4月下旬からスタートした3月決算企業の本決算発表も今月中旬に終了しましたが、それから2週間程度が経過したことから5月に入って決算を発表した銘柄でもアナリストによる業績や目標株価の見直しも随分と進んだと思われます。そこで今回は5月7日と8日に決算を発表したTOPIX500採用の3月期決算銘柄を対象に決算後に複数の目標株価の引き上げがみられるもの(足元の株価を上回るもののみ対象)をピックアップしてみました。

投資のヒント
(画像=PIXTA)

そのなかでも目標株価の引き上げが目立ったのがソフトバンク(9434)で、コンセンサス予想を大きく上回る今期の営業利益の見通しを発表したこともあって決算発表後に5社が目標株価を引き上げています。また、HOYA(7741)でも4社が目標株価を引き上げたほか、オリックス(8591)や富士フイルムホールディングス(4901)、トヨタ(7203)でも決算発表後に3社が目標株価を引き上げています。

決算発表後に2社以上が目標株価を引き上げた3月決算銘柄
(画像=マネックス証券)

決算メモ

●幸楽苑ホールディングス(7554)- 客数の回復で黒字転換 -

幸楽苑ホールディングスが10日に発表した2019年3月期の決算は売上高が前期比7.0%増の412億68百万円、営業損益が前期比17億8百万円増の16億36百万円となり、前年の72百万円の赤字から黒字に転換しました。売上高は下期以降の客数の大幅な回復を受けて既存店売上高が前期比1.5%増となるなか創業65年目で初の400億円超えとなっています。また、営業利益は既存店が競争力を取り戻すなかで値引きの減少や経費のコントロールもあって急回復となりました。

前期の客数は下期以降の客数の大幅な回復を受けて前期比2.6%増となり9年ぶりに前年超えとなりました。ギョーザ無料券を廃止したことによって浮いた経費をTVコマーシャルに使いブランドイメージの向上を図ったことに加え、楽天ポイントの導入や一部店舗の業態転換による自社競合回避、さらに主力商品のブラッシュアップや矢継ぎ早に期間限定商品を投入したことなどにより店舗の競争力が大きく向上しています。

今期の計画は売上高が前期比1.7%増の420億円、営業利益が同28.2%増の21億円となっています。既存店売上高の前提は客数横ばい、客単価2.2%増を見込み前期比2.2%増(上期6.0%増、下期1.4%減)です。4月に価格改定を行ったこともあり10月の消費増税時には価格を据え置く計画でこれを大々的にアピールする予定ですが、価格競争力を高めることで客数を下期以降も維持できるかがポイントとなりそうです。

金山敏之(かなやま・としゆき)
マネックス証券 シニア・マーケットアナリスト

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