(本記事は、小林昌裕氏の著書『年収350万円のサラリーマンから年収1億円になった小林さんのお金の増やし方』SBクリエイティブ、2017年3月25日刊の中から一部を抜粋・編集しています)

不動産投資の空室リスクを下げる3つの作戦は?

小林さんのお金の増やし方
(画像=shigemi okano/Shutterstock.com)

・空室リスクを下げる作戦(1)

内装の工夫不動産投資で一番コワいのが空室リスクです。

ただし、この点について僕は、大家がある程度の労働力を投入することで下げられるリスクだと考えています。

大前提として、都心の区分マンションは賃借需要が高く、管理会社の空室保証プランなどもあるので、比較的リスクが低いです。

ここで紹介するノウハウは、地方の中古一棟物件の投資をする際に有効な手段として参考にしてみてください。

空室リスクを下げるには、大きく分けて3つの方法があります。

まず1つは、内装の工夫。設備も含めて内装を工夫して、入居者に好印象を与えて、選ばれる部屋にするということです。

具体的には、今では珍しくなくなってきているものの、壁の一面だけダークグレーにしたり、トイレの突き当たりの壁だけちょっとダーク系にしたりする「アクセントクロス」を取り入れるのは変わらず有効な方法です。

最近ではエンボス加工のある凸凹のあるクロスなど選択肢もさらに増えていますから、インパクトを重視して印象的に使っていきたいものです。

壁紙は退去時の原状回復で貼り替えるタイミングならば手間もかかりませんし、そこだけちょっと高いクロスにしたところで追加費用はたかが知れています。

大事なのは、少ない費用で効果的なポイントを知っていることです。

ほかにも、普通のプラスチック製の便座のフタを木製に替えたり、トイレットぺーパーホルダーをプラスチック製の黄ばんだものからシルバー色の金ものに替えたりするだけで、トイレの印象がガラリと変わります。

便座のフタは1万円から、トイレットペーパーホルダーは1000円からありますし、それくらいならば自分で交換も可能です。

中古の物件だと、風呂のシャワーヘッドもプラスチックですから、それも高級感のあるシルバー色のシャワーヘッドに替えると見栄えがだいぶ違ってきます。

畳の部屋でも、何もフローリングに張り替えなくても、クッションフロアなどの床材を敷いて、襖もクロスを貼れば、お手軽に洋風の雰囲気に変えることができます。

そういう内装の工夫を勉強して、自分の物件で採用するのです。地方の一棟ものでは、家賃の割にすごくいい内装に見せるテコ入れをすることが重要になります。

空室リスクを下げるには、それくらいの努力は大家として必要です。

その当然の努力を本気でしっかりやっている大家さんは、意外に少ないものです。何だかんだ言って、当たり前のことでも頑張れない人がほとんどですから、それをちゃんとやることで周囲の物件と差がついていきます。

・空室リスクを下げる作戦(2)

募集条件の緩和内装を工夫しても今ひとつ入居につながらないときは、思い切って募集条件を緩和するという手があります。

一口に募集条件の緩和と言っても、次の3つの方法があります。

1.家賃を下げる
2.初期費用を下げる
3.成約特典を付ける

まず家賃を下げることはありきたりな方法ですが、やはり効果は大きいです。相場家賃よりも少し下げるくらいで、1000円、2000円安くするだけでも入居決定率は大きく違います。

キャッシュフローを取れるように安く買えているのであれば、それくらいはスタートから下げてもいいと思います。

次に初期費用ですが、今時はもう、地方ではもちろん都市部でもよほどの人気エリアでもない限りは敷金ゼロ礼金ゼロの物件も増えてきています。

残る手としては、フリーレントを付けるというのも、入居者にとっては引っ越し時に家賃1ヵ月分の負担が浮きますから訴求力があります。

フリーレントまで含めて僕は、「初期費用ワンコインキャンペーン」というのをやったことがあります。本当は500円すらいらないのですが、響きがキャッチーなことと目立つかなと思いまして(笑)。

鍵交換費用、火災保険、仲介手数料なども込みで「入居者が払うのは500円だけで、あとは全部オーナーが負担します」というもので、これはなかなか好評でした。

そういう施策を随時、管理会社と相談して打っていくといいでしょう。

そして最後に、成約特典としてプレゼントキャンペーンを打つ手もあります。冷蔵庫と洗濯機と、もう1つは炊飯器でも電子レンジでもいいですが、「白物家電3点セットプレゼントキャンペーン」とか、「自転車プレゼントキャンペーン」とか、過去にやったことがありますが、そういうのも入居者から結構喜ばれます。

自分の手金から多少、数万円から10万円くらい持ち出すことになってしまいますが、そのくらいのサービスで空室がすぐに埋まるのなら、かえって安いと思います。

地方だと、何もしないと半年や1年近く空室が続いたりしますが、埋まってしまえば数ヵ月で回収できますから。

ありがたいなと思ってもらって、気に入って長く住んでもらえるかもしれませんし、惜しまずサービスしてあげてもいいでしょう。

・空室リスクを下げる作戦(3)

仲介業者へのテコ入れ前の2つは入居者に対するアプローチでしたが、これはその方向を変えて、不動産業者に対してのアプローチです。

自分が住む部屋を決めるのは入居者ですが、その候補をいろいろと紹介するのは物件を担当する管理会社だったり賃貸仲介業者だったりします。

彼らに頑張ってもらって、内見の数を増やして成約率を高めようというわけです。

中でも、大家自らが仲介業者に営業に行くという手段は、地味ですがかなり有効な方法です。

担当の管理会社以外に、その物件を紹介してくれそうな仲介業者をローラー訪問して、マイソク(募集図面)と菓子折りを持って「よろしくお願いします」とひと通り回ります。

こう書くと簡単なようですが、意外と大家さんは仲介業者を一件一件、訪問したりしないものです。

ですから実際にやれば、それだけ効果があります。

空室がちょっと出たときはもちろん、特に物件を購入した当初やたまたま空室がいっぱい出たタイミングなどには、自ら出向いて「家賃交渉があったら言ってください」「付けたほうがいい設備があれば教えてください」など、融通の利く大家である感じを出せば、入居者を紹介してもらいやすくなります。

また、やり手そうな営業マンと会話できたら、個人的なインセンティブ(報奨金)を約束するというのも極めて有効です。

「決めてくれたら個人的にボーナスを出します」「現金より商品券のほうが良ければそれでご用意します」など、「アンダー・ザ・テーブル」を提案します。

それで優先的に自分の物件を、"決め物件"にしてもらうのです。

彼ら営業マンはお客さんを案内するとき、物件をそれぞれ"当て物件""中物件""決め物件"という位置付けをしています。

"当て物件"は、最初に見せる残念な物件。

"中物件"は、当て物件よりはマシだけれどイマイチな物件。その2つを見せたあとに"決め物件"を見せれば、そこで成約の可能性は高まります。

当て物件と中物件に回されると決まりにくいので、決め物件に回してもらうための営業です。

泥臭いやり方ですが、特に地方の一棟ものの場合は、絶対にやったほうがいいでしょう。

担当者が、同条件のほかの物件とどちらを紹介しようか迷ったりしたときに、あなたの物件を"決め物件"に押してくれる可能性が格段に高まります。

小林さんのお金の増やし方
小林昌裕(こばやし・まさひろ)
1982年生まれ。大学卒業後、建築材料メーカーに就職。営業職としてガムシャラに働くも、祖母の葬式で、社用の電話をかけながら集合写真に撮られた自身の姿を見て、社畜のような人生を見つめ直す。2009年1月に転職。同年7月、不動産投資用に区分マンションを購入。以降、26~30歳の間に、3戸の区分マンション、4棟のアパートやマンションを購入し、合計43戸のオーナーになる。2014年に会社を退職し、現在は、20余りのキャッシュポイント(民泊ビジネス、太陽光発電など)を持つ。 ※画像をクリックするとAmazonに飛びます