6/28(金)から6/29(土)にかけ、注目のG20サミットが開催され、世界の主要国・地域の首脳が大阪に集結しています。世界平和や自由貿易等を理念として掲げて国際協調が目指された時代は過ぎ、大国が自国の利益を主張し、ぶつかり合う時代になったと言えそうです。来年秋には大統領選挙があり、米トランプ大統領の強硬姿勢は継続すると考えられ、株式市場は今後も波乱含みであると考えられます。

そうした中、米中の覇権争いは、妥協と対立を繰り返しつつ、基本的には今後も長期にわたって続くことが予想され、グローバル企業のサプライチェーンは大きく変更を迫られることが予想されます。そうした難しい時代に、連続増益で最高益を更新し、高い配当利回りで投資家の期待に応えられる企業があれば、波乱相場も乗り切ることができるかもしれません。

今回の「日本株投資戦略」では、そんな「希少価値」の銘柄を抽出すべくスクリーニングを行ってみました。

連続増益・最高益・高配当の銘柄を抽出

日本株投資戦略,
(画像=PIXTA)

表1は以下の条件を満たす東証1部銘柄を、予想配当利回り(市場予想)の高い順に並べたものです。

(1)東証1部上場銘柄であること
(2)時価総額300億円以上の銘柄であること
(3)広義の金融および「その他」(REIT)に属す銘柄以外であること
(4)今期市場予想ベースで配当利回りが3%以上の銘柄であること
(5)過去5期、純利益ベースで増益が続き、今期・来期ともに市場が同利益の増益を予想している銘柄であること
(6)純利益ベースで過去最高益を更新中の銘柄であること

前回もご説明したように、配当や株主優待の側面から、株式投資の対象となる銘柄を選ぶ場合「何をやっている会社なのかよくわからないし、長期保有して大丈夫なのか想像がつきにくい」ということがよく問題になります。こうした不安を無視して投資してしまうと、結局は大きな材料がないにもかかわらず、株価が下げた時に売ってしまい、損をしてしまうというパターンにつながりやすくなります。

表1の銘柄は時価総額を一定基準(ここでは300億円)以上の大きさに設定していますので、我が国の株式市場を代表する企業が含まれています。かつては、このような有名企業の多いポートフォリオは高い配当利回りを期待しにくいのが普通でしたが、今は、十分高い配当利回りを期待できることになります。なお、今回は前回よりも時価総額の基準を引き下げていますが、財務体質の面で深刻な課題が指摘されるような銘柄はないようです。さらに、表1の11銘柄中8銘柄は時価総額1,000億円以上で、市場から一定の信任を得ていると考えることができます。

無論、多くの方が社名を知っている有名企業であっても、株価変動リスクはあり、株価の値下がりで損失計上につながるリスクから逃れることはできないと考えられます。しかし、株式の最低投資単位は昨年10月から100株に統一されており、少額でも分散投資ができるようになったことを生かすべきでしょう。仮に表1の銘柄をすべて100株ずつ買い付けた場合でも、合計投資金額(諸コスト考慮前)は145万円弱で済む計算です。資金を1銘柄に集中するのではなく、多くの銘柄に分散投資し、高い配当利回りに期待しながら、株式相場の本格上昇を待つという投資戦略も有望ではないかと「日本株投資戦略」では、考えています。

そもそも、過去5期増益を続け、最高益を更新し、今後も増益が期待されるということだけでも、高い評価が可能であると考えられます。その上に、高い配当利回りを期待できる銘柄ということであれば、中長期的に市場の評価が見直され、株価上昇につながる可能性も十分あると考えられます。

表1:連続増益・最高益・高配当の銘柄を抽出
(画像=SBI証券)

表1:連続増益・最高益・高配当の銘柄を抽出
コード / 銘柄 / 株価(6/27) / 今期市場予想純増益率 / 今期市場予想1株配当 / 今期市場予想配当利回り
<2768> / 双日 / 347 / 1.30% / 17.00 / 4.90%
<4641> / アルプス技研(12) / 1,628 / 0.97% / 63.70 / 3.91%
<8923> / トーセイ(11) / 967 / 11.40% / 37.00 / 3.83%
<1893> / 五洋建設 / 535 / 8.15% / 20.00 / 3.74%
<1959> / 九電工 / 3,235 / 9.52% / 111.25 / 3.44%
<3254> / プレサンスコーポレーション / 1,482 / 17.69% / 50.20 / 3.39%
<3003> / ヒューリック(12) / 865 / 11.42% / 28.71 / 3.32%
<1942> / 関電工 / 899 / 12.00% / 28.67 / 3.19%
<2124> / ジェイ エイ シー リクルートメント / 2,513 / 19.70% / 80.00 / 3.18%
<9069> / センコーグループホールディングス / 853 / 7.75% / 26.43 / 3.10%
<5929> / 三和ホールディングス / 1,146 / 8.43% / 34.71 / 3.03%

※会社公表データ、およびBloombergデータを用いてSBI証券が作成。市場予想はBloombergが集計した市場コンセンサス。銘柄名の右側のカッコ内の数字は3月決算銘柄以外の決算期を示しています。12月決算銘柄の場合、6/25(火)を権利付最終日として第2四半期末配当が実施されるはこびになっており、現在は権利落ち直後のタイミングです。配当利回りは、第2四半期末、期末等すべての配当を受け取った場合に、それが計算時点での株価の何%かを示すものですので、ご注意ください。

一般的な配当利回りランキングの考え方

表2:【ご参考】東証上場銘柄予想配当利回り
(画像=SBI証券)

表2:【ご参考】東証上場銘柄予想配当利回り
コード / 銘柄 / 予想配当利回り(%)
<8616> / 東海東京フィナンシャル・ホールディングス / 8.1
<2914> / 日本たばこ産業 / 6.6
<7148> / FPG / 6.1
<9434> / ソフトバンク / 6.1
<8963> / インヴィンシブル投資法人 / 5.9
<3476> / 投資法人みらい / 5.8
<5857> / アサヒホールディングス / 5.8
<8304> / あおぞら銀行 / 5.8
<7224> / 新明和工業 / 5.8
<3284> / フージャースホールディングス / 5.7
<5019> / 出光興産 / 5.6
<1808> / 長谷工コーポレーション / 5.5
<7270> / SUBARU / 5.5
<7722> / 国際計測器 / 5.4
<3299> / ムゲンエステート / 5.4
<8053> / 住友商事 / 5.3
<8078> / 阪和興業 / 5.3
<7537> / 丸文 / 5.3
<7245> / 大同メタル工業 / 5.3
<4188> / 三菱ケミカルホールディングス / 5.3

※Bloombergデータを用いてSBI証券が作成。予想配当利回りに用いられる予想一株配当は同社集計の市場コンセンサス。データは2019/6/27(木)現在。

表2の銘柄は東証上場銘柄で、市場コンセンサスのデータがある銘柄について、予想配当利回りのランキングを作成したものです。時価総額の制限がないことや、金融、REIT等の業種が含まれており、表1の銘柄よりも予想利回りが高く、銘柄も異なるものになっております。

一般的に、予想配当利回りの単純なランキングを作成すると、金融や総合商社等特定業種の銘柄が上位に数多く入ってくる傾向があります。そうしたランキングを参考にする場合、業績や株価に対する見通しに十分注意する必要があります。

株式市場において、特定業種に属す銘柄の成長性等に対する評価が低くなっている場合、その業種に属する銘柄の配当利回りや、PER、PBR等の投資指標が総じて低くなる場合があります。

すなわち、株式市場があまり成長性を期待していない業種の銘柄で、配当利回りランキング上位にある場合、株式市場の予想通りであれば、株価の下落に要注意であると考えられます。

冒頭で触れた金融や総合商社に加えて、自動車や総合化学などは、低PERや低PBR等のランキングでも上位に登場してくることが多いようです。ただ、投資タイミングの精査や分散投資等によって、こうしたリスクに配慮することができれば、これらの銘柄への投資も可能になると考えられます。

なお、表2の銘柄についても、市場コンセンサスのデータがあるということは、アナリストが調査対象としているという意味で、ある程度「選ばれた銘柄」と言えるかもしれません。

配当利回りについて、会社予想ベースの予想1株配当金でランキングを作成した場合、より広範囲の銘柄がランキングに含まれてくるとみられます。その場合、業績や株価変動に対して一層注意深い配慮が必要になると考えられます。

表1の銘柄は、高配当を期待できるのみならず、成長性の側面でも期待ができる「いい所どり」の銘柄になっており、表2の銘柄に比べると、その分予想配当利回りが低くなっています。
※日経平均株価データをもとにSBI証券が作成

※本ページでご紹介する個別銘柄及び各情報は、投資の勧誘や個別銘柄の売買を推奨するものではありません。
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鈴木英之
SBI証券 投資調査部

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