(本記事は、上岡正明氏の著書『株はたった1つの「鉄板銘柄」で1億稼ぐ!』SBクリエイティブ、2018年2月26日刊の中から一部を抜粋・編集しています)
【『株はたった1つの「鉄板銘柄」で1億稼ぐ!』シリーズ】
(1)株で2億稼いだ投資家が教える「最短で結果を出せる」方法は?
(2)「相場の奴隷になる」投資家と「相場を支配する」投資家の違い
(3)投資家が一番大切なときに犯す一番大きなミスとは
(4)勝つ投資家は「チャート」と向き合う では、負ける投資家が向き合うのは?
勝つ投資家はチャートと、負ける投資家は他人と向き合う
指標の読み方によって、その数え方は人それぞれですが、日本経済は戦後から数えておよそ16回の好景気があったといわれています。
そして、その裏では、必ずといっていいほど、同じだけの数の不景気がありました。
相場というのは、日本市場全体で見ても、個別の銘柄で見ても、このように一定の間隔でその山と谷を繰り返しているだけに過ぎないのです。
日経平均においてそのパターンは、いまのところ一度も覆されていません。
私が数えた限り、2012年からスタートした現在の好景気は、17回目となります(諸説ありますし、ざっくりと数えた限りの話です)。
当然、景気が良くなれば、人々の気持ちにも余裕が生まれます。
すると、余剰資金を運用しようと、株式投資にもお金が集まりやすくなります。そのため、チャートはどんどん右肩上がりに上昇していきます。
さらに株で儲かる人が増えると、周囲に「お前もやれよ」「あなたもやってみたら」と勧めたり、誘われたり、あるいはうらやましがって陰でこっそりと投資を始めます。
こうして、人々の欲望がふくれあがったところに、政府が好景気を選挙に利用しようと煽り始めます。
......と、このように一度火がつくと、投資をやる人は雪だるま式に増えていく傾向にあるのです。
●オリンピック開催までの日本の景気はどうなる
ちなみに、現在の好景気が2020年の東京オリンピック開催まで続けば、ダントツの戦後最長記録です。
ただ、過去のパターンから景気はだいたいもって7~8年です。
どんな強い景気も、そこで一度は調整されてしまいます。
もっとも、そうした調整は悪いことばかりではありません。
長期間の右肩上がりは、バブルと同じです。過剰な設備投資や土地の高騰、株式投資においては恐れを知らない投資家が借金してまで投資をするなど、多くの痛みを同時に生み出します。
適度な調整は、むしろ市場の「カンフル剤」となることもあるのです。
また、国もバブルを嫌いますので、利上げなど抑制する治療を市場に対して行います。
こうしてチャートの調整が始まると、投資から人々の気持ちが離れたり、場合によっては恐怖に駆られたりするので、基本的には上げよりも速いスピードでチャートの下落が始まります。
以上から、株式市場のチャートのトレンドをとらえるには、次の2つがとても重要になることがわかります。
(1)人々の心理
(2)欲望と恐怖が起こるタイミング
とくに、もっとも気をつけなければならないのは、「欲望」と「恐怖」です。
チャートをとらえることに専念すると決めたならば、あとはとにかく自分との戦いです。
もっとわかりやすく言うなら、欲望や恐怖心との熾烈な覇権争いとなります。
実は、そうした心理状態をコントロールするのにも、チャートで売買するのは有効です。
チャートの動きだけをシンプルに追えるようになると、不思議と、それまで気になってしょうがなかった外部の情報や、他人の声などが目や耳に入らなくなります。
政府の景気判断も、雇用統計などの指数も、情報として頭の片隅にとどめることはしますが、それによってチャートの売買のタイミングが変わることはなくなります。
個人投資家はホントに大口投資家よりも不利なの?
私は政府の発表も景気指数も、実はあまり信じていません。
政府の向いている方向は、私たち個人投資家ではなく、政権の維持や国全体のバランスコントロールだからです。
景気の浮揚策に株式市場を活用することはあっても、個人投資家を守るために利用しようとはしません。
そうした視点で考えれば、予定していた発表を急遽取りやめたり、景況数値のちょっとした誤差は、あとあと修正してつじつま合わせをしたりして、自分たちの都合のいいタイミングで発表するでしょう。
同様に私が重要視していないケースに、大口投資家の動向があります。
私に言わせてみれば、「初級中級者が大口投資家の動向を気にしてなんになる?」というのが本音です。
正直、投資金額が1億円を超えるまでは(超えたとしてもですが)、大口を気にする必要はまったくありません。
それよりも、あなたにはチャートをとらえる、というもっと大事な仕事があるはずです。多くのことを同時に行おうとすれば、失敗する確率は増えるばかりです。
何かを習得しようと思えば、1つのことに集中する時期も大切です。
私は、株式投資をするうえで、海外ファンドなどの大口投資家より不利だと思ったことも一度もありません。
むしろ、主に東証一部株を中心に売買する私の利益のうちには、そうした海外大口投資家から勝ち得たものも含まれているはずです。
数十億円単位で熾烈に渡り合う相場師ならまだしも、一介の個人投資家が海外の大口投資家より不利であるというのは、誰かが言い始めた流言に過ぎません。
たとえば、海外大口投資家はあなたよりも、こんなに不利な条件があるのです。
・海外大口投資家は、日本の商習慣に不慣れ
・資金量が大きいため、分散しなければならない
・ロスカット(損切り)ルールが厳密
・海外大口投資家は、相場を「待つ」という決断がしにくい
・監視銘柄などのリスクある銘柄に手を出しにくい
・流動性のなさから小型株に手を出しにくい
・投資先にはある程度の時価総額が必要
・(あなたと違って)負ければボスにリストラされる可能性がある
・(あなたと違って)負ければ理由を出資者に説明しなければならない
・大量に株を保有した場合は、証券取引所に報告しなければならない
......と、軽く挙げてみただけでもこれだけあります。それなのに、大口投資家だから勝てる理由はなんでしょうか?
それは、情報戦を仕掛けると、すぐに集まってくれる個人投資家がたくさんいるからにほかなりません。
「ここの銘柄はまだまだ上がる」といった疑似餌をまけば、あとからあとから魚のように個人投資家がウヨウヨやってきます。はっきり言って、入れ食い状態です。正直、こんなオイシイ漁場はありません。
株価が安いところで買い集め、株価が上がる演出をし、個人投資家の大量の買い注文が入って高騰したところで、今度は売りに転じ、利益を得る......。
個人投資家はそんな大口投資家と相対して戦うよりも、「小船」に乗りながら、大波を乗り切って、しっかり釣るための技術を磨くこと。
チャートを武器に、チャートを見極める目を磨いたほうが、株式市場で勝ち抜けるチャンスはぐんと高まるはずです。
「失敗の原因は、すべて自分にある」
「株式投資は、まず先にチャートありき」
これまででお話しした、勝つ投資家になるための原理原則です。
ちょっと勝ったぐらいでいい気になる。他人の情報を鵜呑みにする。株式投資の技術を軽視する......。失敗はすべて自分が原因で起こります。
そうならないために、技術を磨きチャートを見る目を養うことです。
上岡正明(かみおかまさあき)
MBA(多摩大学大学院)博士前期課程在籍※2018年修了予定。1975年生まれ。放送作家として「笑っていいとも!」「スーパーJチャンネル」「めざましテレビ」「タモリのスーパーボキャブラ天国」などの人気番組を手がける。27歳で戦略PR、ブランド構築のコンサルティング会社を設立。起業後、元手200万円で株式投資をスタートさせ、現在は株の保有資産が2億円超。バンタンJカレッジ客員講師、日本神経心理学会会員、日本マーケティング学会会員、一般社団法人日本行動分析学会会員。講演者やメディアプランナーとしても活躍。著書に『うねりチャート底値買い投資術』(ダイヤモンド社)などがある。