2018年6月に東京都の受動喫煙防止条例、7月には国の改正健康増進法が成立し、飲食店での喫煙・禁煙問題が話題となっている。特に東京都の受動喫煙防止条例では喫煙のルールが非常に厳しくなっており、飲食店の8割以上が禁煙を迫られる結果となった。
この流れを受け、東京都や国だけでなく、全国で受動喫煙防止対策の動きが広まっており、各地で条例や推進制度の発足が相次いでいる。具体的にどのような対策がとられているのか、話題となった施策をいくつか紹介する。
千葉市は罰則付きの条例を発表、6割の飲食店が禁煙の見込み
千葉市は2020年までに、従業員を雇っている飲食店すべてにおいて原則屋内禁煙を目指す条例を市議会に提出。改正健康増進法の条件では千葉市の多くの飲食店が喫煙可のままで良いとされていたが、これを受けて6割ほどが禁煙となる見込みだ。
同条例は違反した場合に5万円以下の罰金が科される予定。先の東京都、そして神奈川県、兵庫県などの「都道府県」で罰則付きの条例を制定しているケースはあるが、「市町村」ではこれが初めてとなる。
また、罰則だけでなく、既存飲食店の全面禁煙化に向けて、改修費などを補助することも検討している。来年1月からは補助申請を受け付けるとし、申請した店舗には上限10万円の補助金を出すとしている。
静岡県は喫煙可否の表示を義務付け
静岡県もまた、2019年までに「県受動喫煙防止条例」の制定を検討中だ。こちらは全面禁煙を目指したものではなく、各飲食店において喫煙可否の表示を義務付けるとしている。禁煙の方向性を示しつつも、喫煙者にも気遣いを見せる条例といえるだろう。
同条例も表示を設けない店舗に対して罰則を与える予定となっているが、罰金ではなく店名を公表するという形を取るという。
沖縄県は「県禁煙施設認定推進制度」で禁煙飲食店を支援
沖縄県では条例を設けるのではなく、禁煙を実施している飲食店を応援する「県禁煙施設認定推進制度」を施行している。こちらは受動喫煙防止対策に積極的に取り組む店舗に対して、県が「認定証」を与えるという施策。認定店は公式ホームページに掲載され、認定の証となるステッカーを交付されるというものだ。現在認定されている飲食店は2018年3月付で183店舗に上り、今後も増えていくことが予想されている。
国の改正健康増進法を受け、都内だけでなく各都道府県でさまざまな検討が行われている。喫煙に対しての考え方は各地で多少変わるものの、どの地域も住民の健康を考えての行動なのか、禁煙を支持する傾向が高まっている。店側も改正健康増進法、そして経営している地方独自の条例を踏まえ、今後どうしていくべきかを検討していく必要があるだろう。(提供:Foodist Media)
執筆者:竹野愛理