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(画像=『フリホーレス 代官山』ではブリトーやタコスのテイクアウトサービスを行っている)

飲食店の売上を拡大する方法としてテイクアウトやデリバリーといった手法に注目が集まっている。消費者のライフスタイルの変化から中食市場は年々拡大し、2017年には市場規模が10兆円を突破。今後も中食需要は高まっていくことが予想されている。

飲食店もこのニーズに応えるようにテイクアウトやデリバリーに取り組む店舗が増えてきた。「飲食店.COM」が行ったアンケート調査では、飲食店の45.6%がテイクアウトを、20.0%がデリバリーを行っていることがわかった。最近はこうした中食事業をサポートするサービスが続々と登場し、参入を後押ししている点も見逃せない。

今回はテイクアウトの事前注文アプリ「PICKS」を活用してテイクアウト事業に取り組む『フリホーレス 代官山』を取材。テイクアウト事業を成功させるための秘訣、そして外部サービスの活用法などを聞いた。

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(画像=人気メニューの「ステーキブリトー」1,210円)

テイクアウト・デリバリーを始めた理由「より多くの人に商品を届けたい」

『フリホーレス 代官山』は、ブリトーやタコスといったメキシコ料理を扱う人気店。客の好みに合わせて肉やサルサの種類を選べるようになっており、本場の味を楽しむことができる。

ブリトーやタコスは手軽さが“売り”のいわゆるファストフードだが、『フリホーレス』では肉の切り出しからサルサまですべて手作り。添加物がまったく入っていないため、健康や食事に気遣う人にも好評だ。

「当店のブリトーはアルミホイルにしっかりと包まれていて持ち運びがしやすいうえ、冷めても美味しく食べられる。店内で買っていかれるお客様の半数はテイクアウトです。そこで、テイクアウトの範囲を広げられるように色んなことを試すようになりました」。

そう話すのはフリホーレス株式会社の取締役・高橋博久氏。まず始めたのが配達代行によるデリバリーサービスだった。デリバリーでは、「ファインダイン」や「Uber Eats」といった配達代行サービスを積極的に活用。各サービスの集客力、同店の商品力のおかげで幅広い注文を受けるようになった。そして次の一手として始めたのが新たなテイクアウトサービスだ。

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(画像=お話を伺ったフリホーレス株式会社の高橋博久取締役)

テイクアウトの「事前注文」で得られるメリット

高橋氏がテイクアウトサービスをどのように展開するか検討していた際、かねてより付き合いのあった株式会社DIRIGIOの代表取締役・本多祐樹氏より、同社の「PICKS」というテイクアウト専用アプリを使わないかと提案があった。

「PICKS」は飲食店のテイクアウトに特化したアプリで、客はテイクアウトしたいメニューを事前注文・事前決済することができる。飲食店は「PICKS」で受注した商品を、客から指定された時間までに用意しておく。決済はアプリ内で完結しているため、客が来店したら、あとは商品を受け渡すだけだ。もちろん便利なアプリではあるが、高橋氏は「どのみち来店するのに、わざわざ事前注文する必要があるのか」と、当初は戸惑いがあったという。

「例えばデリバリーであれば、自分のいるところに配達に来てくれるという便利さがあります。しかし、『PICKS』は事前注文できるとはいえ、結局は来店していただく必要があります。お客様がそこに利便性を感じてくれるのか、という疑問はありました。少なくとも、自分が飲食店を利用する際に、そういう使い方を考えたことがなかったからです」。

しかし、手軽に導入できること、集客効果が得られることに魅力を感じて一度試してみることに。そして実際に導入してみると、意外にも多くのメリットがあることがわかった。

「姉妹店のある大手町や六本木などのオフィス街では、平日のランチタイムはどこの飲食店も混んでいます。近隣で働くビジネスマンにとっては、限られた時間しか昼休みがありませんし、テイクアウトをするにも並ばずに商品を受け取りたいのが本音でしょう。そんなときに『PICKS』で事前注文していただければ、お待たせせずに提供することができます。忙しいお客様にとっては、大きなメリットといえるのではないでしょうか」。

「PICKS」を利用し始めて、客数や注文数、売上にも良い変化が見られるようになった。「特に大手町はオフィスが多く、相性がよいです」と高橋氏。大手町店では「PICKS」による受注が毎日2~3件あり、1か月でいえば60~90件に上るという。六本木店ではそれほどではないが、やはりビジネスマンからの注文が多いそうだ。「PICKS」で注文した客が、後日、店内で食事をするケースも出てくるなど新規客の獲得にも一役買っている。

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(画像=「PICKS」からの注文はスマホで受けることができる)

手軽、安価、効率的の3拍子

現在、デリバリー代行サービスは複数併用しているものの、テイクアウトに関する外部サービスは「PICKS」のみ。それだけ「PICKS」のサービスには満足しているそうだ。その大きなメリットの一つに、商品登録や操作の手軽さがあげられる。店側は初期登録が終われば受注を待つだけ、手間はほとんどかからないのだ。

「お客様からオーダーが入ったら、スマホに通知がくるのと、あと自動音声の電話でも知らせてくれます。店側はスマホの通知をタップするだけで注文内容を確認できるので、忙しいときでも簡単に対応が可能です。しかも、通知はこちらが気づくまで行われ、オーダーを取りこぼす心配もありません」。

ちなみに「PICKS」で注文できる『フリホーレス』のメニューは、店頭に比べてトッピングの種類をあえて減らすなど、アプリ操作に特化した工夫もなされている。煩わしさをなくしつつ、店の特徴でもあるトッピングチョイスも楽しんでもらいたいという計らいだ。こうした「PICKS」の使い方については、DIRIGIOの本多氏よりアドバイスがあり、一緒に検討するなどのサポートもあったという。

さらに「PICKS」はサービス利用料も売上の10%と、比較的安価な点もメリットだと教えてくれた。現在は期間限定で利用料が無料となるキャンペーンを行っているので、実質無料で活用しているそうだ。

「例えばデリバリー代行サービスを利用してご注文いただく場合は、店内価格より高い料金がかかってしまったり、注文金額の下限が決まっていたりします。それに比べてテイクアウトは店内オーダーと同じ価格ですし、『PICKS』であればアプリ内で決済が済むのでキャッシュレス、店舗での支払いも必要ありません。お客様にとっても、店側にとってもありがたいと思います」。

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(画像=「PICKS」ではお客の来店時間がわかるので、それに合わせて出来立ての商品を提供することができる)

外部サービスの賢い活用が売上拡大の鍵に

商品の特徴からして『フリホーレス 代官山』はテイクアウト事業に向いている店舗だといえる。同店のようにファストフードを扱う店舗、そして出来立ての料理を味わってもらいたいという店舗には、ピックアップ型のテイクアウトは向いているのではないだろうか。さらに高橋氏は、個人店でのニーズも指摘してくれた。

「例えば、個人店などの小規模店は席数も限られています。テイクアウトを導入したとしても、お客様が待つスペースがないこともあります。そんなとき『PICKS』のようにあらかじめ注文し、商品が出来たタイミングで取りに行けるサービスを活用できたら効率が良いですよね。電話応対をしなくていいのも大きいです。調理中やサービス中は電話に出られないことも多いです。スタッフが少なく忙しい個人店の活用にとても向いていると思います」。

今後、ますます増えていくことが予測されるテイクアウト需要。その需要を取り込むためには集客チャネルを複数持っておくことが大切だ。「PICKS」などの外部サービスは集客効果を得られるだけでなく、業務効率化を図ることにもつながっていく。テイクアウトを始めようという飲食店は、ぜひ導入を検討してみてはいかがだろうか。(提供:Foodist Media

『フリホーレス 代官山』
住所/東京都渋谷区恵比寿西2-19-8 TakeOne代官山 1F
電話番号/03-6416-5873
営業時間/11:00~L.O.21:45(毎月第3水曜11:00~17:00)
定休日/なし
席数/40

執筆者:『Foodist Media』編集部