要旨

(画像=PIXTA)
- FRBは18年に4回政策金利の引き上げを行った後、19年に入ってからは政策金利を据え置いている。直近5月のFOMC会合でも、当面は政策金利に関する意思決定を先延ばしする方針が確認された。実際にFOMC参加者の政策金利見通し(中央値)は、19年内の政策金利が据え置きとなっている。
- FRBは金融政策の意思決定を先延ばしする理由として、欧州や中国を中心に海外経済の減速懸念、通商政策などの国内政治の不透明感、金融環境の引き締り、などの米経済に対するリスク要因を挙げたほか、インフレ率が目標水準を下回り物価上昇圧力が抑制されていることを指摘している。
- 一方、足元で米国の堅調な経済指標が増えているほか、FRBの金融政策目標の達成状況からは、金融市場が織り込むような政策金利を引き下げる状況ではないとみられる。
- 当研究所は、海外経済の大幅な減速や、米中貿易戦争の小康、資本市場の安定を前提に次の政策金利変更は利下げではなく、利上げとの予想を維持している。もっとも、足元で米中貿易戦争の激化懸念が再浮上しているほか、FRB理事の人事も含めて利下げに対する政治的な圧力が高まっているため、利上げのハードルは上がっている。
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(画像=ニッセイ基礎研究所)