プライベートジェットというと、セレブや大富豪が利用するものというイメージがあるだろう。そのようななか、ホンダの最大7名乗りビジネスジェット機「ホンダジェット」の2017年納入機数が機種別で初の年間首位となった。

プライベートジェット機の需要は持ち直しているものの、ピーク(10年前)の水準には達していない。一方で、市場が拡大しているのが小型ジェットだ。今回は、プライベートジェット市場の動向を捉えつつ、小型機とホンダジェットの人気の秘密を探る。

ホンダジェット,プライベートジェット
(画像=ホンダジェット公式ホームページ)

プライベートジェットの市場規模はピークの半分

プライベートジェットのトップブランドとして人気のあるガルフストリームの場合、太平洋ノンストップ横断も可能な最上位機種G650でお値段6450万ドル(2018年2月末の為替で約70億円)だ。

ところが、プライベートジェットのマーケットは近年、元気がない。リーマンショック前には1000機以上の新型機が販売されていたが、2017年には676機と、リーマンショック前の半分と落ち込んでいる。

ガルフストリームやボンバルディアといった大手も大幅値引きに走っており、以前と違って、法人向け需要も停滞したままだ。販売動向を何とか立て直そうと、各社は新製品発売を急ぎ、それがかえって在庫増加・中古機の大幅価格低下といった事態を招いているようだ。

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ビジネスジェット機市場をけん引する小型機

そんな中で気を吐いているのが小型機だ。その販売機数(2017年)は前年に対し50%増と大幅に拡大している。全米航空協会ではこのクラスをVLJ(ベリーライトジェット・超軽量機)にカテゴライズし、その性能諸元は4パイロット1名・搭乗座席数6名前後・最大離陸従量1万ポンド(4450kg)と定めている。

航続距離が1100海里前後(約2000km)と短いものの、1000m以下の滑走路での離着陸を可能とし、小回りの利いた運用ができる。北米では、主に地域での運航を主体に利用されている。現在VLJは、富裕層に対する人気も高い上に、法人需要も活発だ。

ホンダジェットは1機450万ドル

VLJ市場に新規参入したホンダジェットは、セスナサイテーションM2を抑え、納入機数で初の首位になった。VLJ市場の競争は厳しく、セスナ・エンブラエル・シラスといったメーカーがしのぎを削っている。そんな市場で、航空機後発国日本のホンダジェットがなぜ首位を確保できたのか。

カタログ価格450万ドルのホンダジェットの魅力は、超小型機としては比較的広いキャビン設計にある。ホンダは、主翼上面にエンジンを配置するという大胆なデザインで空間を確保した。

この革新性は、アメリカでも高い評価を受け、開発責任者である藤野道格(ホンダエアクラフト社長)は、アメリカ航空宇宙学会より、エアクラフトデザインアワードを受賞している。

エンジンも、航空機メーカーではただ1社自前で開発した。小型・軽量・高推力のターボファンエンジンHF12は、競合より2割優れた燃費性能と1割高い巡航速度を実現している。

今後はアフターサービスの充実も課題に

プライベートジェット市場は、今まで北米・ヨーロッパを主な顧客としてきたが、現在、経済成長著しいアジアのプレゼンスが大きくなっている。すでにシェアは1割に達し、今後も大きな伸びが期待できる。

とくにVLJは、今までお金持ちの所有物として燃費や効率性が蔑ろにされてきたプライベートジェット市場に、新しい潮流を巻き起こしている。

ホンダがさらに躍進を果たすには、飛行機単体の販売促進に加え、格納庫や整備機材の確保、パイロットや航空保険の手配、離着陸や上空通過許可手続きなどフライト準備サポート、部品調達・整備士によるメンテナンス、中古やチャーター販売市場の確立のようなアフターサービスの充実が欠かせない。(ZUU online 編集部)

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