないのに、社会に対して問題提起ができるわけもなければ、課題を発見できるわけもない。

崇高な経営理念を思いついたから起業するなんて話は、薄っぺらい。

経営理念やミッションは、起業して、幾度もの経営の危機を乗り越えながら作り上げ、練り上げることによって出来上がっていくものだ。

僕自身、「意識低い系の起業」の極みだった。僕のことを知らない人のために説明しておくと、僕は15歳で起業した。

僕の家はごく平凡なサラリーマン家庭である。父親は会社勤め、母親は専業主婦で、とくに裕福だったわけではない。

僕は親の希望で、経営者や医者の子息が通う名古屋の中高一貫校に通っていた。そこで友人たちとの「経済格差」に愕然としたのが起業のきっかけだ。

洋服一つ買うにしても、どこかへ遊びに行くにしても、友人たちと僕とではお金の使い方がまるで違った。なかには親からクレジットカードを持たされている友人までいた。

持ち物も違った。ふだんの服装は制服だが、シャツやベルトはみんな好きなものを身につけていた。

僕の友人たちはグッチのベルトをしていたり、バーバリーのシャツを着ていたりした。通学用のカバンがエルメスやプラダというのも珍しくはなかった。

もちろん、僕はユニクロ一直線だ。彼らの持ち物は高級ブランド品ばかりだったため、そんな環境に囲まれて、僕もおのずと高級ブランドに興味を持ち始めた。

「僕もお金持ちになりたい」その一心で起業した。なので、当時、僕に明確な経営理念やミッションがあったわけではない。

経営者を親に持つ友人を見て、「お金持ちになるなら、会社を経営しなきゃ」と感じたから、会社を作った。

小遣いを増やしたい同級生のなかにはパチンコやスロットをする人もいたが、僕は会社経営をすることを選んだというだけの話だ。

その後は、作った会社をなんとか回していこうとがむしゃらに働いた。損失を出したこともあるし、詐欺師にだまされたこともある。失敗を数え上げたらキリがない。

会社のことに一生懸命で、学校の勉強はおろそかになっていた。

ただし、起業はおもしろかった。うまくいかないこともあったが、知恵を絞ればその分、成果がお金となって返ってくることだってあった。

月に数千万円単位の売上をコンスタントに上げられるようにもなった。だから、大学進学よりも働くことを優先した。

こんな風に進んでいったのが僕の起業人生だ。

ここには、世界を変革するような崇高な理念はないかもしれないが、「生き残るのだ!」という強い情熱だけはしっかりと存在した。

起業するのに崇高な理念はいらない。それよりも、自分が起業によって何を得て、何を実現させたいのか、そういう自分の気持ちや欲望としっかり向き合うことの方が大事だ。

その気持ちや欲望は、「お金を儲けたいから」「起業家って格好いいと思うから」「この事業をやってみたいから」といったことでよい。

プロ野球選手になりたいという子どもに「なぜサッカーでもボクシングでもなく、野球なのか」と問い詰める人はいないではないか。「イチローが格好いいから」。それでいいのだ。

お金というと、拝金主義的な思想を感じ、嫌悪感を抱く人は多い。しかし、お金はあなたの人生の選択肢を広げてくれる、便利な手段なのだ。

人はもっとお金のために起業してもよい。起業の理由を問い詰めるような空気が薄れれば、起業して会社を売る文化も広がるかもしれない。

「連続起業家」という存在

ここまでの話をまとめると、お金と時間の両方を手に入れるには、起業して会社を売却するという戦略が最も近道であるということだ。

起業して会社を売却するというスキルを身につけることができれば、もっともっと自由に生きることが可能になる。

そして、このような人のことを「連続起業家」(シリアルアントレプレナー)と呼ぶ。

仮にあなたが起業して、その会社を売って29歳で1億円を手に入れ、旅に出たとする。その旅から帰ってきて、再び起業をする人は意外に多い。

僕の知り合いは、引退するといって60歳で会社を売却した翌月、再び起業していた。

起業は自転車に乗るのに似ている。一度乗れるようになったら、乗り方は忘れない。起業して売却するという手段を一度覚えたら、繰り返しやろうとする人は多い。

僕はたいして名の知れた連続起業家ではないが、著名な方だと、メルカリの山田進太郎さんやキャンプファイヤーの家入一真さん、バンクの光本勇介さんがいる。

3人とも、会社を売却した後、また新しい会社を立ち上げている。そして、二度目に立ち上げた会社の方が、最初に立ち上げた会社よりも大きくなっている。

彼ら以外にも、実はたくさんの連続起業家が存在している。

起業は「強くてニューゲーム」でプレイしろ

若い人なら「強くてニューゲーム」という言葉を知っているだろう。

「クロノ・トリガー」を代表とするロールプレイングゲームでは、いったんゲームをクリアしたら、クリア時点でのレベルやアイテムを引き継いで新しいゲームで遊ぶことができる。この仕組みを「強くてニューゲーム」という。

通常なら、レベルも一番下の、アイテムもロクに持っていないまっさらな状態からゲームをスタートしなければならないが、「強くてニューゲーム」はそうではない。

強い状態を維持したまま、新しいゲームを始められるのだ。強いレベルで、ステージを容易にクリアすることができるため、ゲームが格段にやりやすくなり、もっと高いレベルのステージに挑戦しやすくなる。

会社経営もこれと同じだ。

2度目の起業ともなれば、付き合いが長く、能力も気心も知れた人材でチームをつくることが最初のときよりも容易だ。1度目の起業の際に付き合いのあった会社の人がジョインしてくれる可能性だってある。

信頼関係もそこそこできあがっているため、相手の腹を探る必要もないし、安心して仕事を任せることができる。

僕が現在経営している会社は、2017年11月現在、新体制となって10ヶ月めだ。僕の会社の役員は、ほとんどが2017年3月に就任している。

ところが、出会って間もない人ばかりかというと、そんなことは全然ない。ほとんどのメンバーは僕と5~10年近く付き合いのある人間だ。

以前、僕が経営していた会社にいて、その後、回り回ってまた入ってくれた人もいる。

何が得意かも知っているから、仕事がしやすい。以前の取引先の人もいれば、仕事には発展しなかったものの、やり取りだけは続けていた人もいる。

相手も僕がどんな人間か、僕の経営する会社で求められるものは何なのか、をわかって入ってきている。

「こんなはずじゃなかった」とすぐに辞められて、またメンバーを探すという時間の無駄もない。これはお互いにとってとてもハッピーな関係だ。

人材だけでなく、取引先や外注にしても同じことがいえる。

以前経営していた会社の時代から付き合いのある取引先なら、そのときに構築した関係性は消えずに残る。

自分の会社は、M&Aで売ってしまえばハードもソフトも買い手側に行ってしまうが、関係性はそうではない。

取引先も「この人は前の会社を経営している間、毎月きちんと延滞することなく支払いをしてくれた」と覚えている。

そのため、再度起業しても、信頼関係が残っているからさほど警戒することなく、新たに取引を始めてくれるだろう。

こうした信頼関係を一から構築するのと、ある程度構築されたところから始めるのとでは、事業立ち上げのスピード感が全く違ってくる。

とくに取引先の場合、ある程度こちらの会社の認知度が上がらないと、取引の入口にさえ立たせてもらえない。

それほどビジネスにおける信頼関係は大事なのだ。

外注先も同じだ。会社のホームページを作るウェブの制作会社、会社案内を作る印刷会社も、一から探すととんでもない時間がかかる。

「ここがいい仕事をしてくれた」とわかっていれば、業者探しから始めるロスタイムもなくなる。

税理士や会計士、弁護士などの士業についても同じことがいえる。彼らとはとくにM&Aを経て関係性が急速に密接になることが多い。

要は、たとえ事業内容は変わっても、経営者当人に対する情報や関係性は蓄積され、残っていくということだ。

とくに信頼関係は、会社を売っても消えるものではない。自分の経験値もどんどん上がっていく。この点を最大限に活用できるのが連続起業家の強みだ。

会社経営の「おいしい部分」を何度も味わう

起業と売却を何回か繰り返すと、会社経営の「おいしい部分」を何度も味わえる。

会社も人の一生と同じで、誕生(創業)から成長、衰退までのライフサイクルがある。会社を売却するときは、成長期のどこかで売ることになる。

成長曲線に入っているタイミングで売ったほうが大きな利益を見込めるからだ。

日々の会社経営は、案外地味な業務が多い。ところが会社を売却するとなると、弁護士、税理士の協力も得ながら会社全体で準備に追われ、一種の「狂騒状態」が生まれる。

ふだんの地味な毎日と比べれば、まるで「お祭り騒ぎ」である。

そんなお祭り騒ぎの結果、ついに会社が売却される。大金が手に入る。そのお金を使ってしばらく休み、またおもしろいビジネスを立ち上げる。

うまくいけば、また売却することができるかもしれない。このように連続起業をすると、会社を立ち上げて新規事業を伸ばし、価値を最大化したところで売るという、会社経営という仕事のもっともおいしい、エキサイティングな部分を何度も体験できるのだ。

年間で1つの会社しか経営しなかった人と、3つの会社を立ち上げて3回売却した人、どちらのほうがより人生の経験値が高まるだろうか?

僕は、間違いなく後者であると断言する。例えば、飲食店を20年経営し続けた人がいたとする。1つの店を立ち上げて20年存続させるのは、並大抵の努力でできるものではない。

ただし、一店舗で学べることは限られると思う。初めての起業なら、最初の3年で得る学びは相当大きいはずだ。5年目までも、何かしら学ぶことがあると思う。

しかし、最初の5年間とその後の5年間を比べると、後の15年間における全く新しい学びはどうしても少なくなってくるのは仕方のないことだ。

ある程度事業を成長させられたら、どこかのタイミングで売って、少し違った領域で、あるいは全く別の業種で会社を始めてみよう。すると、また違った人生を送ることができるはずだ。

人生の「濃さ」というものは確実に存在する。自分の人生を振り返ってみても、濃い時間、薄い時間があったと思う。

はっきり言って、起業して数年間は、誰もが「濃い」時間を過ごすことになる。

正田 圭(まさだ・けい)
1986年生まれ。15歳で起業。インターネット事業を売却後、M&Aサービスを展開。事業再生の計画策定や企業価値評価業務に従事。2011年にTIGALA株式会社を設立し代表取締役に就任。テクノロジーを用いてストラクチャードファイナンスや企業グループ内再編等の投資銀行サービスを提供することを目的とする。現在は「15歳からのスタートアッププロジェクト」の発起人として、小中学生でも起業やお金について学べるような場を作ることにも取り組んでいる。