2019年5月9日(木)Market Talkの内容
●米中が関税引き上げを実施した場合、日経平均の下値はどのくらいとみていますか?
ここ3日間で1,000円近く下げたが、関税引き上げは織り込んだと思う。今後、実際に10日で関税を引き上げて中国が報復といっても、既にそれを織り込んで下げてきたので、そんなには下がらないだろう。21,000円割れがあればそこが押し目買いが出てくる水準ではないか。
●米中貿易協議も一気に不透明感が高まってきた印象です。セルインメイという言葉もありますが、ここは一旦利益確定でポジション軽くしておくのが良いでしょうか?
年初から4月までの株高のトレンドを支えてきた3つの要因が少し変わってきた。
①米中貿易交渉の進展期待-米中貿易協議が順調に進展しているという報道が伝わってきてそれに対する安心感もあって戻してきたが、その安心感がなくなった。
②景気減速に対する過度な不安の後退-世界景気に対する過度な悲観論がいったんは後退したが、もっと良くなるという感じでもない。
③Fedの金融政策に対する安心感-FRBが利上げを停止するというかなり確度の高いシナリオだったが、Fedの金融政策に不確実性が出てきた。
このように3つの要因が全部狂ってきている部分があるので、日本株については上がりきらない内に環境が変わってしまうという嫌な巡りあわせになってしまっている。利益がのっているのであれば確定してポジションを軽くするのもよいだろう。
●アメリカ大統領の一言でなぜこんなに下げるのでしょうか?
まずサプライズだったということ。トランプ大統領が言ったから下がったわけではなく、皆うまくいくだろうと思っていたのがそうじゃないというネガティブなサプライズが出てきたので下がった。関税を掛け合うとなると今後世界景気がもっと悪くなるのではと思ってしまうが、実際にはそうはならないのではないか。確かにそこの国向けの輸出は落ちるだろうが、他の第3国から回すなどいくらでも手はあるだろう。基本的には最終需要が落ちない限りたいしたことにはならないのではないか。
詳細は動画をご覧ください。
広木 隆
マネックス証券 チーフ・ストラテジスト
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