プライベートジェットというと、第4回で紹介したラグジュアリーボートと同じく、セレブや大富豪が利用するものというイメージがあるだろう。そのような中、ホンダの最大7名乗りビジネスジェット機「ホンダジェット」の2017年納入機数が米セスナを抜いて、小型ジェット機部門で初の年間世界一となった。
プライベートジェット機の需要は持ち直しているものの、ピーク(10年前)の水準には達していない。一方で、市場が拡大しているのが小型ジェットだ。第5回目は、プライベートジェット市場の動向を捉えつつ、小型機とホンダジェットの人気の秘密を探っていく。
プライベートジェットの市場規模はピークの半分
プライベートジェットのマーケットは近年、元気がない。リーマンショック前には1000機以上の新型機が販売されていたが、2017年には676機と半分まで落ち込んでいる。
トップブランドとして人気のあるGulfstream(ガルフストリーム)の場合、太平洋をノンストップで横断も可能な最上位機種G650になると、お値段6450万ドル(2018年12月末の為替で約71億円)だ。
しかし、ガルフストリームやボンバルディアといった大手も大幅値引きに走っており、以前と違って、法人向け需要も停滞したままだ。販売動向を何とか立て直そうと、各社は新製品の発売を急ぎ、それがかえって在庫増加・中古機の大幅な価格低下といった事態を招いているようだ。
ビジネスジェット機市場をけん引する小型機
そんな中で気を吐いているのが小型機だ。その販売機数(2017年)は前年に対し50%増と大幅に拡大している。全米航空協会ではこのクラスをVLJ(ベリーライトジェット・超軽量機)にカテゴライズした。その性能諸元はパイロット1名・搭乗座席数6名前後・最大離陸重量1万ポンド(4450kg)と定めている。
航続距離が1100海里前後(約2000km)と短いものの、1000m以下の滑走路での離着陸を可能とし、小回りの利いた運用ができる。北米では、主に地域での運航を主体に利用されている。現在VLJは、富裕層に対する人気も高い上に、法人需要も活発だ。